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日記・雑感

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#SF

モンダスに住む:アーシュラ・K・ル=グィン『夜の言葉』

伝えることが出来ないこともあるんだなと思う。そう思うようになったのは、もうずいぶんと前のことだ。 ル=グウィンは、ロード・ダンセイニの作品中の《内陸》(イナー・ランド)を「わたしの故郷」と呼ぶ。ル=グウィンと私とは、時代も環境も世界観も異なるけれど、もしかしたら同郷かもしれない。 ル=グウィンの「夜の言葉」の「モンダスに住む」にこんな一節がある。 「見つめる眼」ではトールキンを引用しながらこんなことを言っている。 もっとも、ル=グウィンは私と違って、退却系ではまったく

きっかけ

私は小学校の3年生ぐらいまで本を読むことがない子どもだった。仲のよかったN君はすでに当時ドリトル先生の全巻を読んでいたりしたけれど、私はそれをどうとも思っていなかったし、すごいなとも思っていなかった。単純に本を読むことに興味がなかった。 実際はそもそも本を読むということが上手くできなかったのだと思う。本を読むということがどういうことなのかもわかっていなかった。運動も得意ではなかったし、学校もよく休んでいた。 本を読むようになったのは母が「魔ほうのボール」という本を買ってき

時に触れる

好きなSFを一冊だけ選んでほしいと問われたら・・・。 ダン・シモンズの「ハイペリオン」? フランク・ハーバートの「砂の惑星」? それともアイザック・アシモフの「われはロボット」? あげだしたらキリがない。 でも、タイムトラベルものに限定したら? 古典としてのウェールズの「タイムマシン」、エンターテイメントとしての「バック・トゥ・ザ・フューチャー」、いずれも捨てがたいし他にもよい作品は数えきれないほどあるけれど、私はやっぱりハインラインの「夏への扉」を選びたい。 SFでは