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こども園問題の進展(2022年8月版)

6月に問題の整理を行いました。過去5年に渡る議論の課題や論点を時系列で述べたものになります。


7月20日の民生教育常任委員会で、新たな整備方針が町当局から打ち出されました。

本記事では、まずは7月に出された整備方針についてご説明します。
次に、8月臨時議会で提出された補正予算(こども園関連予算)の内容および私の表決とその意図について述べます。

議会の結果について先にお伝えしておきます。
こども園関連予算を落とした修正案は否決。そして、耐震診断の予算が含まれる原案が可決となりました。

大きく方向転換した整備方針

7月に報告された方針は、これまで一点張りだった「現在地・新築」から大きく方向転換しました。

a.整備方針の概要

・浜坂、大庭認定こども園の2園を存続させるために、両園を耐震改修し、約20年の施設長寿命化を図る。
・浜坂園は、現在の敷地内で一部増築し、0歳児保育機能を持たせる。
・浜坂園は、現在の敷地を嵩上げしない。
・2つの園の改修工事は時期をずらす。工事期間中、すこやか広場に建てる仮設園舎に通ってもらう。
・費用は従前の方針(浜坂10億円&大庭4億円)に比べ、3〜5割減。つまり、おおよそ7〜9.8億円想定(仮設園舎建設費用含む)。

b.方針を変えた背景

5度の否決。そして、全議員との個別面談(4月実施)を経て、議会の賛同を得ることは難しいと判断したようです。

c.スケジュール案

R4年度 10〜3月    浜坂園の耐震診断(8月補正予算
※浜坂園はH28に耐力度調査、大庭園はH30に耐震診断を実施済み
R5年度 4〜8月   2園および仮設園舎の設計
R5年度 8〜翌4月  仮設園舎設置工事
R6年度 4〜12月    浜坂園児が仮設へ。浜坂園改修工事
R6年度 12月     浜坂園完成。浜坂園児戻る
R6年度 12〜翌7月   大庭園児が仮設へ。大庭園改修工事
R7年度 7月      大庭園完成。大庭園児戻る
R7年度 7〜8月     仮設園舎撤去

d.各論点に関する評価

前回記事でまとめた5点(防災、統合・人口減少、ユニバーサルデザイン、保護者が働きやすい環境、財政)について、どのような変化があったのかを整理します。

1.防災
大地震に備えるために耐震改修を行いますが、かねてより言われていた水害に対する備えが無くなりました。
防災については、後退したと言ってよいでしょう。

2.統合・人口減少
2園存続を明示しました。
統合についての議論を開始する時期は明らかにしていませんが「長寿命化した20年間統合しないというわけではない」と教育長が述べておりました。

3.ユニバーサルデザイン
現在の園舎で障壁となっている部分が改修によりユニバーサルなものになるかもしれません。
浜坂園について言えば、2.72mの高台への通園がなくなりましたので、幾分改善されたのかもしれません。

しかしながら、災害時に要配慮者が逃げなくては行けない立地であることは問題であります。(逃げなくても良い立地を選べる環境なので、問題視します)

4.保護者が働きやすい環境
0歳児保育を充実させるので現在よりも改善されますが、従前計画はより充実した機能を持つ予定だったため相対的にはマイナスです。
なお、病後児保育については別途検討とのことです。

5.財政
公共施設マネジメントは何十年のスパンで考える必要があります。
10億円かけて20年の長寿命化をするが、統合のタイミングは不明そして統合後の施設活用も不明というのが現在の方針です。
長寿命化しても20年後には、新しい園舎が必要となりますので、検討しておく必要があります。

従前の総工費は浜坂10億円&大庭4億円と言っておりますが、試算が物価高騰前のものなので、今試算すると20億円程度になるのだろうと思います。そう考えると20億円→7〜9.8億円ということで、5〜6.5割削減と言えます。
ただしこれは短期的な計算であり、やはり何十年のスパンで考えると単純に節約できたとは言えないのではないかと考えます。


5度の否決と全議員個別面談によって、今回の整備方針を出しましたが、反対されていた理由のうち意見を汲まれたのは財政面のみだと感じています。


8月臨時議会の補正予算

a.補正予算の内容

今回の補正予算で出されたのは今年度中に実施する予定の「浜坂園の耐震診断」510万円。
財源は財政調整基金です。

前述の整備方針のスケジュールで触れましたが、今年度は耐震診断で、来年度以降の整備の取っ掛かりとなります。

また、今回の補正予算審議にあたり、こども園関連予算510万円分を落とした修正案が議員3名により提出されました。

結果的に、修正案否決。
そして、原案可決となりました。

さらに、可決された原案に対する付帯決議が、議員1名賛成者1名から発議されましたが、賛成少数により否決されました。

b.私の表決

私の表決は以下のとおりです。
修正案:反対
原案:賛成
付帯決議:反対

c.私の表決の意図(修正案・原案)

修正案反対と原案賛成の理由は表裏一体なので、併せて説明します。

端的に言いますと、「耐震診断だけ」の補正予算が計上されたので原案に賛成しました。
設計業務等の耐震診断以外の予算が少しでも含まれていれば反対していたと思います。私は防災面を無視した計画や少子化を見据えていない計画には否定的ですので、新たな整備方針全体については反対です。

これまで町当局の提案に反対していた議員は、今回の補正予算案について3通りの考え方があったと思います。

まず1つ目は、耐震診断だけの補正予算であっても来年度以降の整備の取っ掛かりとなるから反対という考え方。私はこの考え方も非常に理解できますし一理あると思います。
実際に、補正予算が通ることで行政サイドはお金では見えない打合せや交渉を進めるでしょう。すこやか広場のある宇都野町への説明なども進みます。また、予算流用によりその他のこども園関連予算に支出があるかもしれません。このような予算以上の事業の進展であったり、住民や職員のムードを危惧して反対することは理屈が通ります。

2つ目の考え方は、耐震診断はこども園問題だけでなく、公共施設マネジメントの観点でも有効なので切り離して考えるから耐震診断だけなら賛成という考え方です。
浜坂園の現在地は、駅前商店街の延長線にあり、空いたスペースの少ない駅前(浜坂市街地)では貴重な土地です。社会福祉施設には向きませんが、立地は良いと言えます。そのような立地にある公共施設ですので、今後の活用も視野に入れておかなくてはいけません。その意味で、耐震診断はこども園に関係なく必要と考えられます。

3つ目の考え方は、新たな整備方針そのものに概ね賛成という考え方です。

私は2つ目の理由を元に、原案に賛成しました。

d.私の表決の意図(付帯決議)

次に、付帯決議についてです。
付帯決議とは、案を可決するときに会の意思を表明する決議です。この決議が可決されると、執行側はこの決議を尊重することが求められます。

付帯決議の内容はこうです。
1.浜坂園に洪水対策を講じること。
2.大庭園の完成は5年度中を目指すこと。
3.両園の整備は費用対効果を見据えた整備とすること。
4.仮園舎は費用を最小限にとどめること。
5.統合や教育の在り方の議論を提起すること。
6.園整備の補助金は施設転用の支障とならないようにすること。

付帯決議には賛成できませんでした。
概ね賛成したい気持ちではあるのですが、何を実施すれば各項目を満たしたことになるのかの評価が難しく、行政側を苦しめてしまうように思えました。
なによりも私は整備方針全体に賛成して原案賛成しているわけではないので、2園存続&現在地改修の注意点を示すような付帯決議には参加したくなかったというところです。

私はあくまで「耐震診断」に賛成し、計画全体には触れません。



以上が8月議会における私のスタンスです。

長文になりましたが、お読みいただきありがとうございました。
ご意見等あれば、各SNSまたはメール(okasakaryota@gmail.com)へご連絡ください。


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