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100人いたら100通りの子育て  №.14 坂本真智代さん


今回、取材を受けて下さったのは坂本真智代さんです。長年、保育の仕事に携わってきて、保育士のプロフェッショナルですが、今年の春からはいつか子どもからお年寄りまで行きかう楽しい終のすみ家を作りたいと、介護の勉強をするために短期大学に社会人枠で入学され、学生として勉強に励んでいます。大学の授業のお休みの時間を割いて取材に応じて下さいました。

この取材は帯広おかあさんのがっこう魅力プロジェクトと題し100人のお母さんに子育てについて取材をさせて頂く企画です。「100人いたら100通りの子育て、みんな違ってみんなイイ」というタイトルを掲げ企画を進行しています。おかあさんのがっこうの詳しい活動については以下をご覧ください。



真智代さんには結婚して今年の春にお子さんを出産された長女さんと、社会人として離れて暮らす長男さんの二人のお子さんがおられます。
まずは、真智代さんが現在通う大学の授業やテストのことと、社会人から学生になり勉強してみての経験など、最初から興味深いお話しをしてくださいました。


勉強をしながら、生活していくことの大変さを味わって、息子さんに謝ったのよといいます。
「息子には勉強するための大学なのだから、勉強しなさいとか、生活費もアルバイトで補いなさいとか、色々息子に言ったけれど、実際、自分がやってみると大変だってわかったの」

長男さんは小さい時はとても活発なお子さんで、虫かごと虫網を持って朝早くから日が暮れるまで雪駄を履いて外を駆け回る子どもだったといいます。他の人が見ても分からないような濁った水の中でもザリガニを見つけるのが得意だったり、とにかく野外で元気に遊んでいたそうです。ご主人と一緒に外へ出て過ごすことが多くて、母はいないのかと周りで思う人もいたくらいといいます。


息子さんが大学生となり卒業が間地かに迫った頃に、単位が一つ足りないことが分かり、留年するのなら必要な費用は自分で何とかしなさいと心を鬼にして親の方からはお金を出さないで見守ることにしたそうです。
「将来の自立を考えると、すぐ人を頼ってほしくなくて、ここは何としても踏ん張り時だって思い、お金を出さないって決めていたの」


しかし、大学側から除籍警告の通知を受けて、今まで、自分が仕送りのために働いた分も含め、大学生活が台無しになってしまうことを考えて、その時は手助けすることにしたといいます。ご主人がよく決心したと真智代さんを慰めてくれたそうです。ご主人自身はとてもご家族に愛されて育ったそうで、子ども達に対しても、いつも愛情を強く注いできていたといいます。

真智代さんが保育士として結婚後も仕事を続けながら、子育てをしてきたことを伺いました。
真智代さんが長女さんを出産して産後8週でお仕事に復帰した時の様子を話してくださいました。


真智代さんが勤務していた当時はまだ正職員しか育児休暇がなく、準職員には育児休暇が無かったために、「育児時間」を朝と夕方に一時間づつ取得できないか、色々と調べて、様々な手続きを経て、芽室町では初めて「育児時間」を取得されたのだそうです。


0歳児を預け入れできる保育施設が住んでいた町には無かったので、隣の帯広市にある共同保育所と呼ばれる保護者が運営する施設に預けていたといいます。
昼休み時間に母乳を絞って冷凍して、保育所で解凍すると油が浮いてくるので良くないと長女さんを担当する保育士さんから指摘をされ、母が食べたものをメモするように言われたり、家では煮干しで出汁をとった味噌汁を飲むように指導されたりと、とても厳しかったのだそうです。


「仕事から帰って、味噌汁を出汁からとって作るのが嫌で帰りたくなかったほど(笑)、離乳食が始まったら始まったで、味噌汁の上澄みから飲ませるように言われて、母乳に油が混じらないように、ジンギスカンや油ものを食べられるのは次の日保育所に預けない週末だったりと、とにかく厳しかったの。」


でも、長男さんを担当した保育士さんは「出来なくても大丈夫」って言ってくれる人で、とても楽になり、真智代さんの保育士としてのその後の仕事でも、とても役に立った経験だったそうです。お母さん方には本当を知っていれば、全部やらなくても出来るところまでやれば、それで大丈夫と言える、そんな保育士でありたいと思ったそうです。

保育の仕事の中での気付きについても話してくれました。
お子さんを託児して、その子だけに向き合える時間を得た時に、過去の自分を反省したといいます。泣いてばかりいて、なかなか寝ないお子さんを散歩してようやく寝かせて保育所に戻ったとたんにまた泣いてしまった時、その子と向き合う時間なのに、この子が寝たら、他の事務仕事に取り掛かろうと自分の都合を考えていたことに気付かされたと、反省したのだそうです。


最後にこれから子育てを始めるお母さんへ向けて何かメッセージはありますかと伺いました。


「産む覚悟と、何か子どもを守る時の判断は親として責任を持つけど、それ以上は色んな人に頼る事。頼れる人に話を聞いて自分の子育ての参考にしたり、一人で気負わないで、人の中で育てていくことよね」

真智代さん自身、沢山の人に支えられてきて子育てをしてきたといいます。自分が知らないうちにご主人の職場で他の誰かが子どもを見ていてくれたり、いつの間にかお世話になっていたのだということがあり、決して一人で子育てをしていくわけでは無く、人の中で育てていくことが子育てなのよと教えてくださいました。

「子育ては人の世話にならず、迷惑かけずで囲うのではなく、助けてもらったり、親子でありがとうと感謝して、次の誰かにお返ししていく。人の世話になることで、子どもの逃げ場所にもなるのよ。」

「子どもは神様からの預かりもの。一人前に世の中に返すもの。といつもママ達に言ってきました。」


結婚は自分探しみたいなもの、今まで育った環境とは違う二人が家庭を作って、色んな選択肢から選択をして二人で作っていく。よくご主人が真智代さんに「あなたはどうしたい?」と聞くのだそうです。

ご主人に子どもを預けて出かける時も「ご飯を作って食べてね、なのか、自分が作っていくからそれを食べてね、なのか、自分がどうしたいかを聞かれたと言います。家庭に入るとどうしても女性は家族優先にしてしまい、自分がどうしたいのかを考えて行動することが難しくなりがちですが、小さな事でも、まずは自分がどうしたいのかを考えてみることが、自分にとっても家族にとっても大切なことですねと、お話ししてくださいました。


長年の保育士の経験と、ご自身の子育ての経験からとても参考になるお話を伺うことが出来ました。真智代さん、お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。


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※写真はネットからフリー素材をお借りしました。

坂本真智代さんプロフィール
29歳長女、26歳長男のお子さんを持つお母さん
ご主人と二人暮らし、保育士として長年勤め、現在は介護福祉士になるため短期大学に在学中。


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