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狼だぬきの欠落、あるいは穴ぼこ

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2019年5月の記事一覧

「2091年」、あるいは2019年

2091年の世界。価値観になりたい。  権力は世界を豊かにしない、というのが狼だぬきの基本的な姿勢である。ピケティだって言ってた。r>gだから、格差は拡大し続ける。rもgもなんなのかはわからないけれど、偉い経済学者が言うんだから、おそらくそうなんだろう。つまり人間は、時間の累積が無機質に不公平を増やし続けるシステムに生きている。「持たざるもの」の子孫は不幸になる運命なのだ。緩やかに、それでいて複利的に。統計的な証明。統計は、あんまり嘘はつかない。嘘をつくのは物書きの役割だ。

物書き的な視点、その意味のなさ

「小説家とは、多くを観察し、わずかしか判断を下さないことを生業とする人間です」 (『職業としての小説家』村上春樹 )  物を書くというのは、話すに足りない、些細でどうでもいい世界の変化をなるべく丁寧に描写し、それが暗示する心の繊細な機微をできるだけ伝わる形へと変換することだ。海外旅行で使う、電圧変換プラグのように。一方にとって意味があるものを、他方にも価値ある何かへと変換させる手続きのプロセスと結果である。部分的に。  noteに文章を書き起こすようになって、6日目になっ

大きな声で語るということ

 一つ、気をつけていることがある。なるべく大きな声で話さないことだ。声は大きいほど、比例して正しく聞こえてしまうからだ。確かに、声が大きいというのはある程度自信に比例するだろう。自信があるのであれば、正しい可能性は小さくはない。少なくとも、小さな小さな、消え入る声で発される、太陽の光で今にも蒸発しそうな朝露のような意見に比べれば。  一方、こうも取れる。声が大きいからといって、自信があるからといって正しいとは限らないのだ。テストを思い出そう。自分の解答に対する自信は、予定ほ

不歓迎社会日本

 一億総中流社会。妬み嫉妬社会。格差社会。学歴社会。少子高齢化社会。シルバー民主主義社会。「○○社会」というフォーマットでの日本への揶揄は後を絶たない。あらゆる日本人は自分自身や付近の環境を観察し、その「感情的な問題点」を「社会」に投影して批判する。やれやれ、どいつもこいつも人のせいに...と、ぼくもまた、人のせいにする自分自身を社会に投影し、嘆く。それに気づき、再び絶望。絶望したら川へ行こう。正しく絶望できる数少ない場所が都会の川だ。人間は嫌になるなあ  今日は自己の精神

える知っているか?死神(ぼくら)には「穴ぼこ」がある

 文章を書こうと思う。理由はない。目的もない。とりわけ、着地点かなんかも検討もつかない。世の中には二種類の人間がいる。目的を持って文章を書く人間と、書きながら自己に眠る目的に輪郭を与えていく人間だ。どうやらぼくは後者らしい。  冒頭でこんなことを言うのも申し訳ないが、この記事に読む価値はない。まだ書いてないけれど確信できる。結論が何もない予定だ。判断がなされない予定だ。そういう後味の悪さも悪くない味なヤツだけ歓迎する。そうじゃないならLINEマンガを読んだほうが絶対にいい。