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朝市はとにかく毎週やる

 「え?毎週やってるんですか!」とよく驚かれる。たしかに各地でやっているいわゆるマルシェイベント(嫌いな言葉だが)は月1回とかが多いのだ。

 朝市は毎週やることに最初から決めていた。じつは最初はじめたころは週に3回やっていた。「市場をつくりなおす」ことがスローガンだからである。市民の胃袋をあずかる市場を作ろうとしているのに、週に1回だけでは足りない。だから週に3回やったのである。

 「胃袋をあずかってくれ」市民に頼まれたわけでもないのだが、こっちは勝手に預かった気になってやってきたのである。

 そんなわけで当初は雨でも営業した。市民の胃袋を預かる市場なのに、雨だからといって休んでいるわけにはいけない。市民が飢えて死ぬ。

 しかし理想は理想、現実は現実である。雨だとあまりにお客さんが少なかったのであえなく敗退。週1の開催となったわけだが、最近はさいわいにも週に1000人のお客さんを呼ぶことができるように成長した。胃袋を預からせてくれる人の割合が増えたのである。

 「自分の住んでる加古川を紹介するときに、朝市がありますと言えるようになりました」という言葉を聞いたときはじつに嬉しかった。

 そういうわけで朝市は雨さえ降らなければ春夏秋冬いつでも毎週やる。これまで経験はないけど、雪なら営業してもいいかなと思う。

 毎週やるからこそ来てくれる人がいる。名前は知らないけれど顔を知っている人がたくさんある。先方も同じなのだろう。こちらを見ると嬉しそうにあいさつしてくれる。



 朝市の原型である大型イベントのムサシオープンデパートは、多くても年間4回だった。少ないわりに規模が大きいので、間に合わせのスタッフによる運営はじつに大変だった。しかも年に4回だけではしんどいわりにスタッフを養うことさえできない。これは月に1回やっても同じだ。

 しかし週に1回になると、社会的インパクトがぜんぜん違ってくる。毎週来てくれる人が増える。スタッフも食い扶持を稼ぐことができるようになる。出店者も朝市だけ出てPDCAをまわして改善していけばけっこう稼ぐことができるようになる。朝市の出店からはじめて路面店を出す人も出た。

 小売商売というのは、移り気なお客さんに商品やサービスが忘れられることとの戦いのような面があるが、毎週やっていればまず忘れられることはない。このメリットははかりしれない。広告をむりやり打ってお客さんの忘却とたたかう労力がゼロになる。

 だから思い切って踏み出したほうがいい。最低週1だ。それより少なないとけっきょく赤字なうえにボランティアワークに頼らざるをえなくなり、趣味の領域になってしまう。もしくは祭りやイベント(催し)、野外フェス的になる。広告費など外部からの資金で成り立たせることを考えなければいけなくなる。

 われわれの変えたいのは「日常」である。年に何回かひまつぶしに行くイベントや遊園地を作りたいのではない。新しいローカル経済を作るのだ。そのために高頻度開催は必須の条件なのだ。

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