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【婚約破棄の出来事】「自分年表」で出てきた自分をみつめる回想録#01

「もう1回やり直そうや」
少し肌寒い海辺で、その言葉聞きながら、怖かったのか、嬉しかったのか。
今はもう、それすらも覚えていない。

記憶を呼び起こすための「自分年表」
その時の出来事とその時の気持ちを深堀してここに残す。


結婚のための両家の顔合わせの1か月前。
無意識で受話器を上げていた。
「まだバイトから帰ってないのよ。」
いずれ義母になるその人はそう告げて、電話を切った。
(これでよし)
自分に納得させて、私はその時少しホッとしていた。

次の日、私の部屋の横にある電話がなった。
「電話くれたんやて?」
そのあとの会話は本当に思い出せない。
結婚するのだと告げたこと。週末に会うことになったこと。
それだけ覚えてる。

週末の土曜日、昼間で仕事をして待ち合わせ場所に向かうまでの、心のドキドキは今でも忘れられない。
(ただ会うだけだよ。結婚前に未練を無くすだけ)そう言い聞かせて向かっていた。
心の奥底では期待してたくせに。
そうなったら、困るのは自分なのに、期待していた。

車にのって、30分ほどの初冬の海へ。
たわいもない会話のあとに、無言の時間が続く。
(もうこれで終わりにしよう。期待は期待で終わるんや。あんたは人(婚約者)を裏切りたいんか!)
そんなことを考えていた。
「今日はありがとう。そろそろいこう…」
そういうか言わないかの間に聞こえてきた。
「もう1回やり直そうや」

嬉しかった。
怖かった。
この先が想像できない。
でも、この人がいい。

婚約者にののしられても
両親にののしられても
友達に軽蔑されても
この世の誰からも否定されても
この人といたい。

婚約破棄。
結婚式場は予約済み。
結納はまだで、両親の顔合わせの直前。

そんなことはどうでもいい自分と、なんてことをするんだと思う自分。
その自分を天秤にかけても、私は婚約破棄を選んだ。
その時は自分に酔っていたのか。
そうではない。
やはりこの人がよかったのだ。
なにがあっても、なにがなんでも、ここで手放すと絶対後悔する、幸せになれない。と思ったのだ。

ようやく思い出した。
べた惚れだった。
初めて自分から好きになった人。
この時の私の決断は間違っていなかった。
その時不幸にした人もたくさんいたけど、私の最良の決断だった。

私はいちばん愛した人と結婚できたことを、幸せに思う。
愛した人は逝ってしまったけど、今も幸せだ。


婚約破棄したお相手に、謝罪の気持ちがないのではありません。
その人にも、ご両親にも誠意をもって対応しました。
そして、お相手は言葉を荒げることもなく、承諾してくれました。
その人はその後、私より先に可愛いお嫁さんをもらったと風のうわさで聞きました。今も幸せであってくれると信じています。


良いことも、悪いことも、すべてを見つめ直して、その時に自分の気持ちを思い起こす。
いまの自分を作っている基礎を知り尽くして、私が誰かのためにできる何かをさがしていきます。





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