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朝市はDIY(自分でやるしかない)

 ムサシオープンデパート朝市では、しょっちゅう予期しないできごとが起きます。


 たとえば先週末は風がないうえに気温が高く、会場がやたらに蒸し暑い。アスファルトの会場ではそろそろ開催がむつかしいという話になりました。早々に対策しないといけない。あまりよくないほうの不測の事態です。


 いっぽうで、このところ人気コンテンツになっている大西さんによるメダカの配布を見ていた女性から「グッピーを配りたいのですが」というお申し出がありました。どんどんやっていただきましょう。どうやったら盛り上がるか。メダカとグッピー夢の共演!こういうのはこれはいいほうの不測の事態といえましょう。


 できるだけ効率的に、事前予測の立つかたちで現場を運営しようとはしていますが、しかし一方でこういう不測の事態をどう料理するかが朝市の運営を楽しむ秘訣だと思っています。


 予定どおりにものごとが進んでほしい人にとっては、青空イベントというのはイライラの塊でしかありません。とくに今は梅雨のまんなかなので、今週の朝市が営業できるかどうか、金曜日の正午ちかくまで気をもむことも多い。けっこう気疲れします。わりとシンプルな基準をもうけて実行可否を決めていますが、それでも自分たちの判断のいかんによってお客さんや出店者の体験が大きく影響を受けるわけですから。


 けっきょくうまく晴れてくれたからよかったものの、暑さにさいなまれたので次は暑さ対策が焦眉の課題になる。いつまでたっても課題はなくならないの。そりゃ屋内でやれば安定してできるんですけどね。外との接点が朝市のいいところだし。


 こういうちぎっては投げてはちぎっては投げの営業のなかで、物事がうまくいったりいかなかったりします。それでもすべてをコントロールしようとしない。あるていど流れに身をまかせて現場で瞬時に答えを出していく。


 もはや安定運営してもうけることではなく、いろんな参画者と協力していかに予想外のおもしろい発見やできごとを盛り上げるか、また難局を切り抜けるかのほうが中心になってくる。


 そのなかでみんな努力して成長しますし、楽しくやっていれば新しいメンバーが参加してきてくれます。新しい能力や人が加われば、おもわぬ解決方法が編み出せます。打ち手が増える。


 つまり、あまり安定していない場所で、いかに安定的に運営していくかの努力や右往左往をみんなで楽しんでいるといってもいいかもしれません。あるていど不便で厳しいからこそ協力関係が生まれる。


 あるていどめんどくささや逆境というのはあったほうがいいのでしょうね。人間がちゃんと協力しあうためには。キャンプがおもしろいのと一緒。なんでもかんでも便利でスムーズで予想通りというのは、金儲けにはいいかもしれないけれどもクリエイティブではないわけです。


 おもしろい話を最後に。


 朝市は冬になると薪ストーブを3台フル回転で焚いています。これはけっして安全な装置ではありません。表面は数百度になりますし、上でヤカンがちんちんいいながら湯気を上げているし、柵もないうえずっとスタッフがついているわけでもありません。


 なのにいままで一度も大きな事故にはなっていないんですよ。何シーズンも、万人単位のお客さんを迎えながら、誰一人やけどしないというのは、けっこうな一大事ではないか。


 スタッフやボランティア、出店者もそうですが、おそらく来場してくれるお客さんも朝市に来ると感度が高くなっているのですね。なんでもかでも安全や便利がいいってことじゃないわけです。

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