傷心

 「メンヘラは嫌いだ」とあなたは言ったけど「おまえが嫌いだ」と言ってほしかった。わたしは「メンヘラ」じゃなくて「わたし」なのに。あなたを好きになって、わたしは「メンヘラ」じゃなく「わたし」になれたのに。わたしは「あなた」が好きだったのに。あなたも「わたし」が好きだと思っていたのに。ひどいあなたはひどいひどいひどいひどいひどい怨むいついつまでも怨んでやる病んで病んで病みまくってやる闇に引きずりこんでやる堕としてやるやるやるやる犯る殺る。──という呪いのポエムを、陽のささない四畳半の部屋でわたしは書いた。ツイッターで鍵アカをつくった。そしてあなたのツイートにひとつ残らず「いいね」をつけた。
 メンヘラは嫌いだ。そう言われて悔しかった。むかついた。悲しかった。その悔しさやむかつきや悲しさをメンヘラなやりかたでしかあらわせないことも悲しかった。わたしは、メンヘラなわたしが、どうしようもなく、悲しかった。