話せないでいることはなんだろう

「誰かに聞いてもらいたかった」
安西こころ

劇場アニメ『かがみの孤城』
原作 辻村 深月
映画配給 松竹

 今年は月に1会は映画館に行きたいなぁと、年の初めに思いました。
 早速、スケジュール表を見ながら映画館へ行ける日を探し、それが今日でした。
 見に行った映画は『かがみの孤城』。
 私は不勉強で存じ上げなかったのですが、2017年に刊行され、2018年に本屋大賞を受賞した小説をアニメ映画化した作品です。

 内容は公式サイトなどに詳しいのですが、『とある同じ中学校に通う中学生7名』が主人公です。
 その主人公たちはみな、「なにか」を抱えて、不登校状態にあります。
 その7名のうちの1人の女の子を軸に物語は進みます。

 冒頭のセリフは、その女の子が、孤城で知り合った2人の女の子に言ったものです。
 とある事情で、親にも言えなかった(親にだからこそ言えなかった)ことを、語り終わったあとに言ったセリフです。

 よく、「だれかに相談すればいいのに」「話をすれば楽になるよ」というようなことを聞きます。
 私もコーチやキャリアカウンセラーをしているので、『だれかに自分の思いを聞いてもらうこと』の大切さや価値はわかる気がします。
 しかし同時に、『だれかに自分の思いを語る』ことが、どれほど難しいかもわかる気がします。

 『だれに』話をするのか。
 話の内容によって、話せる相手が異なるでしょう。そして、必ずしも身近に話を聞いてくれる『だれか』が居るとは限りません。

 『なにを』話すのか。
 私達は自分の気持や思いを言語化して語ることにあまり慣れていないのではないかと思うことがあります。
 普段の会話では、ある程度のルールが存在します。そして、私達はそのルールに則って会話をしています。
 自分の気持や思いだけをただ聞いてもらう機会はあまりないのではないでしょうか。

 自分が困ったとき、悩んだとき、行き詰まったとき、そんなときになって、話をただ聞いてもらえる相手を探すのは難しいことだと思います。
 普段、自分の精神が凪のときに、そんな相手を探しておき、話を聞いてもらうことができていれば、『話を聞いてもらいたい』と思ったときに、安心して話をできるのではないでしょうか。

 『話せないでいることはなんだろう』
 本当は話したいことがあるのに、相手が居なくて悩んでいる方。
 自分の思いや気持ちをただ聞いてもらいたにのに、そんな相手が居ない方。
 いつでもご相談ください。

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