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超短編小説もどき

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#香水

自分じゃない香り

ふわり、ふわり。 動くたびに香る、自分じゃない匂い。 良い匂いなのに、どこか落ち着かない。 良い匂いなのに、自分との不釣り合いさに、吐き気が込み上げる。 死ぬほど汗をかいた日に、わたしからこんな匂いがするはずなんかない。 「これは万人が好きな香りと言われてまして、お客様の雰囲気ともお似合いだと思います。」 マスク越しにでもわかる、美しくて、綺麗で、声色の優しい販売員さんにそう言われて、万人に愛されるのなら、なんて、浮かれて買った香水は、わたしの汚さを引き立たせるだ