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エブリデイ大原美術館 1日目 〜原田マハさんが・・・〜

年パスをゲットして意気揚々と、本館へ。
年パスを買うと、館内のスタッフの人も親切にしてくれるような気がする。
入ってすぐにある絵の前で、「この作品は、原田マハさんが・・・・」
と何か耳打ちしてくれた。
本当はよく聞き取れなかったんだけど、今日の1枚はこれにした。

シャヴァンヌの「幻想」

原田マハさんが書かれた「楽園のカンヴァス」の冒頭に出てくるらしい絵。

残念だけど、ごめんなさい。読んでない。
もちろん、この後、読みます。

絵画を文字だけで伝えるという
震えるようなことを原田マハさんはやっているらしい。
しかも小説という形でやっていることに、驚きだ。
あ〜、読んでみたい。
でも読む前に、私も書いてみる。

そもそも「幻想」って?

原題は「Fantasy(ファンタジー)」
ファンタジーは、「幻想」とも訳されるが、「空想」とも訳される。
日本語の題名は、「幻想」となった。
「空想」ではないと言うことだ。
何が違う??幻想と空想。
幻想を辞書で引くと、
〜根拠のない空想。とりとめのない想像〜
う〜ん。確かにそうだけど、まだ釈然としない。
まぼろし感がないな〜。
まぼろしって消えて無くなる。
はかない感情や叶わない思いを感じる言葉だと思った。

でかい絵

この絵はでかい。2.6メートルの高さと、1.5メートルの幅。
なんで大きな絵を描いたんだろう?
大きな絵を見るためには、後ろへ後ろへ下がっていく。
ちょうど下がっていくと柱にぶつかる。
そこから見るのが、ちょうどいい。
その代わり、私の前をどんどん人が通り過ぎる。
私がこの絵を見ていることなどおかまいなしに。

大きな窓から覗く、幻想の世界

額は二重になっていて、外側は濃い茶色した重い感じの額装。
内側は、木を金色に塗ったような幅の薄い額装。
窓枠から外の世界を覗くようにも見える。
外の世界は、少し白んだ、青味がかった幻想世界。
幻想の世界に登場するのは、「ペガサス」「女」「少年」の3人。
いずれも白くて、青い世界の中ではとりわけ目立つ。
私の前を、次から次へと実在する人間が歩く。
ノイズのように流れる人たちのおかげで、幻想はもっと生き生きし始める。
青さ、白さが際立って見えてきた。

ペガサスは幻想?

白い馬に天使の羽が生えている。正確には、天使の羽かどうはわからない。
白鳥の羽だと言われても反論はできない。
根元は白く、先へ行くほど透き通るようなブルー。
限りなく透明に近いブルーって表現を使いたくなる。

ペガサスは窓枠の右側中央から少し高い位置にいる。
前足を立て、身体は左から右へ、顔は振り返るように左を向いてる。
女優さんは、自分の顔が右からと左からでは写りが違うことを知っている。
ペガサスも、肉体美を見せながら、顔は左顔の方がかっこいいことを知っている。確信犯だ。

それよりもだ。気になるのは、あのふわふわの尻尾。
雲のような、煙のようなふわふわした尻尾。
触ってみたい。

このふわふわしたのは、尻尾じゃなくて、煙のようなものかもしれない。
ペガサスには立髪がある。
このふわふわした尻尾と素材は似ている。

よーく見ると、
ペガサス下部も白っぽいモヤがかかっているようにも見える。
ん?ペガサスは、煙のように現れた?こいつが幻想?
そうすると他の二人の存在は実在となる?
この世界全体が幻想だと思ってた私は、
ペガサスだけが幻想だと定義し直してみることにした。

ペガサスと女

画面中央の左側には、女がいる。
女は、よーく見ると、
ツタのようなもので、ペガサスを捕らえようとしている。
普通、何か獲物を捕らえようとするとき、もっと荒々しさがある。
このツタ、
よーく見ないとペガサスの首の周りを回っていることに気づかない。
もっと言えば、こんな細いツタでは捕まらない。
いや、もっともっと言えば、女の表情に必死さはゼロだ。
ブロンズの髪をした女の目に力はない。
いや、目は描かれていない。凹凸としての影が描かれているだけ。
裸で色が白い。
青い布をかけられた何かに腰掛けているように見える。
何に腰掛けているのか、腰掛けているのかさえよくわからない。

よくわからないことが多い。
幻想だからよくわからなくても仕方ないと一度、諦めてみる。
女の不可解な部分はまだある。
女と私は決め付けていたが、背中を見せていて乳房が描かれているわけでもなく、女かどうかさえわからない。
全裸だが、エロティックな感じがまるでない。
そもそも、生きている感じすらしない。

無関心な美少年

あえて美少年と書いてみた。
金髪の少年は、画面の1番下右部分に座り、花冠を作っている。
この世界で唯一、現実味のあるのが、
1番最下部にいくつか咲いている白い花。
この白い花を摘んで、花冠を作る美少年はめっちゃ暗いヤツ。
信じられないくらい生きてる感じのないヤツ。
自分のすぐ近くでは、女がペガサスを捕らえようとしているのに。
花の咲く大地は淡い緑に覆われていて、水の上のようにふわふわしている。
大地の力強さは全くない。
少年の背後にもいくつかの花とササのような植物があるが、
少年は見向きもしない。
ただ黙々と命の香りのする花を摘んでいる。

その他のもの

ここは、森の中のようだ。
左上部には木々が描かれている。
もっと向こう(画面上部)には、高くゴツゴツした山々が見える。
絵に近づいて見ると、女と少年の輪郭には輪郭線がある。
そう言われると、(誰も何も言っていない)
二人だけめっちゃ浮き出て見えて、やっぱり、この二人は幻想ではなく、
現実なのだと確信する。
現実というより人間であることがわかったような気がした。

ササのような植物は、下絵が少し残って見えるところもある。
下絵が現実だとすれば、幻想は現実に上塗りされた消えてゆくものとして描いているのかもしれない。

幻想ってなんのこと?

ペガサスは、そもそも架空の生きもの。
神話か何かに出てくるヤツ。

女かどうかもうわからなくなりましたが、
きっと人(大人)を表しているのではないかと仮説と唱える。

人は架空の何かを捕まえようとする生きものだ、ということかもしれない。
架空の何かって、「見栄」とか、「お金」とか、「権力」とか、
空も自由に飛べると信じているが、全て死んだらなくなるものばかり。

そんな人とは無関係に、ただただ美しいものを集める美少年がいる。
純粋な美少年は生を感じる花を集める。
生命を摘み、集める行為はある意味では残酷にも見える。
純粋だからこそ、残酷な一面もまた人間なのかもしれない。

原田マハさんの「楽園のカンヴァス」

には、どんなことが書かれているのか。
読んでみます。
良かったら、あなたもぜひ。
あ、まず大原美術館で見てから読んでみてはどうですか?

原田マハさんの動画

写真は、大原美術館のつたに生えたコケ

特に今回の作品とは関係ないけど、
なんかゾワゾワしたのでこれを使ってみました。

次回はどの作品?

また懲りずに書いてみたいと思います。

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