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線路に響く羽音と轟音


僕の住む家の向かい側には、消すことに失敗したテトリスのような立方体のみで構成された二階建ての家がある。各部屋の窓の大きさも均等で、ベランダの手すりは日を置きすぎたチョコレートみたいな色をしている。

さっき、起き抜けにぼんやりそれを見ていてふと思ったのだけど、札幌のように雪が降る街にある平らな屋根の家は、積もった雪をどうやって処理しているのだろう。
ほうっておけば結構な高さに積もっていくはずなのだけど、大雪が降った次の日にはある程度なくなっている。でも雪下ろしをしている様子もない。もしかしてあの平らな屋根の家々にはみな、高性能なヒーターでも搭載されているのだろうか。



僕がはじめて「一般的なまともな人としての生き方」を諦めたのは、おそらく高校三年の時だと思う。休み時間にその場から浮かないように教室のすみで本を読んでいる時、クラスの友人たちが「将来どうしようか」みたいな話を近くでしていると、なんとなく居心地が悪くなって、そっとその場を離れた。

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