続・押し寄せる「利下げ」の "波" ー だが長期国債の「需給」は...
押し寄せる「利下げ」の "波" |損切丸 (note.com) の続編
FRBの「利下げ」を後押しする経済指標が相次いでいる。パウエル議長が ”ディスインフレ” に言及したのもそういう背景があるからだろう
ISM指数は不調の製造業( ↑ 標題添付)に続いて、「インフレ」のコアである「人件費」の影響が大きいサービス業の鈍化 ↓ が決定的。奮わないADP雇用指数と整合的でもある
これを受けて米国債市場では「利上げ」の前倒し期待から2年債が一時@4.7%を割り込むなど金利が低下、ドル円も@161円台前半まで突っ込んだ。だが、双方とも引けにかけて徐々に値を戻した
どうしてこんな動きになったのか? 理由は大きく2つ:
1.邦銀勢の「外債投資」鈍化による「需給」の悪化
N中金に地銀と、邦銀ではドル債投資による巨額損失が表面化。「(為替ヘッジ付)外債投資」に陰りが出るのは不可避。更に日銀・財務省による「ドル売介入」が実施されれば米国債の「需給」悪化は避けられない
加えて日銀による「利上げ」転換で100兆円単位の「円」の "里帰り" も想定される。「過剰流動性」により押し上げられていた(金利が低下していた)欧米債券には長期債を中心に ”正常化” の修正圧力がかかる
2.「もしトラ」リスク
現大統領の選挙戦撤退観測が燻る中、「もしトラ」の実現可能性が高まっている。「ドル高」修正の要請が高まるのは必至でFRBにも「利下げ」圧力がかかる。ファンド勢の中には極端な「リフレ」政策を見越して「スティープニング」(長期金利が短期金利を上回る現象)を構築する所が出てきた
一方日欧の「デジタル赤字」に見られるように、アメリカの国益を考えると「ドル高」修正を急ぐ必要は無い。FRBとしてはどうせ "圧力" が高まるなら大統領選挙後まで ”札” を取っておこうと考えるのが自然。だから「12月利下げ開始」が市場予想の中心なのも頷ける
複雑な要素が絡み合っているマーケットだが、「金利」@5%の威力|損切丸 (note.com) で「利下げ」が現実味を帯びてきているのは間違いなく、TOPIXが1989年12月18日に付けた史上最高値@2,888.40を上回る原動力になったのは間違いない
一方米国債と共に「過剰流動性」の多大な恩恵を受けてきた米株式市場は一筋縄ではいかない。巨額の資金が「ドル」→「円」に戻る(為替直先経由なので直接ドル円の下押し圧力にはならない)のは懸念材料ではある。ただ「新NISA」で人気の「オルカン」「S&P」等、邦銀の「外債投資」減少を補うフローも予見されるため、そこはタイミングと「需給」の問題
ドイツ、フランスのCPI低下傾向がはっきりして来て「利下げ」したくて堪らないECBもFRB待ち。本音では日銀同様かなりジリジリしている事だろう。いずれにしろ ”バイデンフレーション” の衝撃。|損切丸 (note.com) は米経済政策の大失態でありはた迷惑なだけ。3回連続+0.75%なんて "世紀の利上げ” も弥縫策に過ぎない。「コロナ危機」は余計だったが、これも「インフレ」時代転換への歴史の必然だったのかもしれない
波乱の2024年相場も後半戦に突入。個人的には「安過ぎる円」の修正を予測しているが「キャリートレード」の誘惑も強くまだ道筋が見えてこない。肝心なのは「お金」がどこからどこへ動くのか。筆者が「過剰流動性」のサインと見做しているビットコインが@58,000ドル台まで急落しているのも気になる。一体何が起るやら。まだまだ楽しめそうな(?)相場である
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