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定時で帰る女

新卒で200床ほどの精神科病院に作業療法士として勤務した。そこにはほぼ毎日17時の定時で帰る女がいた。

仕事ぶりは、日常の業務は卒なくこなす。やったことのない内容の仕事も前向きに取り組み、患者さんのカルテと照らしあわせながらリハビリの関わり方、計画をたてて遂行する。

ただ業務が業務時間内で終了するので、定時で帰宅。いますよね、そういう方。いや、全然悪いことではないんです。プライベートを充実させたい、生き方は人それぞれ自由ですから。

不思議なのが、実はその彼女はその後の人生で出産・育児を経験したあとに専業主婦となり、その後なにがあったか会社をつくった。そして定時帰宅どころか、休日もあるかないかわからない異常なほど働くようになった。

はい、私の事です。
私が元・きっちり定時で帰る女です。

プライベート充実型で働いていた時も、もちろん幸せだった。一方で夫が猛烈仕事人間で、今の制度的に想像できないけれど終電で帰宅するような働き方だった。

猛烈に働く姿は、少し羨ましくもあった。そこまで夢中になれる仕事ってなんだろうと。

作業療法士時代、患者さんに対して真摯に向き合いながら働いていたが心のどこかで物足りなさを感じていた。だが起業した今は、それが全くない。全力で仕事に日々向き合っている。昔の働き方に比べて、安定感はないし、休みもないし、暗中模索の中で自分で道を切り開いていかなければならない。自分が動かないとなにも始まらないという、自己責任の世界。

自分の夢中遍歴を振り返ってみた。

・小学生時代:夢中でやんちゃに遊んだ(書けない内容多数)
・中学時代:テニス部で全国大会出場、キャプテンとして結果を出したが、もっと努力できたはずと少し後悔が残る。
・高校時代:夜中2時まで毎日勉強(効率悪い)、書道やエイサーも賞をもうらうほど猛烈練習した
・大学時代:夢中の記憶がない
・社会人:就職と結婚を同時にし「結婚生活」を充実させることに夢中になると決める

今まで結果を出しても、夢中じゃないと後悔が残ったが、思うような結果が残らなくても無我夢中で取り組んだことに関しては全く悔いがないことに気付く。

結婚生活や子育てに夢中で取り組んだおかげで、料理の腕は上達し、効率的に色んなタスクをこなすことができるようになった。だが、仕事に関してはいまだ無我夢中経験がなかった。

仕事の物足りなさの正体は、無我夢中不足だった。

現在、仕事ではうまくいかないこともたくさんあって、壁だらけ。だけど苦しい状況の中でも自分という人間はどう生きるかを自分で決める感じがたまらなく好きなんだと思う。

補足すると、夢中=起業とは考えていない。あらゆることに触れ、体験したことの中から「コレだ!」と思う仕事に出会うことができた。私の場合その先にたまたま起業があった。

世の中まだまだ知らない事が多い。今後どんな仕事でも、趣味でも、夢中で取り組めることに出会えて、それが実行できたら、それは幸せなことなのだと思う。

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