高い増悪リスクを有する慢性閉塞性肺疾患患者におけるビソプロロールの効果:BICS無作為化臨床試験​​​​​​​​​​​​​​​​

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪リスクが高い患者に対するビソプロロールの効果を検証するために行われた無作為化臨床試験(BICS)の結果。

COPDは世界的に罹患率と死亡率が高い疾患であり、これまでの観察研究では、β遮断薬の使用がCOPD増悪のリスク減少と関連していることが報告されていた。しかし、最近の試験ではメトプロロールがCOPD増悪を減らさず、入院を必要とするCOPD増悪を増加させたことが報告されている。

この試験では、中等度以上の気流閉塞(FEV1/FVC < 0.7、FEV1 < 80%)を有し、過去12ヶ月間に経口ステロイド薬や抗菌薬による治療を必要とするCOPD増悪を2回以上経験した患者を対象に、ビソプロロール群(261名)とプラセボ群(258名)に無作為に割り付けた。ビソプロロールは1日1.25mgから開始し、4回の用量調整を経て、最大1日5mgまで漸増した。

主要評価項目は、1年間の治療期間中に患者が報告した、経口ステロイド薬や抗菌薬による治療を必要とするCOPD増悪の回数であった。安全性の評価項目には、重篤な有害事象と有害反応が含まれた。

COVID-19パンデミックの影響で試験は一時中断されたが、最終的に515名の患者が解析対象となった。主要評価項目であるCOPD増悪の回数は、ビソプロロール群で526回(平均2.03回/年)、プラセボ群で513回(平均2.01回/年)であり、両群間に有意差は認められなかった(調整発生率比0.97、95%信頼区間0.84-1.13、P = 0.72)。重篤な有害事象の発生率にも両群間で差はなかった。

以上の結果から、COPD増悪のリスクが高い患者において、ビソプロロールは経口ステロイド薬や抗菌薬による治療を必要とする患者報告のCOPD増悪の回数を減らさないことが示された。​​​​​​​​​​​​​​​​

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