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重なり合った偶然の末に天職と出会う⑳

品切れ

 需要が集中しメーカーさんの予想を大幅に超えて売れてしまうという現象がチョイチョイあります。そうするとメーカー欠品つまり品切れ状態になります。いわゆる〝嬉しい悲鳴〟と言いますが現場の担当者にとっては全く嬉しくありません。。
 一旦こうなると大抵の場合1日や2日の遅れではすみません。早くても1週間から2週間長ければ3カ月欠品状態が続き製造できたものから少しずつ納入されますが、例えば1000個注文したのに200個しか来ないとか、それも毎日ではなく3日に1回しか入ってこないとか・・・色々です。
 お客様からお届けを承ってすでにお代金を頂いている伝票が毎日どんどん送られてきます。通常お買い物いただいてからお届けまで1週間から10日ほどお日にちを頂く旨をご注文の際にお伝えしておりますが、それが数週間経ってもお届けできるかどうかと言う状態になるのです。
 こうなってしまうのは大抵売れ筋商品である為どんどん売れて行きますので、すぐさま売り場に連絡し出荷遅れ、メーカー品f切れがある為お届けまで通常より時間が掛かる事をお客様にお伝えの上販売してもらうか、場合によっては品切れ扱いで販売を止めてしまう事も有ります。すぐには止まりませんのであっという間に伝票は1万枚とかになってしまいます。承った日付ごとに束を分けて、お届け日指定のもの、急ぎのものなど優先順位をつけて出荷しますが大抵のものは出荷できません。

こうなるとお客様に電話をして事情を説明し他の商品に変更してもらったり、遅れる旨をご了承いただいたり電話対応もすごい量になります。苦情の電話を頂いたり、そういう時に限って配達途中に落として破損してしまった!とか色々起こります。いつもは天井まで積んである商品もあっという間に底をつき、非常用に数個商品をキープしておくので精一杯です。

③品切れ事件

 ある商品が欠品しました、予想外に売れてしまった訳ではなく、メーカー製造上のトラブルで一部の商品に不具合があり出荷できなくなってしまったのです。即販売を打ち切りましたが伝票残は1万枚を超えており、それだけは何とかしなくてはなりません。メーカーからの大丈夫な商品の納入を待っていました。ようやく「メーカーから明日200個だけ届けます」と問屋さんを通して連絡が来ました。”焼け石に水”ですが無いよりはましです。トラックの到着を首を長くして待っていました。

納品トラックイメージ

 やったー! 目の前に到着したトラックには待ちに待った商品が満載だったのです。
2000個位あるでしょうか、まだまだ足りませんが「これならかなり待っていただいているお客様の伝票は出せる」少しほっとしたのです。
ーーーーー ところが ーーーーー
 運転手さんは一番後ろの方の荷物を少し下ろしただけで出発しようとします。
「チョッチョッチョッチョッチョッチョッ!」その荷物も全部下ろしてよ。
このメーカーの商品は問屋さんから納入されるので毎日毎日問屋さんと電話でやり取りをし、「下さい」「ないです」「下さい」「ないです」を繰り返していました。あと何個必要です。と言う状況も伝えていますので問屋さんの営業さんも状況はよーく知っているわけです。
 運転手さんの話では私たちの荷物は200個だけ 残りの1800個はB百貨店に届けるものだというのです。喉から出が出るほど待っている商品、毎日電話しても無い無い無いなのにウチには200個でBさんには1800個かよ!!!!!!!これまた怒り心頭です。
 すぐさま納品場の出口のシャッターを下ろすようにアルバイト君に指示しました。
「全部下ろすまで絶対に帰さへんで!」もちろん問屋さんの営業さんに運転手さんから連絡を入れてもらいました。
 問屋さんは当然色々な百貨店と取引があります。そんななか取引に対する『忖度』が発生するのです。こちらには無いと言いあちらにはこれだけ用意しましょうといい顔をする。要するになめられているのです。わからないようにすれば気が付かないのですが堂々と目の前でこれだけの差を見せつけられたら容認できません。

天秤にかけられてイメージ

 ようやく事態を把握した問屋さんの営業が役員を連れて謝りに来ました。この荷物がB百貨店さんに届かないとそちらにも怒られてしまいます。Bさんも品切れで待ちに待っているでしょうから。
 ですが私としてはこれだけ毎日連絡をして状況は同じなのにこれほど失礼な事をされてはとてもじゃないですが承服できません。こちらには無いと言い200個しか入れてくれないのに他社さんにはいい顔をして「1,800個ご用意できますエッヘン」みないな。。。
 これではこの商品が良いと思ってお金を払って頂き私たちの店を選んでご注文してくださったお客様に顔向けができません。毎日何件もお電話させて頂き、叱られることもありますが、ご理解いただき快く待って頂いたり、「あなた方も大変ね。頑張ってください」と労いのお言葉を頂いたりするのです。お客様を裏切る事だけは絶対にできません。

 結局問屋さんとの相談でその日の荷物は予定通りB百貨店さんに届けてもらい翌日に同数の1,800個を届けてもらう事でこちらも承服しました。やればできるのです。お互いに大変な時だからと素直に言う事を聞いていたのですが結果的に声の大きい方に物が動いていたのです。
 その後も品切れ状態が続きましたが何とかすべての伝票をお届け完了する事が出来ました。
お客様には心より感謝です。

感謝

次回に続く

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