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ビール造りを五感で学ぶ(Day3, Day4)

はじめに

前回のnote記事では、8月に開催されたキリンビール仙台工場の工場見学と、遠野のホップ畑の見学について紹介した。工場の熱気、音、畑の香り、ホップの手触り…五感すべてで感じる体験を重ねてきた。

それからあっという間に3か月が経ち、あのときの遠野のホップは、仕込み式を経て、11月1日に「とれたてホップ一番搾り」として私たちの手元にやってきた。

本記事では、「とれいち」が発売されるまでに私がインターンシップで体験したことと、この経験によって感じたことをお伝えしたいと思う。


Day3 香る仕込み式

3回目のインターンシップでは、キリンビール仙台工場にてとれたてホップ一番搾りの仕込み式に参加させていただいた。
仕込み式は大きく3つのパートに分かれており、初めに開会式、次にビールを作っている釜へのホップ投入、最後に貴社の方々による囲み取材が行われた。

開会式

開会式が始める前、会場の独特の雰囲気に圧倒された。
たくさんの大人(社会人)の方が集い、心なしかわくわくした様子で開会式を待っていらっしゃるのが印象的だった。
実際の人の様子を目の当たりにして、これほどまでにとれたてホップ一番搾りが待ち望まれているのだと実感し、その製造の現場に立ち会えることを改めて嬉しく感じた。

開会式では、キリンビール仙台工場から佐藤さんのお話や、ホップ栽培の地・遠野の市長様のお話を拝聴した。詳しい内容等については、様々な媒体で紹介されているであろうことから割愛する。

このような開会式のお話を聞いて、仕込み式とはホップ栽培者からビール製造者へのバトンがリレーされる瞬間であると感じた。農作物としてのホップは、仕込み式を経て初めてビールとして愛されるのだ。
遠野の方とキリンビールの方のコメントは、まるで「我が子をよろしくお願いします」「必ず立派に育てます」とお話されているようであった。


ビール釜へのホップ投入

このホップ投入の光景を思い出すときに最初に浮かぶのは、なんといっても凍結乾燥ホップの華やかな香りだ。
最初工場内にはほんのりと甘く香ばしい麦芽の香りが漂うばかりであったが、式が始まり、凍結乾燥ホップが運び込まれ、その封が開けられた瞬間にふわっときらめくようなホップの香りが立ち込めた。

仕込み式の肝であるホップの手投入が遠野市長や工場長によって行われ、人がホップに触れるたびに、ホップが釜に入れられていくたびに強まるあの独特な心地よい香り。まさにビールに魂が入る瞬間を見ることができたように感じた。

もう一つ感動したのは、釜の中の景色だ。手投入の途中、その投入口から釜の中の様子を見せていただいた。

想像できるだろうか。大きな釜の中に漂うビールのもとと、その上に浮かぶたくさんのホップを。釜の中はほのかに明るく、黄金色の海のように波打っていた。
このような光景を見られるのも、ホップの手投入を行っているとれたてホップ一番搾りならではだろう。


囲み取材

ホップの投入が終わり、再び会場に戻ってくると、記者の方々が市長や工場長らを囲んで取材をしている様子を拝見することができた。ニュースなどでよく見る「囲まれて取材」というものを初めて生で見ることができた。

取材を受けている方々が記者の方のみならず、取材のためのマイクやカメラにも多数囲まれており、想像よりも圧迫感のある光景に緊張感を感じた。
開会式でもお話されていたキリンビールの佐藤さんは、私たちと年齢がほとんど変わらないのにも関わらず堂々とされており、その姿はまさしく近い将来の自身の理想だと感じた。

仕込み式自体は、短い時間の出来事であったが、初めて感じる雰囲気・初めて見る光景ばかりでとても興奮する経験だった。


Day4 お客様への最前線、営業同行

営業同行は、事前に研修を行い、小売店での売り場づくりの講義をしていただいてから本番の営業同行に臨んだ。


事前研修

事前研修では、座学で顧客行動の基本や小売業の分類、基礎的な専門用語などを学び、売り場の作り方を講義していただいた。商品の特性によって売り場の演出方法を変えることや、店内の売り場の場所の選び方にも戦略性があることを学んだ。

講義を通じて、スーパーマーケットは普段利用するにもかかわらず、陳列の工夫がどのような意味を持っているのかに今まで無意識であったと痛感した。

そしていざ知ってみると、実際のものを見たくなるのが常である。


営業同行:移動中、車内にて…

そんな期待の中、営業同行に参加させていただいた。実際の営業職の方のお仕事に同行し、数件のスーパーマーケットを巡って商品の陳列を手伝いながら、お仕事を見学させていただいた。

スーパーマーケット間の移動中に営業というお仕事の中での工夫をお伺いすることができた。自社製品を置いていただくために、どのような取り組みをするかとお伺いしたところ、データを見せて説得力を高めることもあるし、今までの営業活動の実績の積み重ねや、築いてきた関係性でおいていただけることもあるとおっしゃっていた。

このように様々なお話を聞く中で、大切なのはやはりコミュニケーションだと感じた。

人にはたくさんの種類の人がいて、データを知れば納得する方も、感覚的な納得が大切な方も、今までの経験を重視する方も…いろいろな方法で小売業を運営している方がいるのだ。

キリンビールがより多くの人に製品を届けるためには、このようないろんな小売業の人にいろんな方法で納得してもらう必要があるのだなと感じた。
実際に同行させていただいた社員の方は、まさしくこのコミュニケーションのバランス感覚のプロフェッショナルだ。


営業同行:いざ実践

スーパーマーケットではバックヤードから売り場への搬入や陳列を手伝わせていただいた。営業の方に指示していただく並べ方は、事前研修で習ったことのまさしく実践版といった感覚で、知識が経験になる瞬間にワクワクを感じた。

また、実際に売り場に出てお客様にお会いすることで、遠野のホップ畑からお客様にとれたてホップ一番搾りが届くまでが一つにつながったと感じた。

陳列されたビールの隣で映像広告に映るホップは、様々な人の手を経て今こうして並んでいるのだ。インターンシップ参加前にはない、確かな実感があった。

そして、陳列をするときには必ずパッケージの正面がお客様に見えるように向けた。これは、事前研修で学んだ陳列ルールだからというわけではない。
「東北にこだわっているんですよ!」
「いろんな人の思いがこもったビールなんです!」
「見てください!!」
そう思うと自然と並べる手が動いたのだ。


さいごに

普段お店で商品を手に取るとき、その原材料の製造者のことに思いを馳せられるだろうか。製造に携わるすべての人たちのこだわりをここまで深く感じられるだろうか。

このインターンシップに参加する前に、インターネットで「とれたてホップ一番搾り」を見ても、遠野のホップ・仙台でつくったビールという言葉にこれほどの実感を持てただろうか。

きっと机上の知識では足りないことだろう。実際に見て、触って、話して、体験しなければわからないことであった。

今回このようにキリンビール仙台工場にて東北の地のビール造りの取り組みのすべてを体験させていただいたことは私にとって大きな財産になった。

私はあと一年半後に卒業を迎える。現在は製造業への就職を目指して就職活動を行っている。一つの「もの」を通じて、いろんな職種の、たくさんの人々がこだわりを注ぎ込むということに魅力を感じたためである。今回のインターンシップを経て得られた感覚や視点はきっと役に立つと思う。

それから、私は社会人になり今後東北を離れることもあるだろう。でもきっと、この東北の地に郷愁を感じるだろうし、「とれいち」に対しても地元の友達のような親しみを感じることだろう。

Day1で仙台工場の方がおっしゃっていた「KIRINを知って、KIRINのファンになってもらう」という目標はしっかり達成された。
そしてこの私の体験や興奮を伝えることで、さらにビールに、KIRINに興味をもつ人を増やそう。

来年はとれたてホップ一番搾りの20周年と聞きます。また来年もこうしてキリンビールの、そしてとれいちのファンが増えていくことを期待します。

発売3日後に買いに行って飲みました!昨年までもとれいちは毎年飲んでいたのですが、やっぱり今年は特別な感じがします。今までよりも爽やかなホップの香りを敏感に感じられて、知ることって大事だなぁと思いました。

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