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「ルーブル」の ”リアル” Ⅲ。ー 全力で繕ってきた「プロパンダ」も限界? ガスプロムの「無配転落」が示唆する事。

 続・「ルーブル」の ”リアル” 。ー 人民元安、インドルピー安による「隠れルーブル買介入」。|損切丸|note の続編として。

 前回FOMC前後の米国債の乱高下以降、 ”見落とし” がないよう目を皿のようにして(苦笑)マーケットを横断的に注視してきた「損切丸」QTによる「量」の減少に伴い、焦点はナスダック → ビットコイン → WTI(原油価格)に移ってきているが、2022年の ”最強通貨” ルーブルにも変調の兆しが見える。きっかけになったのがガスプロム ↓ の「無配転落」だ。

 もちろん ”最強通貨” ルーブルのカラクリは国内企業・銀行に対外的なルーブル買い( vs ドル・ユーロ売り)を禁じた事による人為的操作 ↓ であり、一種の「プロパンダ」それでも尚「ルーブル安」に動き始めるという事実は決して軽くない

 「サハリン2は国営企業に移行」
 「LNGもルーブル建に変更」

 ニュースのヘッドラインだけ見ていると、いかにも「専制国家」優位の展開に見えてしまうが、まあこの辺りはさすがの「プロパンダ」と言っておこう。だが「お金」はまるで逆方向に動き出している。*「無配転落」で▼30%以上も急落したガスプロムの株価は象徴的で、事態を優位に進めている側で起きる事象ではない

 *欧州向けのガスが止まったのも一部で報道された ”逆制裁” などではなく、単に火災でパイプラインが止まったのが原因。つまり何かあっても修理もままならない状況で、巨額の外貨収入が突如断たれる事を意味する。これが株価急落の真相らしい。

 こういう時「お金」は嘘をつかない。本来事態が好転しているなら色々動かなくていいはずだが、敢えて仕掛けてくるのは困っている証拠問題は「日本与しやすし」と舐められている点だ。

 「サハリン1,2」経済産業省主導の前々政権肝いりで立ち上げた国家プロジェクトであり、 ”アノ方” の目も光っている以上官僚もおいそれと諦める訳にはいかない。「XXXミクス」を否定するような政策が取りにくいのは、日銀が「利上げ」できないのと同じ構図である。

 そういう日本の政治状況を踏まえて参議院選挙直前に仕掛けてきており、とても嫌らしいやり口だ。日本もここまで対決姿勢を示すなら「現地の設備なんていらん!」ぐらい突っ張って欲しいが、「ルーブルで払います」とか言い出しそうで何だか少し不安ではある(まさかね...)。

 選挙といえばいくらインフレ対策とは言え、あれだけ「敵国認定」してきた中国に対し「関税引下げ」を言い出しているバイデン政権も支離滅裂。これでは中間選挙惨敗は免れないだろう。ヨーロッパも含め「インフレ」による生活苦で政権党が軒並み選挙で苦戦しており、「民主主義」の弱みをさらしている。政治的にはしばらく困難な時期が続きそうだ。

 では「専制国家」側が有利かというとさにあらず。こちらもギリギリだ。

 中国では国内9位の不動産大手「世茂集団」がデフォルト(債務不履行)。不動産市場の崩壊は時間の経過と共に着々と進んでおり、日本のバブル崩壊と状況が似てきた。1~2年で片付く代物ではない。

 「毛沢東」を理想に掲げる主席としては3期目続投がかかっており、外に目を向けるために日本との接続海域に軍艦を差し向けたりしているのだろうが、こちらも余裕がある人の行為ではない

 「ピョートル大帝」を標榜する大統領にしても、5ヶ月もかけて切り取った「領土」の代償として失った物はかなり大きいガスプロムが上場されているMOEX指数 ↓ を見ると、10年以上かけて築き上げた「国富」が一瞬にして台無し。おまけに外貨準備など45兆円相当の「資産」も差し押さえられ、おそらく米英、NATOの軍事支出に充てられる

 端から見ていると 「国境」を巡る「戦争」なんて...。ー  "Society 5.0" 時代に思う。|損切丸|note で、**今でも侵略を開始した事実が信じられない「金融的対処」を見ていると、大統領の ”金融リテラシー” はかなり高いはず(実際国として日本より国際ランキングは高い)だが、今回の判断に関しては「お金」を全く無視している。平均寿命が69歳というから「死」を目の前にして「歴史」に名を残したかったか。20年以上も最高権力の座についていれば尚更かもしれない。

 **むしろ今回は欧米の罠に引きずり込まれた感が強い。戦争を決着がつきにくい形で引き伸ばしているのも、原油価格を高止まりさせているのも ”希望” を持たせて疲弊させるための作為ではないか。もはや戦略的にG7の敗北はなく「上半身裸」のジョークも余裕がなせる技かも。

 「エネルギー通貨」と化しているルーブルは、人的操作による「プロパガンダ」の部分は見極めつつ、WTI等と連関して動きを見ていく必要も感じている。特に今のような「荒れる相場」では、どんなに小さな事からでも「変化」のヒントを掴んでいくことが大事

 しかし今日(7/5)1日とっても①WTIは@104~111ドルで激しく動いているし、②ウォンは@1314台まで急落③ポンドは@1.2000割れ④米10年国債金利は@2.97%まで急上昇の後@2.81%まで急低下とまさに荒れ放題

 これはやはり「嵐の前触れ」ではなかろうか。筆者の頭の中ではアラームが鳴りっぱなしだ。だから⑤ルーブルの変化(値が@61台まで飛んだ!)でも見落としがないよう気をつけたい。「あ~、あれがサインだったのか!」と後悔せずに済むように。


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