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着物の伝統と未来を語る-きもの語り(前編)-「伝統と革新 藤井絞 4代目 藤井浩一氏」vol.1-1

日本全国には、その土地の風土から生まれた工芸品、文化が数多にあります。そんな工芸品・文化を継承し、新たな挑戦を続ける方と弊社博多織元5代目社主 岡野博一の対談をお届けします。

この大好評(になる予定)シリーズ!の記念すべき第1弾は、老舗 京鹿の子絞り 藤井絞 4代目 藤井浩一氏にお話しを伺いました。

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↑笑顔がとっても素敵な藤井さん。
実は藤井さんと岡野は10年来の付き合いで、共にこの着物業界で革新的な挑戦を続け、お互いに刺激し合ってきた、いわば戦友です。

冗談、笑いありの楽しい対談になりました。

藤井絞株式会社
創業大正4年2月の京都の絞り染め呉服製造卸。
「京鹿の子絞」の伝統を受け継ぎ、様々な技術を駆使し、世界で一点のオリジナル商品を生み出しています。

■「絞り」ってなに?
岡野: 藤井絞と言えば「雪花絞り」や「京鹿の子絞り」が有名だけど、そもそも「絞り」ってなんですか?

藤井さん: 布を糸で括ったり、器具で挟んだりして防染し、染料で染めることで様々な紋様を表現する技法です。
絞り染めの歴史は古く、インドの染色技術が大陸との交流により、日本に渡来し、6、7世紀頃には各地で絞り染めが行われていました。 

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↑CMでも話題になった「雪花絞り」

■カジュアルからフォーマルまで「藤井絞」の広さ

岡野: 日本各地に様々な「絞り」の技術、メーカーがありますが、藤井絞さんの特徴ってなんでしょう?

藤井さん: 藤井絞は伝統的工芸品の「京鹿の子絞」を技術・伝統を受け継ぎ、ものづくりに励んでおります。しかし、それだけではなく有松の絞りの技法なども積極的に取り入れ新たなものづくりにも挑戦しています。藤井絞の特徴としては、素材は絹、木綿、綿麻など様々な素材を扱い、フォーマルは振り袖、留袖、カジュアルは小紋、浴衣まで製作してることです。

岡野: いちメーカーで、そこまで幅広く扱っているのはこの業界では珍しいですね。天平時代から続く「絞り」の技術を総合的に扱い、守り、トータルでプロデュースできることは、かなりの強みですね。

藤井さん: そうですね。ここまで網羅しているメーカーは弊社ぐらいかもしれません。もともと扱っていた絹だけでは、扱えない絞りの技術もありました。
しかし、木綿や綿麻を取り入れることで、新たな技術を導入でき、新たな仕事を生み出すことができたことは、「職人さんの仕事をつくる」という意味でも何よりも大きかったです。

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↑鹿の背のまだら模様に似ていることが由来という「京鹿の子絞り」

■常識に縛られない姿勢

岡野: 藤井さんは業界の常識にとらわれず新しい試みをどんどんされていますよね。Instagram、YouTube 、最近だとclubhouseなど、積極的に新しいツールも取り入れてますね。

藤井さん: そうですね。着物業界の前は最新機械を扱う仕事をしていたんです。なので、その頃の感覚は今も生きているかもしれません。

岡野: そうでした!はじめて藤井絞さんの社屋を訪ねたとき、先代の方々の顔写真がズラリと並んでいるのを見て、僕が「やっぱり(先代の方々と)藤井君は顔が似ているね!」って言うと、藤井君が「いや、俺は養子だよ」って(笑)

藤井さん: 笑笑笑 岡野さんも10年以上前に「フェイスブックは絶対くるから、藤井君も始めたほうがいいよ」って。先見の明があったよね。

■自分が着て「いい!」と思ったモノしか紹介したくない。

岡野: 藤井さんは毎日着物を着てInstagramにも着姿をアップされていますよね?

藤井さん: 自分が着ていて「これはいいな!」と自信を持って言えるものしか世の中にだしたくないんです。
涼しさ、暖かさ、着心地の良さなど素材の良さがあって初めて柄や模様が生きると思うのです。素材という基礎、土台がしっかりしていないと、後にどんな模様、柄をのせてもダメなんですよね。
素材という基礎を突き詰めて藤井絞はものづくりをしてきました。
「はごろ木綿」もそういった想いから生まれした。

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↑素敵な着こなしを紹介している藤井さんのインスタグラム。

岡野: 「はごろ木綿」はほんとすごいよね!
あれは本当に着心地いいし、木綿とは思えないキレイな見た目。
ほんとによくこんな凄いものをつくったな!
と感心しました。

藤井さん: 岡野さんにそう言ってもらえると嬉しいです。「はごろ木綿」は誕生するまでに3年以上かかったんです。

・・・・・

お2人の楽しい対談はまだまだ続きました。
次回、「はごろ木綿」誕生秘話、そして藤井絞りさんの代名詞とも言える「雪花絞り」についてのお話しをご紹介します。

■次回予告

『「おしめ」をリブランディングして大ヒット!?』


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藤井浩一氏
京都の絞り呉服メーカー「藤井絞」の4代目。伝統的工芸品の「京鹿の子絞り」を中心に様々な絞りを駆使し、世界で一点のオリジナル製品を製作。

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岡野博一
伝統的工芸品、博多織の織元5代目。
博多織をルーツとするOKANOを六本木アークヒルズ、博多リバレインモールに出店。日本の伝統工芸を世界ブランド化するために精力的な取り組みを続けている。

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OKANO アークヒルズ店で開催!

◇老舗 京鹿の子絞り 藤井絞展◇

芸能人やCMなどにも数多く愛用されている「京都・藤井絞」。世界に一枚の藤井絞のきもの、帯を4日間限定でOKANO アークヒルズ店で紹介します。

■開催期間
2021.6.18(fri)~21(mon) 
※最終日は17:00まで

https://okano1897.jp/event/a_fujiishiboriten2021/
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構成/文 指首太志                 
1990年生まれ 着物業界5年目
大学院で貧困と教育について研究し、卒業後はインドネシア、台湾で教育支援活動をおこなう。海外で生活する中で日本の文化に興味を持ち、中でも着物に強く関心を持つ。帰国後、都内の着物屋を30店舗ほどまわり、博多織の織元OKANOに出会い、入社。仕事でもプライベートでも着物、1年の350日は着物で過ごす。

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