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029 実家の両親の終活④~老人との対話にはファシリテーションを。

《前回の話》

※予告のサブタイトルは内容に合わせて変更しています。

男ばかりの親族の腹を割った会議で、まずは父の話を全面的に聞くことにしました。いや「腹を割った」というのは誤りですね。少なくとも私は腹を割る気などありませんでした。本音を吐露すれば打ち合わせが破綻することは分かっていたので、最後の親孝行という意味で「腹をくくって」対話に臨んでいたのです。

前回も書きましたが、私は両親、特に父との関係が良好ではありません。父は何事にも厳しくて細かくやかましく、すべてを自分の管理下に置きたがるタイプで、そんな父を嫌って自由を尊重する私は何事にもアバウトで超反抗的になりました。親子関係はうまく行く訳がありません。子供の頃は小学生時代から何度も家出を繰り返してきました。今なお父とまともに話れば私が激昂してしまうことは確実なので、これまで避けてきた(いや、逃げてきた)と言えましょう。

結論を出すのではなく合意を優先
ですが今回はコロナ禍の影響で親と会うのは2年ぶり。さすがに歳を取って先の長くない彼らに、いつまでも突っ張った態度を続けることもなかろうと傾聴に努めました。傾聴というか我慢して聴いていただけですが。結果的に父の言うことはモーロクした老人の自分勝手なたわ言にしか聞こえなかったのですが、それでも真っ向から反論するのは止めておきました。その場で紋切型の結論を出すのではなく、とりあえず全部受け止めた上で自分の意志は表に出さず、父だけでなく親族が合意する次の段階を目指すことを優先したのです。

体を悪くして以来、親族たちが集まった場で自己主張をしたくてもできなかった父の言い分はすべて聞いたので、会議が随分長引きました。全員が満足する結論を導きだすことは叶わなかったものの、父の話を全部聞いた上で出した「父は老人ホームに入らず、24時間介護の体制を整えて一人で実家に暮らす」「母は一人暮らししている近所住まいの弟の家で試験的に一緒に暮らす」方向でとりあえず話がまとまったのです。誰もが全面的に納得していませんでしたが、全員がプチ妥協して「まずはこれでやってみよう」というところまで話を持っていくことができました。つまり前向きな合意形成に至った訳ですね。これがないと何度も面倒な会議をやらなくてはなりませんし、下手を打てば大喧嘩で終わってしまいます。

おそらくここからスムーズに話が進んでいくことはないでしょうが、それでもまずは長年勝手なふるまいばかりで親族から相手にされていない父の言い分に対して、少しとはいえ参加者全員がリスペクトする姿勢を見せただけでも話し合いはソコソコうまく運んだのではないかと。

全員が納得することはないと思うべし
父は話を聞いてもらってそれなりに満足げでしたが、合意してくれたとは言え会議中に父の身勝手な意見に怒ってしまった叔父と弟には後でそれぞれ個別に話をしてフォローを。彼らは方向性についての支持を約束してくれました。ここで全面反対されたら元も子もなかったので、私はとりあえずホッとして名古屋に戻ることができたのです。そもそもこの手の話し合いでは登場人物全員が納得することなどないと考えておいた方がいいでしょうね。

とはいえまだ親の終活が完結した訳ではなく、対応すべき問題は山積しているのが現実。父の言い分がコロッと変わる可能性はありますし、認知の入ってきた母が今後余計なことを言い出す可能性も。今後はさらに叔父や弟と連絡を取り合って情報共有することを心掛けていきます。次なる問題への対応など、改めてここでご報告させていただくことになるでしょう。

つづく。

終活問題に関するご相談は、経験豊富なあらゆる専門職の揃っている一般社団法人プリエンド協会までどうぞ。

岡橋秀樹

一般社団法人プリエンド協会 代表理事
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