あて名違いの贈り物
世の中には、いくつの資格が存在するのだろう。
その中のいくつの資格が、その機能を全うするのだろう。
初めて母にもらった誕生日プレゼントは
「正しい資格の取り方」という本だった。
数ページ読んですぐに本棚の飾りとなったが、それから高校を卒業し家を出ていくまでの数年の間、黄色をベースにした奇妙な配色の表紙はその存在を主張し続けた。
幼いころから事あるごとに
「父のようにたくさん勉強して、資格をとって、手に職をつけて生きていきなさい」と言われた。僕はその度に居心地の悪さを感じた。
ここから先は
1,264字
¥ 250
いただいたサポートは、音源作りの費用とツアー資金に使わせていただきます。そしてたまにスタッフにおいしい焼肉をごちそうしたいです。