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怪物は街灯を避けて蠢く

僕が小6の時、祖父は死んだ。

小学校のグランドで、つなぎを着ながら放課後のスケートリンク清掃をしていた時のことだ。

普段はそこにいるはずのない父が遠くから慌てた様子で駆け寄ってきて、「じいちゃんが死んだ。お前も今すぐ来なさい」と言われた。

その時の僕には「死んだ」ということの中身がいまいち理解できなかったのだけど、急かされるままに車に乗り込んだ。

車で片道30分ほどある山奥の家に戻ると、奥の部屋に遺体があった。
顔に白い布をかけられ、身体には布団がかけられていた。

近くでは祖母が「お父さん、お父さん、なんで先に逝っちゃうのよ」と繰り返しながら泣いていた。
それでも僕には何が起こっているのか、あまりよくわからなかった。

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