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031 妻の両親の終活④~親が大丈夫だと言っても自分の目で調べるべし。

《前回の話》

2年前、義父母の任意後見人となる手続きを終えた私と妻ですが、それでコトがスムーズに終わった訳ではありませんでした。確かにしばらくはホッとして義父母ともども穏やかな日々を過ごしていたのですが、1年も経たないうちに義父が病気になって以来、急速に老け込んでしまいまして。また見事に比例するかの如く義母の調子も悪化してきたのです。義父は外での歩行がおぼつかなくなり、義母は物忘れが徐々に目立つようになりました。

私たちは同じ敷地内で完全分離型の二世帯住宅に暮らしており、そう頻繁に顔を合わせている訳ではありませんが、普通に過ごしている生活臭は常に感じています。何か異変があればすぐに分かるほどの距離感とでもいいましょうか。

夜遅く、義父から突然の呼び出しが
ある夜、義父から私にインターホンで今すぐ来てほしいと連絡が入りました。普段ならありえないような遅めの時間帯です。特に病気やケガなどという雰囲気ではなかったのですが、とりあえず訪問すると義父はほとんど明かりの点いていない居間に難しい表情で座っていました。何事かと尋ねてみると「お金が見当たらない」とのこと。後見人の手続きを済ましてから、両親が金銭は分かりやすく管理できるように妻が工夫して両親の銀行口座に入金、お金を引き出すのも一つの金融機関で対応できるようにしていました。だからお金が見当たらないというのは手持ちの現金がなくなっただけかと思ったら、〇〇銀行に預けていたお金がなくなっているので何者かに取られたに違いない。だから私に何とかしてほしいと。

色々と辻褄が合わないのでアレコレ聞いていったところ、義父はどうやら〇〇銀行の口座にお金が残っているはず、と考えているようでした。しかし既にすべての財産は整理して新たな管理体制を取り、必要な現金はいつでも両親の口座から引き出せる訳ですからそんなことはあり得ないのです。それでも義父はお金がないと譲らない。妻に事情を話たところ、それはもしかすると貸金庫のことを忘れているのではないかと。

他人の貸金庫へ入る
そういえば司法書士の野田さんに依頼して財産管理をしたとき、義父が〇〇銀行の貸金庫について言及したことがあったのですが、中には何も残っていないと発言していました。思えばその時にしっかり調べるべきだったのですが、まだ当時の義父は頭もシャキッとしていましたし義理の息子としてはさすがにそこまで踏み込むのは躊躇してそのまま放置していたのです。

数日後、平日に仕事を休むことができた私は義父母を連れてくだんの〇〇銀行へ。妻は仕事で不在です。義父とは言え他人の貸金庫を開けるのはいささか抵抗があったのですが、そんなことを言っている場合ではないので開けることにしました。すると案の定、中から若干の現金と、財産整理した時には話題に上らなかった通帳が出てきたのです。しかも結構な分量で。

次回「銀行回りは1ヵ所で半日潰れる」(仮)につづく。

《今日のポイント》
・老人は突然思い出すが正しいとは限らない。
・親が大丈夫だと言っても全面的に信用するな。自分の目で調べるべし。
・とにかく親が元気なうちに終活の段取りをすべし。

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岡橋秀樹
一般社団法人プリエンド協会 代表理事
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