㉚ふえたもの
売上に正比例して労働時間も2倍3倍へとはねあがっていきました。自分でつくったもの「だけ」を自分で売っていくというのはそういうことでした。お菓子の種類も増えました。オカメサブレの他に5〜6種類だったのが多いときは20種類近く作っていました。キビズベイクショップで行うことの全てはオカメサブレを作って売るためにしています。ですが実店舗ができたとき「オカメサブレだけを売るお店」にしなかったのはやりたいことと望まれてることは違うと分かっていたからです。常連さんでもオカメサブレを買ったことのない方もたくさんいらっしゃいます。わたしは無理して興味を持ってもらおうとしたことはありません。なにを買うかはお客さまが決めることです。お菓子作りが独学でそのことを気にしたときもありましたがたとえどこかで勉強したことがあったとしても独立したら自分のやり方を見つけるしかないのは同じです。メニューが増えていく中でオカメサブレはとても作るのが大変なお菓子だったのだということがわかりました。どんなものでも作れるわけではないのですが、ものすごくむずかしいことに熱中していたからいつの間にかその応用ができるようになっていました。お店をやるということはきれいにお菓子を焼くことだけを指していなくて限られた設備で買ってもらえる価格設定のお菓子をとてもたくさん作りその売上で仕入れや家賃や光熱費やお給料を払うことです。作ったお菓子がたくさん売れて休みも取らずに毎日16時間以上店にいました。終電に乗れずシェアサイクルで家に帰り3時間寝てまた店に行くということも毎週のようにしていました。もともと持久力も集中力もあったので休日という考えが消え去っていて休みたいとも思いませんでした。
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