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ゆく年くる年プノンペンで、らしきこと、をする

うかうかしていたら年が変わっているじゃないですか。生きていると相対的な1年がどんどん短くなるというのは本当ですね。うかうかばかりもしていられないので、大晦日はちゃんとカウントダウンをしました。それらしきことをやってみた年末年始の話し。

厳かではない年越し

雪国生まれのわたしにとって、年越しってしんしんと積もった雪のなかで静かにすぎるものだった思い出があります。除夜の鐘を(集落に寺はないのでテレビから)聞くころに家族みんなで寒い中、2年参りに行って、神様にゆく1年と来る1年に手を合わせるるといった厳かなものでした。まずは神様に詣らずに今年ははじまらないかのような。日本の年越しは、なんか厳かですね。
ところかわってカンボジアは。そもそもお正月は4月にクメール正月という本番があるので、12月31日はカウントダウンのイベントをする”なんかにぎやかな日”。去年は友人たちとコンポントム州のホテルに泊まってプールサイドで歌っていたし、一昨年はカンポット州のリゾートで手持ち花火を打ち上げて、やっぱり厳かのかけらもない年越しをしました。

年明けとともに花火どーん

今年はというと、プノンペンで花火が目の前で見られる部屋に住んでいる友人宅にお邪魔して、花火を見ながら年を越してやろうじゃないか祭りでした。花火はカンボジアの年越しらしきことですが、日本でのらしきことといえば、大晦日の紅白歌合戦。幸いプノンペンではNHKが見られるので、まずは紅白を見ながらビール、デリバリーでおつまみを頼んではワイン、そしてまたビールと楽しい宴で0時を待ちました。カウントダウン少し前からフライングで勝手に手持ち花火を打ち上げ始めているプノンペン住民多数。待ちきれないのか前祝いなのか。そして、0時ぴったりから、花火どーん。厳かさのかけらもありませんが、新年を祝う気持ちが爆発したような、今年こそいい年にするぞという意気込みのような、ド派手で元気な年明けが、カンボジアらしいなと思いました。いつも22時に眠くなるわたしも、この日ばかりは1時半まで友人宅で目もぱっちり。

日本のおせちを食べてやった!

明けて元旦。4月に正月本番を控えているとはいえ、この日はカンボジアも祝日です。一年の計は元旦にあるにもかかわらず、まずはたっぷり寝坊。ゆっくり準備して11時半に向かった先は、高級日本食レストラン。わたしがそんなお店に行くことは滅多にないのですが、この日は特別におせち料理とお雑煮が食べられるってことで、食いしん坊の友人2人と食べに行ってきた次第です。運ばれてきた品々のまぁお上品なこと。久しぶりのコリッコリの数の子に、ふんわりした伊達巻に舌鼓。そういえばわたし、黒豆と栗きんとんは好みじゃなかったんだ、とかまぁそういうのはお正月なのでよしとして。具がたっぷりめに入ったお雑煮は、完全に日本のお正月気分に浸れました。心なしか目の前に雪までちらついてきたような・・・。
窓の外は灼熱だけど、元旦も、お正月らしきことをしたやったぜ。

かわいい獅子舞がついたおせち。獅子舞はもらえませんで、残念。

おせちおせちって浮かれておきながら、うちの実家ではお重に入ったおせちなんて食べたことがなかったことに気づいたわたしです。「ご飯のおかずにならない」という祖母と母の合理的な判断によって、わが家の元旦は、エビフライだの煮物だのでした。それはそれで、わが家のらしきこと。らしきことをするって、暮らしに張り合いが出る気がしますね。
どこに住んでも、年中行事を大切にする日本人でありたいと思っています。


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