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AI技術の理解と活用について

近年におけるAI技術の発展は、私たちの日常生活からビジネス環境、科学研究に至るまで、多大な影響を与えています。たとえば、大規模言語モデルやディープラーニングなどの技術は、かつては到底不可能だと思われていたタスクの実行を可能にしています。しかし他方で、最近のレポートからは、それらの技術がどのようにしてそのような驚異的な結果を出しているのかという、プロセスや理論の部分への人の理解が追いつかなくなっているとの課題が明らかにされています。

"Somehow, models do not just memorize patterns they have seen but come up with rules that let them apply those patterns to new cases. "

どういう訳か、モデルは見たことのあるパターンを記憶するだけではなく、そのパターンを新しいケースに適用するためのルールを考え出す。

https://www.technologyreview.com

このギャップは、AI技術の開発と利用が、その科学的な理解を超えて加速していることを示しています。またそれは、AIが人間の能力を超えた学習や解決策を見つける可能性がある一方で、それがどのような原理や原則に基づいているのか、またそれがもたらす影響を予測したり、管理すること自体が難しくなっている現状を表しています。

AIによるVBAコード修正のエピソード

先日のこと。私は以前にExcelシートに設定したVBAコードに小さな修正を加えたいと思い、それをChatGPTの活用で解決しようと考えました。修正内容は、コード内で指定されたセル範囲を数列ずらすという単純なものだったので、GPTによる処理の速さに期待したのです。
私はコード内の変更範囲を指定してその箇所の修正だけを行うよう指示しました。GPTは指示を参照する形で理解したと回答しました。しかし、作成されたコードは、(セル範囲の変更と合わせて)指定外の部分にも手を加えたもので、それはシートの設定上、変更してはならない複数の箇所に及びました。

例:指定していない、時間単位の書式の改竄など

結果、複数の手段で改善を試みましたが、GPTはその「単純作業」を完了できず、私の目論見は失敗に終わりました。

AIの内部ロジックとユーザーの期待のギャップ

この経験をもって考慮できるのは、AIの汎用性と特定のタスクの実行の間でバランスを取ることの重要性です。たとえば、現在のAI(この度においてはChatGPT)は、与えられたプロンプトに対する最適な解を見つけ出すように設計されている為、そのプロセス中で、AIの学習データに基づいた複数の解決策を試みる性質を持ちます。人に置き換えていえば、常に創意工夫をこらすマインドセットがAIにはあり、これは変更の利かない仕様なので、与えられた手順書を理解することはできるが、その通りのオペレーションを実施することは出来ないという訳です。これが、ユーザーの直接的な意図とは異なるアウトプットを生み出す理由と考えることができます。

理解と対応

先ず、AIと効果的に協働するためには、AIの機能と限界を理解することが重要と認識することができます。AIの挙動が期待と異なる場合それには訳があり、ただその理由は、必ずしも機能不足ではないと知ることには価値があります。また、ひと言で表すとすれば、それは適正の問題であるため、私たちはタスクに対して、AIの活用が適切かどうかを見極める必要があります。

おわりに

AIがどのようにして決定や答えを生成しているのか、その基本的なメカニズムを理解することには価値があります。AIは、与えられた知識の活用を目指す賢さを備えており、良い意味で感情に左右されない性質を持つので、難しいと感じるからやらないといった判断はなく、考えられる最適解を最短で提示してくれます。同時に、思想や戦略の概念を持ち合わせてはいない為、責務やミッションに加えて、身近にAIがあるという事実をどのように扱うのが最善かを判断する責任は、私たちの側にあります。

本記事で検討した要点は上記の通りですが、AIの活用に際して、この度感じられた次点で考慮すべき課題は、私たちがその利用を通してAIに提供する、知識やモラルによる影響です。未来の社会の最適化を追求することが、現代に生きる私たちが担うべき責務であるとすれば、身近になったAIの使用が、これからの社会のデザインにどのような影響を与えるのかをもとに、私たちは知恵を働かせる必要があると考えられます。◯

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