創作神話

まず、混沌から明と暗が生まれた。明は、生まれた当初から、多くの性質を持ち合わせすぎていた。明は己を四つに割いた。分かたれた属性たちはそれぞれ、火水土風の4人の兄妹となった。暗は全てを飲み込まんと兄妹を襲ったが、4つに分散した力では暗に勝てず、火以外の兄妹は暗の手に落ちた。暗は3人を姦淫し、海は魚を、大地は獣を、空は鳥を産んだ。残された火は、己の体を太陽に変えた。太陽は天使を、暗は悪魔を作り、互いに戦争を始めた。太陽は囚われた兄妹たちに呼びかけ、それぞれ風を空に、土を大地に、水を海に変え、その外を太陽が回ることで暗を世界から追い出した。兄妹たちと暗は一時休戦し、和睦の証として天使と悪魔の両方を併せ持つ「人」を作った。人がただの記念にならぬよう、大地と海は人を増やすことを提案する。(内心では、二人は自分たちの上で戦いが行われてきたことに嫌気がさしていたので、戦場を人の中に移したいという目論見があった。)二人は、土と水が混じることで木が生えることを参考にした。海は人を「男」に、大地は人を「女」にすることで、人が増える仕組みを作った。そうして人の世は繁栄した。記念の「人」も作り終えた太陽と暗は、晴れて条約を交わした。
・一日の半分を暗に渡すこと(昼と夜の発生)
・生き物の生涯の内、前半は太陽が、後半は暗が支配すること(若年期と老衰期)
・海と大地のような関係を「夫婦」とすること
・太陽の娘である月を暗の妻とすること(月が夜空に浮かぶようになる)
・ただし2週につき一度、月を自由の身とすること(新月と満月の説明)
・夜空に星を埋め込み、大きな出来事を記録する「星座」とすること
etc…
空はそれら全ての仲介人を務め、それ以降、空は「法則」となった。

〈雲、雨の説明〉
海には暗によって無理矢理に産まされた子どもがいる。子どもの名前は「雲」である。雲はたくさんの兄弟で、くっついたり離れたりを繰り返している。雲は海と同じく水の性質を持つが、彼らは傲岸不遜な性格で、太陽や月を飲み込まんと空を漂い続けている。また、彼らは非常に気まぐれな性格でもあり、機嫌がいいと雨を降らすが、たまに調子に乗って降らせすぎて洪水を起こすこともある。
→農耕社会の場合、雨の神はもうちょっと格を上げた方がいいのかも。

〈暴風、嵐、雷の説明〉
空にも暗によって無理やり生まされた子どもがいる。子どもの名前は「暴風」である。彼も気まぐれな性格で、神や人によく悪戯をする。法そのものでもある空は、時に迷惑息子を叱りつけ取り押さえようとする。その時起きる取っ組み合いの喧嘩に、野次馬好きの雲が加わることで起きるのが「嵐」である。また「雷」は、空が暴風を叱りつけることによって起きるものである。
→こちらも上に同じ。雷とかは世界的に見ても重要な位置を占めてることが多いかも。

〈川、湖、地下水、熱水、地震の説明〉
海と大地の間には「湖」や「川」など、多くの子どもがいる。その内の一人に「地下水」がいる。地下水は身を隠したり、物を隠すのが特技で、常に地下に潜っているが、それを見つけたものには良質な水や、母なる大地より盗んだ金塊を与える。だが、大地にそれが見つかるとお仕置きをされてしまう。この時の叫び声によって起きるのが「地震」である。

〈山、噴火の説明〉
山は、天使と悪魔が特に激しい戦いを繰り広げた、古戦場である。彼らの亡骸は、大地によって地中の奥深くに沈められたが、時にその争いの名残が、毒の霧や燃える水となって地表に現れる。これは「噴火」と呼ばれ、その際に現れる「天の狼煙」を、人々は非常に恐れている。

〈月の満ち欠けの説明〉
夫婦仲は悪くないが喧嘩が絶えないため、月の満ち欠けは夫婦の力関係の移りゆきとなっている。「新月の夜」は、月が報告のために太陽の元に帰る日である。また「満月の夜」は暗の束縛から逃れ、月が最も輝く日である。
→月の満ち欠けについて言及している神話は割と少なめ(あと結構こじつけ)。なんか一工夫欲しいかも。

〈潮の満ち引きの説明〉
海は太陽の代わりに月を養育していたため、月に特別な思い入れがある。海は月が太陽の元に帰る日と、最も輝きを増す日には、その身を震わせ潮を高くする。

〈海が塩水であること、塩害についての説明〉
かつて月を養育していた海は、その美しさに惚れてしまったことがあった。しかし太陽と暗の契約によって月は海の元を離れ、暗の妻となった。
海は、月が自分の元から離れた悲しみのあまり、いつまでも泣き続けた。泣き続けた海は、自身が涙でいっぱいになっていることに気づいた。海は気を取り直して妻である大地の元へ向かったが、自分以外のために涙を流したことで海に対する愛想を尽かした大地との間に、子ができることはもう無かった。海が「塩っぱく」なったのは、この時の涙が原因である。

〈季節の発生〉
ある日、空は自分の王冠を海に落としてしまった。王冠は海によって拾われ、海は世界の支配を宣言するが、そこに太陽が介入し、結局海は王冠を取り上げられてしまった。すると暗は太陽の専横に抗議し、その権利の半分を求めたが、あまり多くの権利を暗に渡したくなかった太陽は、同じく権利を要求していた大地に、その権利の一部を与えることにした。暗は欲しい分を得ることができなかったが、海が妥協し暗に支配権の一部を渡すことで事は収まった。
 実は、海にとって暗の支配の時期が伸びることは都合がよかった。なぜなら、冬は夜が長いため、海はなるべく長く月を眺めていたいという願いが叶うからである。結果として一年の内、始めの季節は空が、次の短い季節は海が、3番目の季節は太陽が、4番目の季節は大地が、最後の季節は暗が、それぞれ支配することとなった。これが今の季節の始まりである。(春雨夏秋冬)
→雨季を入れたいのなら、秋口にもう一個あるので要検討。

〈日食の説明〉
月が太陽の元に報告に帰る時、太陽は稀に暗のことを悪く言うことがある。すると月は「あの方のことを悪く言わないでください。」と抗議する。そして「そんなことをおっしゃるなら、私が昼も夜にしてしまいますわよ。」と一時的に太陽のことを覆い隠してしまう行動に出る。これがいわゆる日蝕である。

〈魚、獣、鳥の説明〉
原初の獣、魚、鳥たちは、暗と太陽以外の兄妹たちの間に産まれた、暗の手先であった。しかし、明と暗の戦いが終わり、平和になったため、彼らは存在意義を失ってしまった。彼らは自分たちの新たな役割を求め、太陽に相談を持ちかけた。太陽は、彼らにも人間と同じ身体の仕組みを与え、この世界の豊かな循環に加わるよう助言した。彼らはこれを喜び、世界のあらゆるところに住むようになった。現在の彼らの姿が多種多様なのは、人間のように、環境に適応する力を太陽から授かったためである。

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