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カズオ・イシグロ『日の名残り』小説&映画の徹底解説!

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ノーベル文学賞を受賞した日系英国人作家カズオ・イシグロの代表作『日の名残り』を、小説版と映画版の違いの理由などを交えて徹底解説しています。世界一のネタバレ記事となっていますので、…
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ノーベル文学賞作家カズオ・イシグロの『日の名残り』の謎を解き明かす・第4回「Nobody Does It Better (誰もあなたみたいにできないの)」

さあ、第4話が始まるよ! ちなみに前回はこちら。 坂本一亀&龍一父子の登場には驚いたな。 三島由紀夫から、そっち方面に展開されるとは予想外やったで。 せやせや、大事なことを言い忘れとった… カズオ・イシグロ『日の名残り』を未読&未見の人は、先にそっちを済ませてからのほうがええと思う。いちおう内容を知ってることが前提やさかいな。まあ、ここまで来たら、そうゆう人はおらんと思うけど。せやけど、内容知らんでも楽しめることは楽しめる。 『日の名残り』(@Amazon)

ノーベル文学賞作家カズオ・イシグロの『日の名残り』の謎を解き明かす・第5回「Never End」

<登場人物> 小説版『日の名残り』主要登場人物 執事長スティーブンス(主人公) 女中頭ミス・ケントン(結婚後はベン夫人) 館の主人ダーリントン卿(英国の大物貴族) 新しい主人ファラディ氏(アメリカ人の富豪) 映画版はファラディ氏がルーイス氏に変更 おいおい、カツオ・イソグロ君とやら… まったくもって君って奴は、音楽ってものをちっともわかっていないようだね… チャカ・カーンよりもカーリー・サイモン派だって? チャカ・カーンのほうが歌唱力も上だし、ボディもソウルもダ

「MOON あなたは知ってるの?MOON あなたは何もかも…」~カズオ・イシグロ『日の名残り』徹底解説・第7話

お~お~~~~お~~~ お~お~~~~お~~~ お~お~~~~お~~~~お~~~ うっうっう… グスン… やるやんけ、カツオ… 鳥肌モンの声や… す、素晴らしい… 伝説とされるリンキンパーク「LIVE at テルアビブ」での、ボブ・マーリー『NO WOMAN NO CRY』から『The Messenger』へのメドレーですね… この鉄板メドレーで堕ちなかった女はいない… あのライブでは、『The Messenger』のイントロ最中にギターのブラッド・デ

「永遠の嘘をついてくれ…」~カズオ・イシグロ『日の名残り』徹底解剖・第11話

小説版は、わかった。 問題の映画版は、どないなっとんねん? その前にNEW ORDERの『BLUE MONDAY』をもう一度見てほしい。 これってさあ… おっと、忘れてた。 僕たちの簡単な自己紹介。 『日の名残り』の登場人物もな。 ーー『日の名残り』主要登場人物ーー 執事長スティーブンス(主人公) 女中頭ミス・ケントン(結婚後はベン夫人) 館の主人ダーリントン卿(英国の大物貴族) 新しい主人ファラディ氏(アメリカ人の富豪) (映画版はファラディ氏がルーイス氏

「エミリー・エミリー&メリイ・クリスマス前篇」~『夜想曲集』#2~カズオ・イシグロ徹底解剖・第59話

やっと冒頭4曲の紹介が終わったね… 小説では、まだたったの5行目までなんだけど、実に濃厚で長かった… 「冒頭4曲」っちゅうのはコレのことやで。 驚きの連続だったな… 前回のロレンツ・ハートしかり… そういえば肝心の「登場人物の解説」が、まだだったじゃねえか。 こいつらにサクッと説明してやれよ、おかえもん。 いったい「エミリー」「ぼく」「チャーリー」が誰なのか… 誰? 第1話の『Crooner/老歌手』同様に、第2話『Come Rain or Come S

「エミリー・エミリー&メリイ・クリスマス後篇」~『夜想曲集』#2~カズオ・イシグロ徹底解剖・第60話

め、メリイ・クリスマス? そう… カズオ・イシグロの短編『Come Rain or Come Shine/降っても晴れても』は、太宰治の『メリイ・クリスマス』という短編を元ネタとして書かれているんだ… 前回を読んでない人にはチンプンカンプンだな。 まずはこれを読んで、衝撃の展開に備えたほうがいいぞ。 ほ、本当なのか? 間違いないですね。 だって「ブーツ」が重要なアイテムとして出て来るでしょ? 「ブーツ」といえば「太宰治」だ。 太宰治って当時の日本人として

「イシグロの暗号」~『夜想曲集』#2~カズオ・イシグロ徹底解剖・第62話

さて、どんどん進めるよ。 前回を未読の人は、こちらをどうぞ~ 主人公の「ぼく」ことレイモンドとチャーリーがフラットに戻ると、エミリが「フィナンシャルタイムズ」を読んでいた。 エミリを見て「ぼく」は驚く。以前よりかなり太ってて、口元がブルドッグみたいだったからだ。 ひでえな(笑) なぜ「フィナンシャルタイムズ」なのか、わかるか? なぜ? たまたま読んでただけじゃないの? 『日の名残り』の「訳者あとがき」でも土屋政雄氏は「ニューズウィーク」を使っていたよな。