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PTA会長退任のメッセージ〜思い出そう10のこと〜

 2021年3月末日をもちまして、3年間活動いたしましたPTA会長の任期が終わりました。ここに、少しばかりのごあいさつをさせていただきます。

 これまで様々な場面で数え切れないほど多くの保護者のみなさまから、力をかしていただきました。本当にありがとうございました。おかげさまで、大きな事故や問題もなく、次の役員の皆さんにバトンを渡せました。

 3年間の活動で私がずっと考え、格闘してきたのは、「地域の保護者のみなさんの持っている大変な潜在力をどうすれば引き出すことができるのか?」という問題です。

 私たちのPTAは、女性保護者も相当数の方がフルタイムワーカーである時代にもかかわらず、これまでルールや慣習や制度が必ずしもアップデートされていない部分がありました。「どうしてこの活動が必要なのか?」の答えも曖昧なまま、前年踏襲でルーティーンをこなし、PTA活動をエンジョイすることなく「やり過ごす」という雰囲気が見受けられました。

 ところが、本業の多忙さゆえ会長立候補を断り続けてきた私が、結局この役回り引き受ける決断をしたのは、ある友人ママがPTAイベントの活動の終わりの「反省会」のため、下のお子さんの保育園の運動会に行けなかったと、涙を流していたことを知らされたからです。

​ PTAは、一切見返りのないボランティアであって、そんなありがたい活動の一体何を「反省」することがあるのだろうと私は義憤にかられ、そして「それは必要ないです」となかなか言えない多くの人々のことを考えると、「これでは人々の素晴らしい力を引き出せない」と感じ、何とかしなければと思ったのです。

 ですから、私が3年間で役員のみなさんと協力しながらやってきたことは、「やらされるPTA」から抜け出るための工夫です。せっかくの力が負のエネルギーとなって、PTAを疎んじることになることが、ほんとうにもったいないと思ったのです。空気を変えるためには何が必要なのかと日々考えました。

​ 会長になってからは、遠慮がちに「子供が熱なので・・・」と言う役員さんには、「当然だよ。どんどん休んでね」と返し、時代にそぐわない「運動会来賓席へのお茶だしシフト表作り」も止めました。役員を酌婦のように使う地域の宴会も「地域防災の会合」に看板を付け変えました。歯を食いしばって年間に何十回もの会合に出ていた会長の慣習を、「フルタイムで働いているので平日の昼間は行けません」と、訝られることを承知で貫きました。負担の重い地域の古い行事も「止めませんか?」と発言して嫌われました。目的は、「新しいスタンダード」で空気を変えることだったからです。

​ 今、3年の任期を終えて、次の年度の役員のみなさんが色々と準備をしている姿を見るにつけ、自分たちがやってきたことは、あながち間違ってはいなかったのだなと感じています。現在、私たちのPTAは非常に明るく、多くのみなさんが喜びを感じながら、楽しく、笑いながら、生活をゆがめることなくできることを、淡々と確実になさっています。


 2年続けて役員をやってくださる方がたくさんいて、ノウハウや、無理をしないで楽しくやるセンスを、なだらかな役割交代のサイクルで受け渡すことができるため、そしてそのやり方が多くの保護者の皆さんにじわりじわりと伝わっていくため、「何のためのPTA?」という基本の問題に、それぞれの皆さんが答えを出せるようになっていると思います。コロナ感染が皮肉なことにこれを促してくれました。

 子供たちに寄り添う6年間の小学生生活は、長いようで本当に短いです。人生の後半になって、地域と学校と保護者の皆さんと、このようなやりとりができたことに感謝いたします。これからも、学校運営委員会委員として、また「ボロ市のテント設営」ボランティアとか、雪の日のグラウンドの整備とか、できることを見つけて、なおも学校応援を続けたいと思います。

 そして会長を3年やったことでいただいた「永久ポイント」をすべて返上し、ゼロポイントからまた楽しくご協力させていただくことをここにお伝えします。

 次期PTA会長は、優秀かつ人格穏健なる素晴らしい方です。どうかお引き立ていただきますよう、衷心よりお願い申し上げます。

PTA 「思い出そう10のこと」


1、PTAは、自発的に作られた「任意団体」です。
   強制があってはなりません。

2、PTAは、加入していない家庭の子供を差別しません。
    企業ではないからです。

3、PTAに人が集まらないなら、集まった人たちでできることをするだけです。

4、PTAがするのは、「労働」ではありません。
  対価のないボランティア「活動」です。

5、PTAのボランティア活動は、もともと不平等なものです。
    でも「幸福な不平等」です。

6、PTA活動は、ダメ出しをされません。
     評価はたったひとつ「ありがとう」です。

7、PTA活動は、生活の延長にあります。
     家庭を犠牲にする必要はありません。

8、PTA活動は、あまり頑張り過ぎてはいけません。
     前例となって「労働」を増やします。

9、PTAは、学校を応援しますが指導はされません。
    学校と保護者は対等です。

10、PTAの義務は一つだけです。
     「何のためのPTA?」と考え続けることです。

                           2021年3月31日


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