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Collective Dialogues

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創造的で豊かな対話を実践するための工夫やヒント
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2020年6月の記事一覧

「参加から参画へ」 – さまざまな立場の人が認知症の課題に取り組む意味(Ⅱ)

「参加から参画へ」というテーマで、ヨークの"Minds & Voices"の人たちの活動を中心に、認知症の当事者も交えたさまざまな立場の人が認知症の課題に取り組む意味について考えた。 同じ英国でも、スコットランドのエジンバラでは、また別の活動が進められている。以下では、変化を少しずつ形にしながら働きかけていくことについて考えていきたいと思う。 変化を少しずつ形にしながら働きかけていく スコットランドで認知症当事者グループを立ち上げたJames McKillopさんは、エジ

対話の要件

対話が生まれる要件とはなんだろうか。ひとつには、パターン・ランゲージ「対話のことば」で記述されたような心的態度を参加者のそれぞれが意図的に実践することだろう。 ふたつめの要件は参加者の動機だろう。もちろん、その動機は参加する人ごとに異なる。明示的かもしれないし、曖昧かもしれない。必要性かもしれない、期待かもしれない。 いずれにせよ、その場にいるという事実は、参加者による関与・寄与の間接的な意思表明となる。対話という文脈でいえば、何かを話したいという気持ち、聴きたいと思って

自分と他者を知るための哲学対話で、"思い込み"から自由になろう (二村ヒトシ 映像ディレクター) #つながれない社会のなかでこころのつながりを

 現代は、人の数だけ恋愛の幸福と不幸があるといっても過言ではないでしょう。  映像ディレクターの二村ヒトシさんは著書を通じて、恋愛でどう幸せになるかを説いてきました。自分と相手の持つ〈心の穴〉の形を知り、思いこみから自由になり、自分と相手について本質的な理解をすることで、より幸せな恋愛ができるということです。  本稿で二村さんは、自分の考えや心と向きあうために哲学対話という手法を勧めています。他者や自分自身との対話を通じて、思ってもみなかった発見をえて、あなたがより生きや

「参加から参画へ」 – さまざまな立場の人が認知症の課題に取り組む意味(Ⅰ)

認知症の課題を地域で考えていくためには、多くの人が関与することが大切だ。。そのような活動には具体的に誰がどのように関わればよいのだろうか。そのヒントが世界でも、日本でも、生まれ始めている。 “I want to speak please” 認知症の当事者本人としての声をとどける 冒頭の写真は、ロンドンから列車で2時間ほどの英国中部の街、人口20万人ほどのヨークというところで使われている絵はがきほどの大きさのカードです。 この街では、認知症当事者のみなさんが月に一度集まって