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沢マンギャラリーの思い出 表現の自由編 

表現の自由 卑猥前編    
新宿眼科画廊新聞に2017年3月から2年ぐらい連載した文章です。

沢マンギャラリーは自主ギャラリーとして7年間活動してきましたが、地方の高知県では説明しても(自分の説明が下手なのか)ギャラリーに対する先入観から自主ギャラリーが理解されない事が多いです。
簡単に自主ギャラリーとは何か?と言いましたら、自分たちでギャラリーを運営する。そのままやんってツッコミが入りそうですが、意外とこれが難しい。まず責任が発生します。家賃払えなくなったら誰が払うん。ご近所さんからクレームが来たら誰が謝るん。事故が起きたらどうするん。などなどありますが、
その代わりに自由を手に入れることができます。
自分たちが責任をとる代わりにフリーダムなんです。なんでも出来るんです。

作家の展示を思う存分、叶えることが出来るギャラリーとして現状復帰するなら、「なにをしてもかまわない」をキャッチフレーズに作家を集め、かなり無茶な展示要求をしてくる作家と、それを実現させるために試行錯誤することが楽しい&めんどくさいことも…

数々のめんどくさい展示で思い出されるのは2014年末に開催した漫画家やまもとありさ「273時間マンガ制作配信展」です。展示打合せの時にやまもとさんは作品を展示せずに2週間ギャラリーに寝泊まりしながら制作と生活のすべてを配信したいと提案。それならば、お風呂とオマル(トイレ)もギャラリー内に作ってしまおう(オマルは却下)と友人から風呂桶をもらい、自分の住んでいる部屋から30メートルのホースでお湯を送りシャワーを設置、排水はギャラリー入口から出す。ギャラリーは外から丸見えなので、お風呂は半透明なビニールで入浴がうっすら見える仕様。壁はなにも展示しないので、お客さんにマジックで好きなように絵を描いてもらう。消すことを考えたら気が狂いそうになるほど壁がマジックのイラストでで埋め尽くされて圧巻です。

手作りお風呂
壁のイラスト


作家のやまもとさんとは、デビュー作が中学生の女性器を題材にした漫画で連載2日前に連載中止を言いわたられた方で、それならばとギャラリートークは「わいせつ夜話」として、漫画家やまもとありさ・写真家自分・根付師森謙次の三人でエロと卑猥に語ったわけですが、観客のおっさんが「警察が来たらどうするんだ!」と怒り出すわでエロの表現って難しいですね。そんな沢マンギャラリー2大エロ表現作家を次回は紹介したいと思います。


卑猥後編

ちょうどアート業界で卑猥な表現が流行っていた頃に中学生女性器を題材にした漫画で連載中止となった、やまもとありささんとエロトークイベントを開催、Googleで無修正・エロと画像検索をプロジェクターに写しお客さんと画面を見ながら、誰でも自由に見ちゃダメなものが見れる時代に、なぜエロが規制されるのだー!と表現とは何かと語っていたらおっさんが「警察が来たらどうするんだ」と興奮して立ち上がり、すごい剣幕で怒っております。
警察来たら謝ります。謝って済むのであれば表現の自由の魂も私は売ります。
トークのまとめとして「エロは秘密だからエロ」で終わり、盛り上がりました。

エロトークイベント
森田紫乃展示風景

なにかとエロい表現は問題をはらみますが、沢マンギャラリーでエロい展示ナンバーワンは、ボールペン作家の森田紫乃さんです。女性の局部を描く方で高知ではギャラリー出入り禁止作家として行き場がなくなった状態で沢マンギャラリーのメンバーとして参加したいと連絡があり、自分としてはやる気のある作家は受け入れたいの参加を承諾。参加の問題として、沢田マンション大家さんが怒ったら展示が中止になってしまうこと(ギャラリー規約にも書いています)社会に表現の自由を訴える前に大家さん&ご近所さんに理解してもらうのが先決です。先に森田さんと打つ合わせた際に18歳未満禁止の展示にしようと自分が提案するも森田さんは、このエロい表現を小学生にも見てもらいたいと言い出す始末…また森田さんはよく手首を切り病院までも出入り禁止になるほどの人で、今回の展示では手首を切って肉筋丸見えの写真も展示したいと言ってきた。もう勘弁して下さいです。まわりの理解を得られるような状況ではないですよ。ただ森田さんのどうしても人に見てもらいたいとの思いは十分すぎるほど感じました。表現する場所であるギャラリーがなぜ規制をかけるべきではない!なので、
大家さん&ご近所のご理解してもらわないように内緒にして展覧会を開催。
誰でも入れるようにオープンな形での展示で、手首の写真に絶叫する人や感激して人など、意外とお客さんも多く盛況だったのですが、ネットでの炎上や展示をやめなさいとPTAが騒ぎ出すかとおもいきや静かに終わっていきました。
(ちょっと残念)
前編で紹介したやまもとありささんもエロい表現で漫画連載が中止になり、ネットで炎上をし一躍有名人となりましたが、森田さん有名になって欲しかったです。
ただ有名になったらどんどん手首切りそう…

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