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④お菓子の箱をつくる

 「ものをつくる」ってこういうことなんだ、とはじめて実感したできことは、オカメサブレの箱を作ったときのことです。それまではオカメサブレ専用の箱というものはありませんでした。通販のときも毎回プチプチをつかってみたり、緩衝材をいれてポテトチップスみたいに膨らませた袋にいれてみたりあいかわらずスーパー過保護に試行錯誤していました。それでも割れてしまうことはありました。割れていたからと言って怒るお客さまはひとりもいなくて「サックサクのサブレだから仕方ないですよね!とってもおいしいです」という方ばかりでした。でもわたしはオカメサブレは形がとても重要なお菓子だと分かっていたから本当はぜったいに割れて欲しくなくて悔しかったです。100%は無理かもしれないけど重大な衝撃でも与えられないかぎりは大丈夫にしたかったです。お菓子の箱を作ろうと考えたとき、どこに頼めばいいのか、いくらくらいかかるのか、などのうち知っていることはひとつもありませんでした。「お菓子 箱 東京」などとgoogle検索をかけたところ板橋区のこれまた通いやすそうな場所にある工房を見つけました。そしてホームページからメールで問い合わせをしてみました。「近所ですし工房に来ていただければいろいろ相談しながら作れますよ」とのことでしたので早速お邪魔しました。オカメサブレが10枚入る箱が欲しいということで相談しました。見本を見ながら大きさを決めてオカメサブレが縦に10枚入るサイコロ状の箱にする予定でした。しかし、家に帰ってなんどとなくサイコロ型の箱の蓋を開けたり閉めたりしていたところ「違う!」と思いました。「蓋を開けたときオカメサブレのホッペがずらっとならんで、わぁ!っと思って欲しい」ということでデザイン画を描き直しメールしました。ちなみに私はAdobeとか使えませんので絵を描くときは全てノートにサインペンで手描きです。それを写真に撮ってメールに添付しているだけです。最初と全然違うじゃないか!と関わる全員に思われたでしょうが「ものを作るってこういうことなんだな」と妙に客観的に実感した出来事でした。そのイラストをもとに工房に詰め何時間もかけて仕切りの高さをミリ単位で調整してもらいこれで行こう!となったのが現在も使っているオカメサブレ10枚入りの箱です。

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