娘に先天性心疾患があるとわかるまで

わが家に待望の第二子が誕生した。
一人目は男の子で、二人目は女の子。
性別どちらも育ててみたかったからうれしい、神様ありがとう。

しかしえらい不機嫌なお嬢さんやなぁ。
ミルクの飲みも悪いなぁ。
まぁ赤ちゃんは泣くのが仕事やし、女の子やから一人目の飲みっぷりとは違うのかもしれんし、こんなもんなんかな。
出産でお世話になった産院の先生も、助産師さんも、町のお医者さんからも「この子のペースかな」と言われるし。

結局この原因が先天性心疾患によるものだとわかったのは、娘が生後4か月を前にいよいよ体重が成長曲線を下回り、念のため大きい病院で見てもらいましょうと紹介状をもらって大病院を受診したのがきっかけだった。

それは、娘があまりミルクを飲みたがらず、産院での1週間検診で目標体重に達していないと指摘されたことが気にかかり、それからも定期的に地域の保健センターへ足を運んで体重を測りに行っていたことが功を奏して大病院に繋いでもらえたのだった。

大きい病院でもいつもの通り「この子のペースですね」と太鼓判を押してもらおう。
そんな軽い気持ちで受診したら
「心雑音がします」と言われ、詳しい先生に診てもらうことに。

でもこのときはまだ大事になるとは感じておらず、娘が心臓にエコーを当てられている間も私は呑気に
「赤ちゃんなのにもうエコーで診てもらってるのねぇ、私なんて妊娠して初めてこんなのしたよ」
なんて思っているところだった。

診察が終わり先生から
「この子には心臓病があります。これは緊急事態です。今から搬送先を手配します。
お母さん、どうしてもっと早く見つけられなかったかなあ。覚悟しておいてください。あともう、ミルク飲ませないで。」

と告げられた。

ん?この先生感じ悪いし、言ってること全部嘘やんな?

「覚悟というのは、亡くなる可能性もあるということですか?」

先生から言われたことがよくわからなくてパニックだけど、とりあえず最悪の最悪を想定しがちな私が咄嗟に思いついた唯一の質問だった。

「あぁ、もちろん有り得るねぇ」

との返事。
目の前が真っ暗になった。

え?こんな元気よく泣いてる子が?
世界で一番可愛いこの子が?
嘘やろ?嘘やなぁ?

しばらく放心していた。と思う。

搬送先がなかなか見つからない間に放心から解け、やっと先生から告げられた病名を「確かこんなんだったかな?」と調べて、でも調べすぎるのは怖くて、検索結果で上の方に表示されたざっと概要がまとまっているホームページを見つけて夫と母に
「娘はこういう病気だそうです 亡くなるかもと言われました」
という取り乱したメッセージとともに送った。

夫は勤務中だったけれど、私からの連絡を見てすぐに会社を早退。
電話をくれて「搬送先が決まったらすぐ行くから!大丈夫だから!」と泣く泣く話す私を励ましてくれた。

搬送先が一番近くの専門病院には空きがないと断られ、少し離れた病院に決まった。

娘と一緒に救急車に乗る。
車好きの息子が知ったら喜ぶやろうなぁ、でも娘とは乗りたくなかったなぁ。というか家族が救急車のお世話になんかなりたくなかったんやけどなぁ。
車の揺れのおかげですやすや眠る可愛いわが子がそんな一大事だとはやっぱり信じがたいまま救急車に揺られた。

搬送先の病院に到着。
最初に診てもらった感じ悪い先生から一変、とても感じの良い先生に迎えてもらってほっとする。
「こんなとこ初めて来たでしょう、パスポート要るんかと思うよねぇ」なんて冗談もかましてくれて、
「こんな冗談も出るぐらいだし、娘はやっぱり一大事ではないな」なんて安心していたら
「生きるか死ぬかの事態だから、旦那さんにも来てもらえる?」と言われドキッとし、
おばあちゃんに息子のお守りの手配をし、夫も遅れて来てもらうことに。

「詳しい検査をして、すぐ手術を行うか、日を改めるべきか判断します」

と言われ、娘を病院に託す。

担当の看護師さんからも挨拶があり、これまた最初に診てもらった病院のときとは一変して
「よくこの段階で病気見つけられたねぇ。本人がぐったりして運ばれてくるのとはえらい違いよ。お母さんファインプレーよ。」
と励ましてもらい、この病気がわかって初めて号泣した。
看護師さんは優しく頼もしく慰めてくれた。

詳しい検査の結果、最初に大病院で診てもらったときにわかった病気とは別に、もう一つ病気があることがわかった。
このもう一つがどうやら曲者っぽい。

とにもかくにもこの病気を良くするには手術するしかないとのこと。でも今すぐにではなく、2日後に体勢を整えて行う段取りとなった。

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