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パーパスとは何か:個人と企業における指針

時折、「パーパス」という言葉を見かけます。ビジネスの話題においては、それと事業の結び付きを否定するような見解も見受けられます。

「パーパス」とは何でしょうか。
この度は、その意味と在り方について考えます。❀

パーパスの語源

パーパスの語源は、ラテン語の「propositum」に由来し、それ自体は「pro」(前に)と「positum」(置かれた、提案された)という単語から成り立っており「意図されたもの」や「目的」という意味を持っています。
現代において、パーパス(purpose)は、人や組織が特定の目標や意図を持って行動する「根本的な理由や目的」を指すために用いられています。

パーパス(purpose)とは

パーパスは、自分の存在がこの社会でどのような価値を持ち、どのように影響を与えるかに関する内省的な問いかけです。つまりパーパスへの理解は「自分が何のために存在するのか」という、存在意義への問いに答えてみるところから始まります。

たとえば、個人のパーパスは多岐にわたり、個々に人が持つ独自の経験や価値観、情熱や才能、自身が社会の中で果たしたい役割に基づいて形成されます。それは、自分の存在がこの世界でどのような価値を持ち、どのように影響を与えるかについて深く考えることから始まり、自己実現や幸福と同時に、ただ自分の利益を追求するのではなく、自分自身と社会との関係性を深めるための指針(社会への貢献、自身が果たすべき役割)を見出すことを促します。

健康とウェルネスを推進する人

ある人は、健康が人生の質を向上させる最も重要な要素だと考えています。彼女のパーパスは「健康的な生活習慣を促進し、人々が心身の健康を維持できるよう促すこと」です。その目的のために、彼女はパーソナルトレーナーとして働き、健康に関する記事を書いています。

教育に情熱を注ぐ人

ある人は、教育が社会的な平等を実現する鍵だと信じています。彼のパーパスは「すべての子どもに質の高い教育を提供し、彼らが自分の潜在能力を最大限に引き出せるようにすること」です。彼は、地域社会の学校でボランティアをすることや、教育プログラムを支援するチャリティーに寄付をすること、先進国の教育政策の改善を目指す運動に参加することで、そのパーパスを実現しています。

パーパスの発見と追求

自己認識

自分自身の価値観や情熱、強みを理解することがパーパスを発見する第一歩になります。自己認識を深めることで、自分にとって本当に大切なことが何か、どのような活動が充実感や幸福感につながるのかを明確にできます。

情熱の追求

パーパスはしばしば、個人の情熱や興味のある分野と深く結びついています。自分が心から楽しんで取り組めること、他人の役に立つと感じることを見つけることが重要です。

他人や社会への貢献

自分の行動が、他人や社会にポジティブな影響を与えることを実感すると、パーパスへの思いは、より強くなります。自分のスキルや知識を使って、他人の生活を豊かにすることで、自分自身の存在意義を感じることができます。

継続的な学びと成長

新しい経験を通じて学び、成長し続けることで、パーパスは時間とともに進化し、深まります。自分自身に問い続け、新しい挑戦を受け入れることが重要です。

バランスと調和

パーパスは、個人の内面的な充足と外側の世界との調和の中で見いだされます。自身の幸福と同時に、周囲の人々や環境に良い影響を与えることを目指します。

結果としてパーパスは、その経験や体験による価値観、関心事、目標の段階の影響を受けて、変化することがあります。パーパスの変化は、個人が絶えず進歩し、成長している証拠です。人生の各段階でパーパスを見直し、新しい目標や夢に向かって前進することは、人生を豊かにする価値あるプロセスであるといえます。

思いが先か、ビジネスが先か

ここまでに考えたパーパスの在り方をもとにした時、パーパス(目的)の認識は、単に利益を追求することを超えて、社会に対して果たすべき役割と責任を示すことにあるため、ビジネスには向かないと判断される場合があります。「パーパスは理想的で魅力的なコンセプトであるものの、実際のビジネス運営において実行することは困難である」という訳です。
また、社会的な影響は、財務実績のように、その効果を数値化する客観的な基準が不足しているため、パーパスの成功を測定し評価すること自体が困難であるという意見もあります。

但し、企業におけるパーパスは、強い信念や社会的使命(パーパス)ともいえるので、その様式がパーパスを実現する手段として構築された製品やサービスもしくは、ビジネスニーズから出発し、その過程で社会的な価値やパーパスを発見、統合していくアプローチであるとしても、企業が利益を追求する過程で、社会に対してプラスの影響を与える方法を見つけることには価値があると考えられます。ビジネスとパーパスが相互に強化し合い、共に成長していくことが重要です。

まとめ

個人のパーパスを見つけ、それを生きることは、自己実現と社会的責任の間でバランスを取りながら、より大きな貢献を目指すプロセスです。パーパスは単なる目標や職業を超えて、人生における深い満足感と意味を提供します。個人にとって、パーパスは自分自身の内面的な充足感と社会との繋がりを深めるための指針となり得ます。

一方、企業においては、パーパスはビジネスモデルを超えた社会的価値の創出という大きな枠組みを提供します。ビジネスがパーパスと統合された時、それは社会に対して肯定的な影響を与える強力な手段にもなり得ます。パーパスもビジネスも、どちらかが他方に優先するというよりは、互いに補完し合うような関係にあります。パーパスをもとにした方向性(組織活動における指針や目標)に基づく動機が、事業者としての具体的な施策を生み出します。

個人、企業などの形態を問わず、パーパスによる効果が、より充実した人生を送るための指針や、持続可能な成長と成功を実現するための基盤でありますように。❀

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