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無職転生2期をより楽しむために見たい アニメ第1話からの凄さを徹底解説|岡田斗司夫


無職転生異〜世界行ったら本気出す〜

お便り読みます

ケイさん理想形50代女性

今週は無職転生ですね

本当によくぞここまでと思う

素晴らしいアニメ化だと思います

だから今週のゼミも
エヴァと同じぐらい楽しみです

この作品をアニメ化する際に

最後まで作らないと意味がないから

アニメスタジオ新しく作ったというのを

どっかで聞いた気がします

こういう制作側の事は
全く分かっていないので

長編小説を最後までアニメ化する事

アニメスタジオ作ることが結びつきません

もしお時間がありましたら

ちょっと言及して頂けると嬉しいです

トロロさん女性30代

自分は家族から
無職転生を勧められたのですが

主人公が眠ってるヒロインの
パンツを脱がそうとするノリや

エロゲのような性的な設定

夫婦の夜の営みを覗く
美少女家庭教師などが

生理的に無理で苦痛過ぎて
見られませんでした

しかし家族には
熱く勧められてるので

見れないけど面白いんだろうなぁ
と思ってました

岡田さんの解説を聞くのが
とても楽しみです

これからも応援しております

ありがとうございます

もう本当にあの無職転生

最初のうちに断っておくと

トロロさんが言っているような

根本的な欠陥はある

なんでかと言うと

女の人にあまり勧められない欠点

それでもなんで無職転生を
取り上げるのかも含めて

見所がいっぱいあるので
話したいと思います

なんでこの作品を取り上げるのか

僕が見たのは

本当に偶然だった

本当に最初何の気なしに

原作が存在するのも知らなかった

タイトルだけで

アニメーションで
新しいシリーズが始まったら

一話だけチョロチョロと見る

オープニングだけは
せめて見ようと思うけど

オープニングに行き着く前のアバン

アバン20-30秒が耐えられなくて

途中でやめちゃうアニメがほとんど

だから

大体ですね

アニメーション新作が
始まるシーズンになると

かなり見てるんですけども

それはもう一話すら見れない

最初の10分も見れない
1分くらいが限度

30秒ぐらいで辞めちゃうものが
ほとんどなんですけども

それで一話見たら見れた

第一話で44・・
あ、34歳だ

34歳の引きこもりの男が

トラック事故で死んで
異世界で赤ん坊からやり直すと

この異世界では真面目に努力して

本気で生きてみようと決意する'だけ'

本当にこれだけの話

ものすごく地味

異世界転生モノって
派手にしてなんぼのもん

こんな地味な田舎に住んでいて

こんな俺が・・
リゼロとか見たら分かります

こんな状況にあるやつが

暗いコンビニみたいな所に行って

そこで事故にあったら

華やかな世界に行くのが当たり前

地味からさらに地味に行く

ところがアニメーション見てると

目が離せないんですね

一話見たときは なんかこう

これ面白いのかもね?ぐらいだった

かもね?っていうぐらい

次の週の第二話を見た

不覚にも第二話のラストで感動した

あれ?って

これって何かその

とんでもないアニメが誕生する瞬間に
立ち会ってるんじゃないのか

これをオンエアで見れるのは
凄いことなんじゃないのって思って

なんで凄いのかの分析は後で

第一話の内容を話してみます

第一話ですね

ファーストカットです

これ何かって言うと

主人公の顔なんです

でも死にかけて どんな顔かわかんない

上から雨が降って

雨粒が眼球にあたって

ここにたまるんですけど

目が閉じなくて瞳孔が開きっぱなし

これがファーストカットなんですよ

これがファーストカットで

リアリティレベルはこの辺かと

見てる最中にちょっとギアを入れた

これが写ってからですね

淡々とメインスタッフの
名前だけが出てくる

主人公の姿形わからないまま

異世界で・・

事故で異世界に転生という流れだろうけど

タイトル聞いただけでもわかります

無職転生は
無職なやつが転生することは分かる

普通は状況入れたり
キャラ説明を入れるはず

第一話の頭って

こんな顔してます
こんな服を着てますっていう風に

だって見てる人に好感持って欲しいから

テレビアニメなんだから

ところがですね

いきなり 好感もクソも

死んだ眼球のアップから始まって

次のカットが

街灯が傾いてる

街の街灯が傾いて点滅してる

交通事故が起こった後だと分かる

街灯がへし曲がるような

割と大きい規模の自動車事故で

それを淡々とセリフが

「俺今どうなってるんだ」と言いながら

雨がザンザン降っていて

点滅する街灯を見せるだけ

「こんなことがあった」

「俺はこうハネられたんだ」

「俺は死ぬのか」とはまだ言わない

セリフではなくて
映像で語ろうとしている

傾いた街灯が点滅してるだけって

勘の悪い人にわからない

交通事故があったことは

一応 パトカーのサイレンの音とか来て

警官の報告がだんだん入って

事故だって分かるんですけど

警官をメインに見せるのではなく

長めに見せるのは点滅してる街灯

映像で語る手法を使ってるから

気をつけて見ないとヤバいなと思って

またここでギアを入れるわけです

3つ目のカット

一緒にいた高校生3人のうち1人

3人の高校生がいたんだけど

2人はまだ行方不明だっていうのが

警察の無線のやりとりでわかる

高校生が1人残ってるという(描写)

これ伏線になってるんですけど

この伏線がアニメーションで
このペースで映像化されていったら

40話ぐらいで出てくるかなという伏線

かなり後の方の伏線です

結構すごいことやってます

次 転生した後

主人公は
「自分が死んだらしい」ことが分かる

女の人がいて

「わー女の人だ」と思って

手を伸ばそうとしたら

自分の手が子供の手だと分かる

自分は赤ちゃんとして生まれ変わったんだ

でもまだ俺は

34歳のおっさんの意識があるぞ

で ここら辺でですね

両親の名前はパウロとゼニスらしい

20代前半の夫婦だ

34歳の俺から見れば若造だと言う

二人は聞いたことがない言語で喋ってる

英語でもヨーロッパ系の言語でも何でもない

聞いたことがない言語で

一生懸命喋りかけてきて

それがパウロとゼニスっていう
名前だということだけはわかる

という主人公のモノローグ

ここまではですね

僕もこの辺までは

はいはい なるほどね

はいはい
それで異世界に転生するんですね

ちょっと珍しいのは

赤ん坊の時に転生する

赤ん坊に転生して

本当に生まれるシーンから始まって

これどれぐらい真面目にやるんだと

NHKの大河ドラマみたいに

例えば 一話だけ

もしくは一話の前半だけ赤ちゃんやって

一話の後半になるともう
5歳か10歳ぐらいで

最初の能力みたいなものを出して

二話から15歳とかそこら辺になって

みたいな流れかなと思ったんですけど

まだこのときには分かんない

ただ普通に良くできてるアニメ

タイトルとかオープニングが始まらない

アバンもう終わったよと

ここまで見せたら もうアバン

いわゆるタイトル前が終わり

「無職転生」てタイトル
まだ出てきてないし

「第一話は⚪⚪」って
サブタイトルも出てきてない

ただメインスタッフが
延々名前が出てきただけ

最近オープニングって二話からやるから

流行りのいつものパターンかと思ったけど

結局 二話まで見てわかったんですけど

第一話と第二話で45分の一つの話

45分の一つの話を
無理やり一話と二話に分けた形式

二話のラストまでオープニングがない

二話のラストで
オープニングの映像出すのは

最近のアニメの手法だから

例のアレねって思っちゃうけど違うんです

一話と二話で一つの話だから
二話のラストでオープニングある

一話ごとにクライマックスとかカタルシス

つまり見てて「こうなのか」という

快感があるから気が付かないけど

ちょっとこの監督すごいんじゃないのか

ただ まだこの一話のここまで

普通に見てたんですね

ハイハイで家中を観察するようになる

生後半年ぐらい

言葉を覚えました

俺の名前は
ルーデウス・グレイラットと言うらしい

以後 会話は日本語になります

親の言ってることも
だんだんわかってきたので

これが女の人が嫌だと言ってるやつ

パンツを被ってる変態の34歳男

パンツを被ってるところを
メイドのリーリャに見つかる

だいたいここらへんで
見るの辞める人が多いんですけど

もうちょっとだけ我慢してください

このメイドのリーリャが

心の底から軽蔑したような

気持ち悪いような目で見てる

まだ リーリャに軽蔑されてる

気持ち悪がられてることが分かりません

これは四話への伏線

この辺りで 僕が

ちょっと待てよと

このアニメ 俯瞰的な説明が無い

主人公の目線だけで語ってる

俯瞰的な説明っていうのは

主人公の家の外観とか

主人公の家がある村とか

異世界なのは主人公にはわかんないけど

テレビの視聴者にはわかってるよ

無職転生ってタイトルなんだもん

わかってるよ だからさっさと

ドラゴンがいるのか

お城があるのかとか

そういうのを見せてくれと思うんですけど

一切見せないんですね

全体像を見せない

主観に徹している

主観に徹すると
どうなっちゃうかと言うと

絵が地味になる

延々・・

まだ生後半年の赤ちゃんですから

家の中しか見せられない

だから地味な絵になってしまう

ただ地味な絵でも飽きさせない

密度で見せてるから見れる

主人公のモノローグで進行するスタイル

画面で見せているものと

モノローグで語ってる内容との

ズレを利用してます

後で説明します

この主人公のモノローグは

声優さん二人使ってる

名探偵コナンでコナン君が

大人に向かって子供っぽく喋る時と

自分の独り言として考える時って

一応 大人と子供の声なんですが

あれは声優さん一人

つまり

声優さん一人で
キャラクター内で使い分けるのが

アニメーションの当たり前

今回のアニメでは

大人の声と子供の声を
全く違う声にしたい

前世の34歳男と
生まれ変わったルーデウスは

完全に別人なので
本当に声が違う

これってあの

一番最初に発表された

小説では無理な表現だし

漫画化された時も無理な

アニメーションの
オリジナルの演出プラン

なんでこれが

僕がちょっと引っかかってるのか

演出プランが難しいから

本来 演技でやるべき切り替え

一人の声優さんが

(低い声)

(高い声)

これは声優さんの演技でできる

つまり

(低い声で)こういう風に思ってる

っていう風に声を潜めて

それで
(高い声で)ぶりっ子して聞く

一人の声優さんの
演技プランの中で出来る

声優さんの中に
キャラクターがちゃんと生まれる

ところが

その切り替えを
音響監督がやるしかない

おまけに今コロナだから

別撮りでやるときもあると思う

子供の声をしたルディと
※ルディ ルーデウスの愛称

大人(34歳男)の内面の声

モノローグのメインの声のルディを

別の声優さんがやってて

別撮りの可能性もある

音響監督が別撮りで撮って

後で合わせて演出にしなきゃいけない

声優さんにはフラストレーションが
溜まりやすい仕事

声優さんにしてみたら

全部自分でやらないと
キャラクターがつかめない

音響監督にしてみたら

声優分けてやる監督の意図は分かるけど
不自然になるんじゃないかなって

試し試しやってる感じがする

うまくいってるんですけど

かなり難しい挑戦

次のカットです

ルディが見てまわる家の中

ガラス窓から外を見てる時

ガラス窓に顔を近づけると
ツディの顔が歪みます

つまり ステンドグラスみたいな

鋳鉄でできたリングに

丸いガラスをはめ込んでる

この部分もガラスはめ込んでるんですけど

そういう細工もの

昔の工法のガラスだから歪む

板ガラスを作る技術が無いので

わざわざルディの顔が
ちゃんと歪んでるという表現を入れてる

ちょっと懲りすぎですね

あれ いわゆるファンタジーと違うぞって

この辺からわかってきた

トイレの書き込みとかも異常

窓の外の風景が田園風景で

ここは電気もパソコンもないのかってことで

まだ主人公の主観以外見せてないんで

ファンタジーの世界と分かりません

ところが

よくよく見るとですね

お父さんのパウロが庭で剣を振るってる

厨ニ病か!と主人公がツッコむ

まぁ これもですね

まだ分かんなかったんですね 主人公は

剣を振っているのを見て思わずびっくりして

後ろ向きに落ちて頭を打ってしまう

お母さんが駆け寄って来て

痛かったって言うんですね

落ちた赤ん坊(生後半年のルディ)は

心の中は34歳のおっさんなんで

泣かない子供なんですけど

お母さんが
おまじないしてあげるわね と言って

ヒーリングの魔法かける

お母さんが呪文を詠唱しだすと

おいおい母親の方も厨二病かよ

父親は剣振ってるし

なんで俺はこんな厨二病の
両親のところに生まれちまったんだ

みたいな独り言を言ってると

本当に手から光が出て痛みが消えてく

え!?間違いない!

変だ変だ と思ったけど

ここは剣と魔法の世界だ

ここは地球上じゃないんだ
と主人公が叫んで

アップになった空に
また地味な生物が飛んでる

鳥じゃないんだけど
ドラゴンでもない地味な生物が飛んでて

ここでいくらなんでもオープニングか!とか

ここでいくらなんでも無職転生
ってタイトル出てくるかと思いきや

まだ(オープニングもタイトルも)かからない

そっからですね

まだまだ地味な室内の様子が続きます

一歳で歩けるようになって
物置で本を発見する

5冊あるけど題名すら読めない

一応を喋れるようにはなったし

聞いててわかるんですけども

伏線もちゃんとあるんですね

生まれ変わった俺の体はやたら物覚えがいい

子供ってこんなに物覚えがいいのか

それとも この体の遺伝子が
優秀なのかわかんないけど

ありがたいありがたいって言いながら
どんどん言葉を覚える

二歳になったら
お父さんが本の読み聞かせしてくれる

文字が読めるようになる

見つけた本が魔術教本だと分かります

魔術の本ですね

ちょっと分かりにくいんですけど

紙の淵がギザギザなのわかりますか

紙の淵がギザギザなのは

羊皮紙か何かわからないんですけど

紙の製法が今みたいな
完成度じゃない未完成だから

紙を断ち切ってるのではなく

シートみたいなものができたら
すいて(紙が)できたら

それをそのまま使ってるから
淵がギザギザなんですね

全部カラーで色んなものが書いてある

おそらく写本でしょう

写本と言って人間が手で写して
人間が手で色を塗って仕上げたような本

読んでるシーン 一生懸命読んでます

魔術には詠唱と魔法陣
2種類の発動方法がある

しかし現在は詠唱が主流

魔方陣は割と使わない

個人の魔力量

どれくらいの魔力を使えるのかの
絶対量は生まれつき決まってる

こういう魔法のルール説明があります

これね全編通して
かなり重要な設定なんですよ

この段階ではモノローグだけで話してる

だから流して聞いてて大丈夫です

この後自分でちゃんと実験して知る
というプロセスで書くから

この一番基本の設定の

個人の魔力量は生まれつき決まってる

呪文は詠唱して
声に出して呪文を唱えることで発動する

この世界の基本ルールは
ここではまだセリフだけ

ルディが試しに

本に書いてあった呪文を読んでみると
魔法が使えます

足から指先へ魔力が伝っていく表現

なんで足から伝わるような
表現をするのかっていうと

無職転生の世界で魔力っていうのは

その地方・その土地ごとの資源なんです

地下資源みたいなもの

それを(魔法に)利用する

だから大陸によって

それぞれの大陸ごとの魔力総量は違うと

なので その大陸ごとに植生も違う

いわゆる 生えてる植物の種類も違う

魔力がすごい盛んな所に行けば
植物も魔獣・魔法植物になりやすい

動物もそう

魔力が少ないところ行くと
全然普通に野菜とかが取れたりする

かなり細かい設定です

教本通りに呪文を詠唱してみたら

バケツサイズの水球

本当にこれぐらい塊の水球

水の玉 ウォーターボールができる

どころか 教本では

ウォーターボールの呪文を唱えると
飛んでいくはずなんです

飛ばずに下にパチャンと
落ちちゃうんですね

なんでだろう?
もう一回やってみようということで

手をかざして
まず最初にイメージしようってことで

頭の中で水のイメージをする

そうすると
無詠唱って言ってるんですけども

呪文を口に出して言わずに
つまり詠唱しなくて発動するから

無詠唱って言葉を
このアニメの中では使ってます

無詠唱で水球が出てきてしまう

ても相変わらず飛んでいかない

3回目試そうとしたんだけど

そのまま寝落ちしてしまいます

がっくりと気を失う
これが魔力切れ

個人により魔力総量には絶対量があって

生涯決まらない(変わらない)という設定は

ルディの場合は
ウォーターボールを2回出したら終わり

2回出して3回目出そうとしたら
疲れ果てて寝てしまう

つまり 本で得た知識

魔法はまず呪文を言わなければいけない

個人の魔力量は絶対値があって

それを超えることができない

この時にセリフで言ってた設定を
目の前で実演して

テレビを見てる人達に画面で見せてる

これ すごいなと

僕もこの辺からはっきり分かったんですけど

異世界モノのハイジ

異世界でやってるアルプスの少女ハイジ

アルプスの少女ハイジでやっている

ヤギの世話とはどういうことか?とか

チーズを作るとはどういうことなのか?
っていうのは

どんどん絵で見せてやってるのと
全く同じように

何かかなり複雑な設定を

どんどん映像で見せて 見てる人に

この地味に見える世界って
すごいんじゃないのって

思わせるリアリティを出す
手法を取ってるんですね

だからもう
僕みたいな設定マニアとか

SFファンにとって
凄く面白い作品だって分かった

1カットだけ紹介してますけど

こういうカットが連続する

手から水玉がどんどん落ちてる

下にバケツがあってそれで受けてる

この手から出る水玉の数が

最初 三つだったのが
四つ五つ・・無限に増えていく

つまり毎日訓練を続けると
水の量がどんどん増える

魔術を使うと魔力総量は増える

個人によって限界があったはずの
魔力総量が増えるし

詠唱は必要ないという発見がある

あの本嘘かましてやがったと
セリフで言うんですけども

本に書いてあることと違うぞと

実は呪文を口に出す必要はないし

魔力(総量)は増えるんだ

使えば使うほど増えるんだ
ていうのを説明しながら

台詞で言いながら
一つのカットで見せてるんですけども

暑い夏の日とかですね

寒い冬に口から白い息を出しながら
水をポンポン出してるという

訓練の説明をする

つまり 長い間これを続けていて

こいつはですね 幼児の間

一〜二歳の間ずっとこれを続けた
という設定がわかるように

時間経過を絵で見せてるのが上手い

それの後
食事シーンもちゃんと入ってる

毎日の食事風景が
ちゃんとあるのがエモい

エモいという今時の言い方も
そうなんですけども

環境が変わるんですね

こっから先 主人公の環境
どんどん変わるんですけども

家で普段食べてる食事が
どんなものかちゃんと分かって

それがね 割とちょっとエモい絵柄

この下の方を見たら分かるんですけど

家族で食事をとるところが分かりやすい

食べものが木のお皿に乗ってる

後に貴族の家に世話になる時になると

貴族の家はちゃんと陶器の皿になるから

決して金持ちではない

ただですね

机の真ん中にはベーコンの塊があって

それをカットしてみんなで
取り分けて食べられるようになっていて

机の上には裸でなくて燭台に乗っている

専用の台座に乗ってる
ロウソクが2基置いてあって

住み込みのメイドさんもいて

明るい楽しい生活をしてる

窓にもガラスがはまってるから

実はかなり裕福な家というのが分かります

ただその かなり裕福な家といえども

ちゃんと夜のシーン
周りを暗く描いてる

ロウソクの明かりがそこまで
回り込まないから暗いまま

これエモいなと思ったシーン

温かいシーンを普通に描くようにしてます

主人公の訓練の日々が始まります

主人公がモノローグで言ってるシーン

日常の描写

一コマ目はお母さんに体を洗ってもらう

ちょっと股間まで描いてあったので

僕は黒で修正してますけど

アニメの方ではっきり描いてあります

お父さんがベッドで本を読んでくれる

モノローグで主人公が言ってるのが

なんで魔法の本には

魔法・魔術は呪文を読まなければいけない

口で言わなければいけない
と書いてるんだろう?

詠唱は魔法陣の自動化だろう
と主人公は考える

詠唱化するという仕組みにしたら

まず教えやすい

自分みたいに
魔法をイメージするのではなくて

まず口に出して(詠唱化)すると
イメージしやすいから

教えやすいし 使いやすい

戦闘中に 自分が一番最初に
無詠唱でやったみたいに

目をつぶって集中する
なんてことやったら

その間に敵に攻撃されてしまう
だったら敵を見ながら

覚えてる呪文を口で素早く言ったほうが
たぶん発動が早いって言ってる

それで教えてるうちに

いつしか詠唱は不可欠という
誤解が広まったんだろうと

主人公は推理します

延々 主人公のモノローグなんですよ

子供の頃に魔力を
どんどん使うようにすると

魔力総量が増えていくのも

そんなこと今までやった人がいないから

自分は特別に34歳の意識を持ったまま

転生したのでそれができたんだけど

普通は子供は二歳とか三歳まで
ものを考えないのでやってない

だから幼児期に魔力総量が増やせることを

誰も知らないから
知られてなかったんだっていうのを

セリフをやってるんですけど

そのセリフの上に
お父さんが読んでる本が

こうしてペルギウスは魔神ラプラスの元へ

実はその 全体展開の伏線

お父さんが何気なく読んでいる

主人公のセリフにかぶっている絵本の内容が

こっから先の
30話ぐらい先になってくるんですけど

全体展開の伏線になってる

なかなかうまいやり方

「幼児期に魔力総量が増やせる」が

主人公が強い

何でこの世界の中で特別強いんだって

いわゆるチートっていうやつです

主人公だけ
何で強いんだっていう説明になってる

魔力総量とか無詠唱は

二話で出てくる 卒業試験の時に出てくる

主人公の強さの
もうひとつのセリフですね

科学知識があるので
魔力を合成することができる

例えば
雨を降らす・雲を作る・雷を呼ぶ

それぞれ単品の魔法としてしか
この世界の人は認識してないんだけど

雲はどういう構造でできてるのか

雷雨はどのように起こるのかっていう

主人公が
天気予報で見た程度の知識でも

あっ ということは

下の方から冷たい風が
吹きあげたらってことで

推理して魔力を組み合わせることで

より強い魔力が使える

ここらへんも
主人公が強い理由にちゃんとなってます

初めてカメラが外に回る

主人公が窓から水を捨てている

たまった水を捨ててるんですけど

ここで注目してほしいのは

さっきのこのシーンとかなんですよね

家族の団らんシーンなんですよ

なんで僕が「ああ、これすごいな」と
本格的に思い始めたのかって言うと

小説とかですね

大体5巻10巻ぐらいまで進んでいった時に

このお話がいったい何を
書こうとしてるのかはっきりつかめた

それで一話見直すと凄いびっくりする

例えば 身体を洗ってもらってる時に

主人公は別のことを考えてる

モノローグで魔法のことを言う

本を読んでもらって
それを片耳で聞きながら

心の中は別のこと考えてる

つまり両親はこの子供のことを

自分の子供で
普通の子供だと思ってるから

愛情すごい注いでる

しかし主人公のルーデウス・グレイラット

ルディはその愛情に気が付いてない

ここでは

全く親に対してそういう
関心を持ってない顔してる

そうじゃなくて

そんなことをしてもらって当然と思ってる

感謝もしてないんですよ

これがねアニメ版独自の描写

後にルディは自分の態度を
反省して 後悔して

何で自分はやってもらって当たり前
と思ってたんだって

思うようになるんですけども

原作の小説が一人称で書かれてるから

この叙述トリックが使えない

原作の小説では全部一人称で
ストーリーが書いてるから

主人公がそのことにハッと気づいて

自分で言うまでわからない

ところが アニメは

主人公の主観以外に

問答無用で客観的な情報ものせられる

なので ルディが頭がいい赤ちゃんで

みんなが感情移入することができる
主人公が色々考えてる時に

親がすごい献身的に笑顔で

子供に尽くしてる絵を見ることができる

なので この叙述トリックができる

アニメ版の特徴というか
魅力は本当にここだと思います

小説とかではできない

一人称の主人公に対して

実はこれって
どういう状況なのかという伏線を

絵で作ることができる

異世界に転生して主人公は魔力は使えるし
科学知識もあるし経験もあるから

実はかなり無敵

しかし前世と同じなんです

前世と同じ34歳の引きこもりで

親の愛情を感じることもできないし

人にありがとうと思うこともできないような

性格はそのままなんですよ

でもそれはまだ
この段階でわからないように描いてる

まだこの段階では分からなくて

主人公が独り言でいってる魔法の説明に
観てる観客もずらされる

ずらされてるんだけども

ところが僕らの内面というか
無意識にこの絵の印象だけは残るから

なんとなく引っかかったままで見る

さりげなく描写されてます

だからこの伏線がわからなくても

ここら辺の背景暗く落としてるから

エモいシーンだなー
ってことだけは分かります

魔力総量を増やすことだけ
に集中するルディは

相変わらず水球を飛ばすことはできない

季節は秋から冬になって

また春になって夏になります

夏 ついに魔法成功します

夏になったという描写も

家庭菜園の
二十日大根と枝豆を最初に見せる

この絵を二枚ポンポンと入れることで

夏になったと表現なんですけど

やっぱカメラは外へ出るんですね

なんでここでカメラを
外に出すのかって言うと

パウロの主観で見せたい

お父さんパウロの主観で

ルディ1回目の成功ですね

パウロの頭に水がかかった

あれ雨かな?と思ったら雨じゃない

なんでだって言うと

次にカメラが部屋の中に入ると
ルディが成功したって言ってるシーン

これをやるために
(カメラを外に)やってるんですけど

同時にですね

パウロが庭にいるときに剣を振ってると

近くの女の子がパウロを見に来てる

実はお父さんパウロは
モテモテのやつなんだ

こっから先 徐々に
伏線になることもハメていってる

言い方悪いけど

単なる異世界転生アニメのくせに

やけに高級な伏線の張り方というか

見せ方してるんですね

ついにルディは
(水級を)飛ばすことに成功しました

暗くてわかりにくいんですけど

窓から光が射して
ルディがここに座ってます

水の玉が桶に飛んでいく

ポーンと飛んでいく

何回も飛んでいくところを見せる

ウォーターボールという
魔法の原理がわかります

ウォーターボールという魔法は

まず 水を生成する

次に サイズ設定

次に 射出速度・発射速度の設定

最後に 発動 4段階ある

この4段階をオートでやってくれる

自動でやってくれる装置が呪文

だから 実はその

生成・サイズ設定・速度設定・発動を

意識しなくても
呪文され唱えたら何とかなるのを

自分は無詠唱で
やろうとしてたから分からなかった

速度設定してなかったから
水が飛んでかなかったことが分かる

主人公のルディは異世界もので
ありがちな能力ですけど

一応設定もきちんとしてる

原理が出来たので

次の中級魔法
スプラッシュフローを試しに詠唱してみます

そうすると

まあすげー大量の水が集まるわ

ドンと発射して

空に水が消えていって
虹みたいな状態になるわ

壁に大穴は空くわと大騒ぎです

と同時にですね

両親に魔法をこっそり使っていたのが
バレてしまいます

今まで内緒にしてたんですね

魔法なんか使えたら

子供なのに魔法なんか使えたら

異端裁判にかけられるんじゃないか
と考えたんですけども

この子は天才だわ
とお母さんゼニスは大喜び

家庭教師を雇うことに

このとき主人公のルディ3歳

お父さんのパウロは

騎士(ナイト)として

この村を守る
警備する任務についてた

領主から任務を命じられていた

なので家庭教師を雇うお金ぐらいはある

というわけで やってきたのが

第一のヒロイン ロキシー

ロキシーがやってきました

無料の第一話解説はここまで

ちょっと最後にまとめてみます

原作の小説の凄さっていうのは

限定の方で語るので

アニメの凄さをもう1回確認してみましょう

このアニメは理想のアニメ化だと思う

エモさを追求してる

さっき話したような
心の中に引っかかってくる

何か感情が揺さぶられる
というほどではないけど

ちょっとグラッとくるような描き方やって

そこに本当に

派手な画を見せるんではなくて
エモい画

感情が震えるような画を見せることに

集中してるところがすごい

風景や日常なんかの描写が面白い

例えばこれさっきの絵を
アップにしたんですけども

食事のシーン

食べてますって説明じゃない

料理を作った人の気持ちとか

人物の関係が分かるように描いてる

だから

皿の上のベーコンは塊が真ん中にある

お母さんだけがお祈りしてます

他の三人はお祈りしてない

なんでお祈りしてるのか?というと

お母さんのみがミリス教徒

この世界で言うと
キリスト教みたいな宗教に入ってる

これも後の伏線になってきます

人間関係が分かるような食事シーン

それに対して

家庭教師のロキシーがやってきた時
の歓迎の食事です

家は質素だけど

貧乏じゃないんだけど質素な家

でも精一杯のご馳走を作ってるのは分かる

真ん中にあるデカイものはパン

それでもここに鶏か七面鳥の
大きい鳥一羽まるまる出してる

お父さんのパウロが飲もうとしてるのが
エールというビール

薄いコップがないので

でかい壺みたいに入ったエールを
持ち上げて飲んでいます

これまでに出てきた二台の燭台

食卓に置いてた
さっきのシーンでも

ちょっと比較しましょうか

家族だけの食事の時でも

燭台(ろうそくの台)二台置いてる

このときもテーブルの燭台は
二台なんですけど

よく見ると壁に燭台一台置いてる

だからちょっとだけ明るい

この三台目の燭台を一つ出すことによって

部屋を少しでも明るくして

少しでも歓迎パーティーって
雰囲気を出そうって言うね

エモさ

これもやっぱ気づかないんです

見てたら気づかないのが当たり前で

僕みたいに分析的に見てないと

こんな分かんなくて当たり前

作り手としてはこの家族が貧しい中

質素ながらも精一杯歓迎してます

という画を見せたいって
心意気だけは伝わってくる

食事のシーンになると

メイドのリーリャは
パイを食べてるんですけど

左利きだから左手でパイをもって

右手で手皿を作ります

カスがこぼれないよう手で受けてる

こういう食べ方をさせる

この一人ずつキャラクターの描き方

次にロキシー 家庭教師が

「どんなものかまだ分からない」
から食べるところ

そして食べて笑顔になるんですけど

なんでこんな顔してるのかって言うと

彼女は魔族の一員で

魔大陸には砂糖がほとんどない

だから甘いものを知らないんです

大陸ごとに 魔力埋蔵量が違うので

魔大陸は植物も動物も魔物が多い

なので普通の野菜とか栽培しても
なかなか育ちにくい

後に主人公たちが
魔大陸に行ってしまう話になる

そこではどんな食料が手に入りにくいのか

野菜とか手に入らないのかっていうのが

原作ではかなり細かく説明してる

それを今見せてるので

うわー美味しいって顔になってる

驚いて笑顔になってる

初めての素直な笑顔です

この第一話のラストで

初めてコ素直な笑顔を見せる
って言うのが締めになってる

それは砂糖みたいな甘いお菓子を
知らなかったロキシーが

もう自分はクビに
なるんじゃないかと怯えながら

歓迎パーティーをしてくれて

精一杯ロウソクの台を
一台増やして歓迎してくれて

そこで甘いもの生まれて初めてだっていう

もうエモいシーンの連続なわけです

このあたりの設定は
物語が進行しないとわからない

第一話でさりげなく入れている

後で気づく意味のあるカットの数が
えげつないほど多い

僕は今ずっと説明していった

これ実はこうなんだよっていう設定は

単行本で言うと3巻とか5巻あとぐらいで

徐々に出てくるものなんですけども

アニメーションを作り手は
これを思い切って一話に入れてる

思い切って一話で画にして入れて

なんかそれらしい雰囲気と

それらしい なんだろうな・・

エモい画で見せることによって

後で見てゾクゾクするような
出来になってますよって

こういうふうな作り方してる

僕は結局このアニメの
一話のラストまで見て

これ面白いんじゃねーかって

二話見て感動したって言いましたね

四話までアニメを見たところで

もう我慢できなくなって

まずコミックスを全部買った

全部じゃないな

最初は1巻と2巻だけケチケチ買った

これは面白いと思って
コミックスを全部買って

コミックス読んでるときに
ちょっと待てと

これ原作でどうなってるんだと思って

原作を また最初に5冊だけ買ったのか

5冊買ったらその日のうちに
5巻まで読んでしまって

ラノベなんですよ

ラノベだからやっぱり読みやすい

こういったら失礼なんですけど

ラノベだからちょっとやそっと
飛ばしても全然大丈夫

24巻まで全部読んでるんですけども

1/3ぐらい読んでないです

ここはまあもう分かったからいいやと

ザーッと飛ばしてるんですけど

それで割と楽しめるんですけど

結局全部読んじゃったんですけどね

3巻4巻あたりでやっと出てくる伏線が

一話で映像でガンガン出てくる

でもこういうの知らなくても

ロキシーって女の子が 最初失敗して

クビになると思ってたのに
歓迎されて嬉しいんだっていうのが

それだけはわかる作りになってるので

後でそういうの分かってから
第一話のアニメを見ると

更に心が動くような感じになってます

僕はさっきも言ったように

このエモさ追求っていうのは

理想のこのアニメの映像化だと思う

無職転生という話をアニメ化する時に

一番良い方法をとったなと思うんですけど

弱点もあるんですね

一つ目の弱点だけ無料で言っときますけど

とにかくキャッチーじゃない

異世界に転生のファンタジーだったら

半裸の美少女を山ほど出しゃいいのに

普通の魔法世界転生モノだったら

もう女の子が山ほど出て
女の子のうち半分ぐらいは

もう半分裸みたいなのが
山のように出てくるんですけど

まぁ出ない 第一話ではゼロです

第一話では(半裸美少女)
全く出てこないんですよね

さっき話した

第一話後半で出てくる
家庭教師のロキシー

これも美少女風に見えるんですけども

実は37歳なんですよ

37歳のおばさん家庭教師が家にやってきて

それを見てときめくって話で

今アニメやってる九話ぐらいで

ロキシーってそんな歳だったの?って

主人公が愕然とするシーンがある

本当に絵面が地味なんですよ

あと お話も地味です

お話も地味で 魔法世界なのに

とりあえず今アニメで放映されてる
十話まで見ても

魔物との戦闘シーンはありません

ダンジョンにも一度も潜りません

ルディが魔法は使うんですけども

主に使うのは 土魔法です

火の魔法でも 水の魔法でも
氷の魔法でもなく

主人公が使うのが土魔法です

後に大活躍してあだ名がつきます

「泥沼のルディ」っていう

泥沼を作るのが大好きですごい得意

泥沼のルディって二つ名がつく

地味ですよね

この地味なところが面白い

本当に僕は

30代以上の人が一番面白がれるって言う

今時アニメではない凄さだと思ってます

なので 本当に

これはアルプスの少女ハイジだなと思った

このアニメのことを

令和の高畑勲と呼んでる

これ高畑勲の演出法だよって思います

弱点もうひとつ
もっと大きい弱点がありますけど

まぁ無料はここまでにしときましょう

まだまだ第一話の続き

そして僕が
このアニメ本当にすごいと思って

大爆笑して
もう一生ついてこうと思った

第四話の話

驚愕の第四話 限定の方で話しましょう

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