オカケン

広島カープ愛あふれる政治学徒・教員・物書き。暮らしで見聞きしたデータ全てで「地べた目線の政治学/デモクラシー」を模索し、地域密着人生。

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最近の記事

書き下ろし新刊が発売されます!    『半径5メートルのフェイク論』(東洋経済新報社)

7月31日に、新刊書き下ろし本が発売されます。  「バイデンは大統領選挙を盗んだのだ!」から始まり、「引いたおみくじは全部木に結えつける」まで、この世には大中小のフェイクがあります。笑って済ませられるチャーミング・ミステイクは良いのですが、じわりじわりと人々の心を蝕んでいく、グレートな才能やハートを持っている人たちを封じ込めるものは、やっぱり放置できません。  弱くて小さな私たちが、呼吸をして、のびのびと幸福を享受するための「協働(cooperation)」のエリアである

    • 講義録「PTAとデモクラシー」〜2023年度武蔵野市寄附講座@成蹊大学法学部「民主主義について考えるための14講:第13回 〜(専修大学:岡田憲治)

       東京都武蔵野市が行っている寄附講座「成蹊大学法学部 ”民主主義について考えるための14講" の第13回目の講義を担当させていただきました。その際の講義録をここにアップして、一人でも多くのみなさんの地域自治のヒントにしていただければと思います。  成蹊大学を通じて掲載の可否をお尋ねした所、「問題ありません」とのお応えをいただきました。  私の講義以外の13回も、素晴らしい先生方が珠玉の講義をしてくださっております。この講座を長年維持してくださっている武蔵野市および武蔵野市民

      • 「大谷グローブ」というスイッチ〜行き交うボールの可能性について〜

        <嬉しさ半分、着地点が見つからぬ半分の「大谷グローブ」>  大谷選手が日本の全小学校にグローブを送ったというニュースを聞いた時、ドジャースと大型契約を結び、気の遠くなるほどの富をえたアスリートが行う社会貢献のスケールに驚いた。同時に、もうひとつ心に浮かんだのが「学校はこのプレゼントをどう扱えば良いか困惑しているだろうな」という心配だった。  しばらくして、予想通りこの点を指摘するジャーナリストからの報告があった。自治体の教育委員会から委託をうけた公立小学校の学校運営委員である

        • リアクションならぬ「レスポンス」の力〜世田谷パブリックシアター「地域の物語2024ワークショップ(ラップしようぜ!)」に寄せて

          <忖度と政治の「リアクション」>   テレビ画面に映る雛壇上のお笑い芸人たちは、笑いを取ろうとする者の動きに対面して、「どんなリアクションが求められているのか?」と瞬時に考える。歳上相手なら「先輩のテイストを殺すことなく盛り上げて、同時に自分も”オモロい奴”で着地する」ことに必死になる。後輩相手なら「露骨にならぬように自分を脅かす者を潰す技法を用い、同時に自分のオモロい印象を残す」工夫をする。  いずれもお笑いの世界「で」生きるというよりも、お笑いの世界「を」生きのびるための

        • 書き下ろし新刊が発売されます!    『半径5メートルのフェイク論』(東洋経済新報社)

        • 講義録「PTAとデモクラシー」〜2023年度武蔵野市寄附講座@成蹊大学法学部「民主主義について考えるための14講:第13回 〜(専修大学:岡田憲治)

        • 「大谷グローブ」というスイッチ〜行き交うボールの可能性について〜

        • リアクションならぬ「レスポンス」の力〜世田谷パブリックシアター「地域の物語2024ワークショップ(ラップしようぜ!)」に寄せて

          『教室を生きのびる政治学』(晶文社)重版五刷出来です!

          『教室を生きのびる政治学』(晶文社)重版五刷出来です!

          「派閥解散」宣言の馬鹿馬鹿しさ:何の進歩もない政治家とメディア

          <何の進歩もない「派閥解消」とその報道>  自民党安倍派のマネー処理に端を発して、政権党全体に検察の手が入り、令和の一大問題となり、これは政局になるかと思いきや、検察は各派閥の会計責任者を数名起訴して、お茶を濁す結果となりつつある。  そして、数千万円、数億円の政治資金のキックバックの報を受け、通常は怒りの沸点の高い日本の有権者の中には、「増税を押し付けてくる連中がこれですか?」と憤激している人も急増しているだろう。  もはや支持率的には墜落寸前の低空飛行を続ける岸田内閣は、

          「派閥解散」宣言の馬鹿馬鹿しさ:何の進歩もない政治家とメディア

          「名付けられない者たち」の彷徨う気流〜「あいまいな弱者」の隠然たる屈折力のゆくえ〜

           過日(11/2)朝日新聞に掲載された成蹊大学の伊藤昌亮氏のインタビュー記事が(「こっちの方がつらい」弱者争う社会 成蹊大・伊藤昌亮教授に聞く)、自分がこれまでそれなりに認識していつつも、なおも十全に言語化できていなかった問題に大きな示唆を与えてくださった。  SNSで公然と社会的被差別者、貧困者などのいわゆる「弱者」への攻撃をして、彼らに対する福祉的対応やリベラル的視線(社会的多様な諸価値に対する寛容な態度や見方)を送る者たちへを冷笑し、揶揄、軽蔑する言葉は、もはや散見さ

          「名付けられない者たち」の彷徨う気流〜「あいまいな弱者」の隠然たる屈折力のゆくえ〜

          「何がこの作品で問われたのかが放置されること」が最大の危機である〜半世紀ぶりの再読『はだしのゲン』をめぐる所感〜

           『はだしのゲン』(中沢啓治作)を50年ぶりに再読してみた。  平和教育に関する論点が拡散し、かつ曖昧となり、何が本当に問題なのかが共有されづらくなってきていると感じたからである。  小学生だった頃、少年漫画雑誌にひょんと現れた『はだしのゲン』の衝撃は、半世紀を経た今も忘れることができない。父親が収集していた戦時中の記録・写真・資料を時々眺めていた早熟な自分であったが、それでもこの漫画は「キツい」ものだった。悪夢にうなされたこともあった。  今年の冬、広島県教育委員会が

          「何がこの作品で問われたのかが放置されること」が最大の危機である〜半世紀ぶりの再読『はだしのゲン』をめぐる所感〜

          「どうしたら不登校の子が学校に行けるか?」は、第一の問いでも課題でもない:政治学徒の視点

           NHKの映像ディレクター本人の家庭のドキュメンタリー『不登校がやってきた』が、パート1、2、3と続けて放映された。  私は、教育学者でも教育社会学者でもないし、現場の教員だが、「資格なき教員である大学人」(教員免許不要)であるから、ティーンズたちの不登校をどう解決するべきか、という問いの立て方はしない。  辛ければ行かないで、学級の空間を回避して、学びを続けられる場所を確保してあげればいいと思う。自分も中学入学以後、「学級」をひたすらストレスフルな場所として嫌ってきたから

          「どうしたら不登校の子が学校に行けるか?」は、第一の問いでも課題でもない:政治学徒の視点

          子供が育つ環境作りについて〜PTA:ハートフルクラブ対談(NPO法人ハートフルコミュニケーション主催:代表菅原裕子)

           オンラインで子育てに関わる鼎談&ディスカッションをやらせていただきます。おいでください!  7月9日の午前10時から、NPO法人ハートフルコミュニケーションの菅原裕子先生、あの伝説のPTA改革を成し遂げた大田区立嶺町小学校のPTO(学校応援団)の久米雅人さんと私で、「子供が育つ環境をどう作るのか?」という視点で、PTAについてディスカッションをさせていただくことになりました。  オンライン開催ですので、土曜日の午前中に2時間ほどお時間のある方は、お付き合いいただければ嬉

          子供が育つ環境作りについて〜PTA:ハートフルクラブ対談(NPO法人ハートフルコミュニケーション主催:代表菅原裕子)

          新刊『教室を生きのびる政治学』(晶文社)が、重版出来(しゅったい)です。感謝申し上げます。

          皆様に謹んでご報告申し上げます。 世界で一番好きな四文字言葉です。  おかげさまをもちまして、新刊『教室を生きのびる政治学』(晶文社)、   重版出来(じゅうはんしゅったい)であります。   ひとえにこの本を多くの方に知らせてくださった皆様のおかげです。  まことにありがとうございます。  昨日の日本NPO学会のシンポでも「年間に500人以上のティーンズ」が自ら人生のエンディングを選ぶ社会について、絞り出すような思いをパネラーの先生がお示しくださいました。切なさが胸

          新刊『教室を生きのびる政治学』(晶文社)が、重版出来(しゅったい)です。感謝申し上げます。

          新刊発売されました。『教室を生きのびる政治学』(晶文社)です。

           これまでにも、私は政治学の専門知をデモクラシーを担うために不可欠な社会的中間層の生活言語に翻訳して伝えることを自分の仕事として努力して来ました。  私が書いた何冊かの本は、いくらかの舞台の違いはありますが、基本的には私が考える「市井(しせい)を生きる人々のための政治学」を狙いにしたものでした。  『言葉がたりないとサルになる』(亜紀書房)、『静かに「政治」の話を続けよう 』(同社)、『デモクラシーは、仁義である』(角川新書)、『ええ、政治ですが、それが何か?』(明石書店)

          新刊発売されました。『教室を生きのびる政治学』(晶文社)です。

          作品批評をしたいが「非作品評価」をせねばならない理由〜ドラマ『エルピス』が放映されたことについて〜

           主演の長澤まさみが台本を読んで、即、どこの局での制作かも問わず出演を快諾したことで有名な関西テレビ発信のTVドラマ『エルピス』。全10話で、脚本はあの不朽の名作ドラマ『カーネーション』の渡辺あやである。『カーネーション』を日本のドラマ作品の最高峰と位置付ける私は、この脚本家が6年の歳月をかけて書き上げたと言われるこの作品を、フジサンケイ・グループ系が作ったからという浅薄な理由で等閑にふす気があるはずもなく、きちんと心技体を没入して観た。  ドラマや映画作品を評価するに際し

          作品批評をしたいが「非作品評価」をせねばならない理由〜ドラマ『エルピス』が放映されたことについて〜

          ニッポンの老若男女が170年考えたことがない問題:定番面接でわかること

           秋である。推薦やOAやいろいろな種類の試験面接が始まる季節である。 土曜、日曜と連日出勤して「人が働かない時に働くんだね」なんて嫌みを言われる大学教員ライフである。  志望動機書類、小論文などを読んで、さてさて面接である。たくさんいるから4-5人のチームを作ってやる。全員、甲冑着てんのかいっていうくらい緊張している。  だから最初の声がけは「緊張してますね?Take a deep breath !」大丈夫、基本的に減点しないで、いいとこ発見したら足し算ばっかりだからと言って

          ニッポンの老若男女が170年考えたことがない問題:定番面接でわかること

          生きることは外注できない:PTA外注問題を切り分けよう〜プレジデントオンラインの論考〜

           昨今話題の「PTAアウトソーシング」について論考を書きました。  タイトル:「保護者が注目…近ツリのPTA代行サービスが突きつける"何のためのPTAなのか"という深い問い」  近畿日本ツーリストが、ついにPTAの「お手伝い市場」に参入した。  「お金で解決するなら良くない?」  「これで苦しみから逃れられる」  「だったら、行政がやれば?税金払ってるんだから」  いろんな反応があるだろう。  でも話をごっちゃにしないほうがいいと思う。  なぜならば、もう各種

          生きることは外注できない:PTA外注問題を切り分けよう〜プレジデントオンラインの論考〜

          PTAにおける「ボラの原点」:「任意団体」には”義務”というものはありません。ギビングという”気持ち”が全てです。

           3年前、PTA会長2年目だった頃の「会長エッセイ」です。  9月終わりから10月は、次年度の「役員」を選ぶ選考委員会(役選委員会などと呼ばれている地域もあります)が起動するタイミングですし、秋の様々な行事が、新学期と共に本格化し始めます。  同時に、未だにPTAを「学校や教育委員会(行政)の下部組織」だと、ぼんやりと思っている人がまだたくさんいて、切ないぐらいに真摯に、真面目に、家庭を犠牲にして「やらねば」と頑張ってしまいそうです。  地域の友人たちとの楽しい活動は、

          PTAにおける「ボラの原点」:「任意団体」には”義務”というものはありません。ギビングという”気持ち”が全てです。