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個人ベースの「ESG」 ー 電気自動車購入にかかる申請手続。

 10年以上前から「太陽光発電」「エネファーム(自家ガス発電機)」「脱炭素」を実践してきた自負のある「損切丸」「ESG」ブームも「何を今さら...」と思う部分もなくはないが、まあやらないよりやる方がマシ。今回は車が買い換え時期に当たる事もあり、 ”思い切って” PHEV(プラグインハイブリッド)を購入してみた。

 10年前の「太陽光発電」「FIT」(電力固定買取制度)の時もそうだったが、お役所の申請手続が大変だったことが個人ベースの「ESG」最大の障壁となっている。筆者の自宅周辺を見渡しても「太陽光発電」を入れている家はほとんどない。今回も例に漏れず本当にわかりにくい。

 例えば経済産業省のEV(電気自動車)の補助金に関するサイト ↓ 

 これを隅から隅まで読み込んで理解できる人がどれほどいるだろうか。銀行在籍29年で数々のお役所申請をこなしてきた「損切丸」でもかなり大変だ。EVの値段が高いこともあるが、ここで断念する人も多そう。

 せっかく「申請の壁」も乗り越えたので(苦笑)、今後EVの購入を検討する人のためになるべく分り易く ”骨格” を解説しておこうと思う。

 1.経済産業省 ― 購入した車両の購入代金を補助。車種により+12.2万円~+2.105百万円まで幅がある( ↓ ご参照)。トヨタ「ミライ」燃料電池自動車に最も補助が厚い。更に給電機能(車から自宅への給電)がある車には追加で+14~+42万円。当然だが国産メーカーへの補助が手厚い

 2.環境省 ― 「自然エネルギー促進」のための補助でありより複雑「個人向けの手引き」 ↓ があるのでこちらを交えて説明する。

 ポイントは「再エネ100%電力調達」という考え方(  ↑ P1)。筆者が使ったのは①「自家発電」と②「再エネ電力証書」の購入*②「再エネ電力メニューの購入」は電力契約自体を変える必要があり、何かと面倒

 ②「再エネ電力メニューの購入」を ”おすすめ” と赤字で書いてあるところがミソ「再生エネルギー」を電源とした契約では電力料金が高く、消費者のコストが嵩む。裏を返せば原発事故で苦しむ電力会社救済に寄与することになる。それでなくてもEVに高い「お金」を払う側にすれば極力他のコストは抑えたい。結果、皮肉にもを選ぶ人は少ない。

 筆者が申請した「東京都」の例( ↑ P6&12ご参照):

 ①年間施設消費電力(試算値「北海道」以外) 4,709kW

 ②年間発電量(概算)容量2.8kW x 8,760時間 x 設備効率0.13=3,188 kW

 ③年間売電量(実績)1,800 kW

 (①-(②-③))x 4年間 = 13,284 kW

 つまり「再生エネルギー」で賄えていない分を購入して「再エネ100%電力調達」にするという発想最低4年間の継続義務があるため「不足分」を「グリーン電力証明書」( ↑ P14) 発行会社から買う。売値が1 kw = @4円なら:13,284 kW x  @4円 = 53,136円払う ↓ 

 この手続で環境省+東京都から出る補助金は+600,000円。差引+600,000円-53,136円=+546,864円「損して得取れ」みたいで妙な気持ちだ。

 これほど大変な手続にもかかわらず今回筆者のPHEV購入の背中を押したのには補助金の他に大きな要因が2つあった:

 ①「FIT」契約が切れ、売電価格が@40円 kw → @9.5円に急落

 ②7年落ちの旧車両が思いのほか「高値」で売れた

 やはり売電価格が@▼30円も落ちるショックは大きい。通常電力を@20円以上で買っているのだから、これでは毎日「損切り」。それならEVに使ってガソリン代を減らそうと考えた。そして想定外の下取り価格も大きかった。4/19 今度は中古車価格が上昇中?( ↓ ご参照)は全くの偶然だが、EVプレミアム分はカバーしておつりが来た

 それでもこのPHEVが採算にあうかどうかは微妙だ。10年前車一台ぐらいの値段で半分補助金が出た**「エネファーム」も同様で、「FIT」を入れて10年間の収支はやっとトントン(利点は「東北大震災」の時に節電ストレスからは解放されたぐらい)。相変わらずの煩雑な手続に鑑みると、霞ヶ関は「本音」では普及に及び腰なのではないか?「お金」をけちる財務省の影も見え隠れする。これで「脱炭素」なんて本当に実現できるのか

 **今回の「再生エネ」プログラムからなぜか「エネファーム」は消えている。10年前にはあれだけ気前よく「お金」を出したのに...。電力自由化以降、ガス会社と電力会社は激しくシェア争いを展開しており、お互いの電力、ガスの領域にも相互に手を突っ込んでいる。今回は経産省が電力側に加勢してガス会社を排除しているということ? 原発再稼働の蠢きといい、「エネルギー利権」の闇は深い

 いずれにせよ今後EVの購入を検討している方の参考になれば、とは思う。政策は「予算切れ」など突如変更になることもあるし、中古車市場も今後どうなるか判らないのでご注意を。



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