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#6 介護予防で大切にしたいこと


本日は介護予防の取り組みに療法士が関わる時に、

私が気をつけていることを述べたいと思います。



先に言っておきますけど、網羅するつもりはありません。

私が主観的に気をつけたいな〜と思ってることを述べます。



①「介護予防」に療法士が関われる部分はどこか
②療法士の強みを活かして
③気をつけたいこと





「介護予防」に療法士が関われる部分はどこか



ここはぜひ、イメージが先行してしまわないようにしたいですね。

体操教室運営でしょうか?

街の相談所の運営でしょうか?

自宅でもできる運動を指導することでしょうか?



間違いでは無いですが、本質を押さえましょう。



各市町村には各年度毎で(市町村によって期間はまちまち)、「介護保険事業計画」が制定されているはずです。

まずはそこを確認して、自分の市町村がどんなビジョンのもと予算組みしているのか大まかに把握しましょう。



私が関わることが多い市のものをリンクを貼っておきます。

(常滑市高齢者福祉計画・第7期介護保険事業計画 平成30年12月更新のデータ)



これを見ると色々なことが分かります。

例えば、市の人口と要介護認定率の予測推移を見ると、私の目の前に来るであろう要介護者の規模感が掴めます。

そこに対して、大目標がいくつか立っており、その目標に対して細かいKPIが設定されています。

そのKPIを見て、自分たちならばどこの数値に関与できそうかを読み取ることができます。



そうすると、

私たちが関われそうなところ図にするとこんな感じですよね。

皆さんも見覚えがある図じゃないでしょうか。

スライド314




そして令和元年からは「インセンティブ交付金」と言う制度も追加されて、療法士を積極的に使える制度設計が増えてきています。

参考に下記もご一読ください。

※(介護インセンティブ交付金(保険者機能強化推進交付金))
先進自治体の介護予防モデルの横展開を進めるために保険者と都道府県のインセンティブを高めることが必要であり、公的保 険制度における介護予防の位置付けを高めるため、介護インセンティブ交付金の抜本的な強化を図る。同時に、介護予防等に 資する取組を評価し、(a)介護予防について、運動など高齢者の心身の活性化につながる民間サービスも活用し、地域の高 齢者が集まり交流する通いの場の拡大・充実、ポイントの活用といった点について、(b)高齢者就労・活躍促進について、高齢 者の介護助手への参加人数、ボランティアや介護助手へのポイント付与といった点について、交付金の配分基準のメリハリを強化 する。


つまりは、

インセンティブ交付金は、高齢者の自立支援・重度化防止につながる取り組みを積極的に行った都道府県・市町村を評価し、その評価に基づいて自治体に交付金を支給するという制度です。

国は令和元年度に、インセンティブ交付金として200億円を予算へ計上し、高齢者の自立支援に注力し成果を出した自治体に交付金の支給を開始しています。




この中で、療法士が積極的に強みを発揮できる部分はどこでしょうか?




療法士の強みを活かして



では、先程の図から療法士に期待される役割を抜粋します。

リハビリテーション専門職等は、通所、訪問、地域ケア会議、サービス担当者会議、住民運営の通いの場等の介護予防の取組を地域包括支援センターと連携しながら総合的に支援する。


これらの取組を、地域包括支援センターと連携しながら行うことが行政の期待です。

これらの場で、私たちの強みを活かせ。

そう言われているのです。



プレイヤーとして関わる通所や訪問はイメージしやすいですよね。



では例えば。

「地域ケア会議」において、強みを出すためにはどうすれば良いのでしょうか?



専門用語でねじ伏せますか?

ロジックに基づいた病態整理と予後予測で圧倒しますか?

サービスはこう組むべきだと指摘しますか?



それ、よく見かけます。

自分がそれ、他職種にやられたらどう思うか考えてみて下さいね?

正直ウザいですよね。

そんな人がいたら右から左に聞き流して何も無かったかのように華麗にスルーするのが得策でしょう。




こう言った時に、私たちは生活を見る視点と、病態における知識を使って、自身の経験則も踏まえて意見を述べることが求められるのです。

あくまで、「提案」と「助言」です。



「指導」や「指摘」をする人は嫌われますよ。

はっきり言いますが、嫌われたら絶対に何も意見は通りません。



「ああ、またあの人なんか言ってるわ。適当に聞き流しとこう」

「ああ、こんなこと言って。いつも遅刻してくるくせにな」

こう思われて終わりです。




だから、スタートラインに立つためにも、基本的マナーは押さえておきましょう。

そして、対等の立場で議論することが必ず求められます。

まずはここに立てない人が多い印象なので、しっかり言っておきます。



その上で、専門職としての視点を持って「提案」「助言」まで持っていきましょう。

私たちの生活と結びつける視点、病態知識、予後予測のちからは、他のどの職種よりも広い視野を持っているはずですから。




気をつけたいこと



介護予防に関わる際にありがちなパターンがあります。



「あなたがきてくれて本当に助かった。ありがとう。じゃあ、来月も続けてよろしくね。」

「本当に勉強になった。先生が来てくれる月だけはちゃんと参加しなくちゃね。」



これ、健康運動指導士の先生方と差別化できてますか?

こと運動指導ならば、健康運動指導士や運動のインストラクターの先生方はすごいですよ。

療法士とはそもそもレベルが違うと思います。

参加者のモチベーションの乗せ方、運動の伝え方、運動の構成の仕方など、私は見ていて学ぶことがとても多い方々です。

集団への直接支援では私はとても敵わないな〜と思うことが多々あります。




なので冒頭で説明した、自分はどの目標数値に対して関わっているんだと明確に言えるくらいでないと、参加している目的を見失います。



あなたは今、「直接介入」しているんですか?

「間接介入」しているんですか?



ここも重要です。



例えば、

地域介護予防活動支援事業の「自主運動教室立ち上げ支援とボランティアの育成」に関して、具体的に数字をあげていきたいとしましょう。


でしたら、包括支援センターの担当者と相談しながら、

運動教室の企画はこんな人を誘うといい。この資料で進めると効果が挙げられそうだ。参加者のレベルに合わせたらこの内容だと思う。会場の環境はこうだ。運営者の負担が減るようにこの部分はパターン化すればどうか。継続させるために緩い時間も設計しよう。

「じゃあ、試しに手本やってみるから一緒にやりましょう。」


こんな流れで参加者の前に立って運動している。これなら「直接介入」のようで、運営者に背中を見せながら行う「間接介入」ですよね。



そして大目標へ繋がっているか、ミクロとマクロの視点を行ったり来たり確認しながら進めることが必要だと思います。



そんなこんなでたくさん述べてしまいましたが、要は大目標を押さえて、自分の役割はなんなのかをいつも意識しておくことが大切だと思っています。

介護予防の現場に行けば、私たちは先生と祭り上げられついつい指導者のような気持ちになってしまいます。しかし本来、私たちはどちらかというとナレッジワーク(知識の仕事)をすることができる職種です。

評価者や相談者としてその地域やコミュニティをマネジメントして、地域がいつの間にか勝手に健康になってる。



そんな状態が理想ではないでしょうか。


それでは、今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。

岡田


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