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E67:「オレオレ」現る


実家に、電話がかかってきた。
父が電話に出た。


……………

「もしもし父さん、源太やけど」

「ほお」

「久しぶりやな」

「ほお」

「ちゃんと聞いてる? あのな、ちょっと頼みがあるんやけど」

「いや、その前に。お前誰や?」

「だから、源太やて。大丈夫か?」

「じゃあ聞くけど、お前は昨日どこおった?」

「そんなん知らんわ。何、変なこと聞くん?」

「何が変やねん。だから、お前誰や?」

「だから、源太やて❗️」
 

「ほお」

「ホンマ、父さん大丈夫か?」

「お前こそ、大丈夫か?」

「大丈夫やで。何なん? 今日の父さん何かおかしいで。それよりお金用意してほしいねんけど」

「嫌や」(即答) ←素晴らしい

「え?」

「だから、嫌や❗️」

「は? 何やねん、腹立つわ、もう‼️」ガチャ


……………


電話中、父は笑をこらえるのに必死だったらしい。
前日に会って、ゆっくり食事をして…
いろいろ積もる話をして…

次の日の朝、息子とは似てもにつかない声で
「久しぶりやな」の間抜けったら。

父は楽しそうな声で最後にこう言った。

「何が一番おもろかったって、その電話口の源太、めっっっちゃ早口やってん!」


そいつは、かなり面白い…。
いちど聞いてみたかった…。
言うてる場合か‼️


まあ、面白がっているうちは
いいけどねぇ、心配やわ。

しかし、なぜ名前を?

間抜けなオレオレとはいえ、気味が悪いな。

  

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