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100人いたら100通りの子育て取材   №.6内杉早苗さん

今回の取材は最近一緒に活動をされている内杉早苗さんと岡田五十鈴さんのお二人に来ていただき取材をさせていただきました。お二人はクラニオセイクラルセラピー(頭蓋仙骨療法 以下クラニオ)というお手当てをされています。一緒に活動をされているということで、ご一緒に取材をさせていただきました。
まずは内杉早苗さんからお話を伺いました。以前、お会いした時に結婚を機に香川県から十勝に移り住み子育てが始まり、知らない土地での子育てについて聞いたことがあったので、地元を離れて子育てが始まったころのお話を聴いてみたいと思いました。

100人いたら100通りの子育て取材はおかあさんのがっこう学校祭魅力プロジェクトとして100人のお母さんに取材させて頂く企画です。おかあさんのがっこうの活動詳細はこちらをご覧ください。


早苗さんはご結婚される前からダンスのインストラクターとしてお仕事をされていました。ご結婚後はダンスのインストラクターの他にバレエのお仕事と休みが無いほど忙しく、仕事が充実している頃に第一子を妊娠。「妊娠4か月の頃、切迫流産で入院し、最初から辛かったですね」と話されました。

出産後は慣れないながらも、子どもとゆったりとする時間はこれまでお仕事に時間を費やしていた分、楽しかったそうです。
産後三か月頃、お仕事への復帰を促す周囲からの期待があり、託児所を探し、預けながら少しづつ仕事に復帰されたそうです。


託児所に預けながらお仕事に復帰されたことに対して「子どもに対して何となく悪いことをしている気がしていました。」と話されます。自分の本意ではなかったという想い、早くに子どもを預けて仕事に復帰されたことを後ろめたく思っていたそうです。


自分が仕事に復帰をしたことで子どもに悪いなあという想いや気持ちがどう変化していったのかを伺いました。
「子どもが一歳ごろに腰を悪くして、ピラティスを学ぶきっかけになったんです。それを勉強し始めてから、変えていかなくてはならないことが見えてきた感じだったんですよね」と当時を振り返って下さいました。


「ピラティスを始めてから、私のように産後、身体が戻らないうちに職場復帰をしたお母さん達に向けて何かしたいなとか、子どもを連れて自分が習いたい事が出来る場を作りたいなとか、自分のしたいことが見つかって出来るようになってから、自分の子どもに対しても見方が変って、ちゃんと向き合えるようになったんですよね」と話されました。


自分がやりたい仕事が出来ることで、子どもに対しての見方が変ったと話された早苗さん。
どんなふうに変化したのかを伺いました。
「母親なんだから、何かをしなきゃいけないということに囚われていて、職場に早く復帰したからそれをやってこなかった自分を責めていたりして、母親としての役割を果たさなきゃいけないっていう想いが強かったんですけど、子どもを一人の人として見れるようになったのは小学校三年生位だったかもしれません。」


母としてこうあるべきと自分に課してしまったり、母親なんだからもっとこうしなきゃという想い、そして仕事に早く復帰されたことで子どもに対しての罪悪感を抱いたり、母として様々な想いで子育てをされる中で、母としての内側は強くしなやかに成長されてきたように感じました。


小さい時の子育てを振り返ってみて、縛り付けるわけでなく、わりと自由に子育てをしていた方だったそうです。「ご飯を食べさせる時も下に新聞紙を引いて自由にやりたいように食べさせてましたね」と子どものやりたいようにさせていたという早苗さん。


息子さんが小さかった頃、とても頑固な所があったそうで、自分が着たい服は絶対に着たいと、夏でも冬の服を着て保育園に行くようなことがあったそうです。「もうあきらめて、しょうがないかと思って、行って笑われるのは私ではないし(笑)、親以外の人に怒られたりする方が本人が分かるかなと思いました。先生に任せようって思いました」と話してくれました。力を程よく抜いて、伸び伸び子育てされていた様子が伺えました。


子どもが小さかった頃、よく図書館に行って子育ての本を借りて見ていたそうです。子育ての十か条とか、しかり方等の本のコピーが残っていて最近見つけたそうです。今から考えると笑い話しですがと話されていましたが、その当時は一生懸命に子育てに向き合っていたのだろうと思いました。


今では中学生になった息子さんとどんな関係ですか?と聞きました。
「子どもというよりも一人の人として、否定しないで受け止められるような、割と何でも話せる関係ですね」と話してくださいました。中学校で何が欲しいということを書くことがあって、お金、スマホ、彼女とあったそうですが、隠さず見せてくれたそうです。


早苗さんがオープンだから、息子さんともオープンな関係なのですかと尋ねると、思春期で身体が変化していく時ではあるけれども、恥ずかしがったりはしないようにはしているそうです。クラニオを始めて、小学校三年生位の時から子どもにクラニオをしてあげると、子どもの方から毎晩心地よいからして欲しいというようになり、今でも体調が優れないときに自分からお手当てをしてと言うそうで、ある程度大きくなってもクラニオのようなタッチをするコミュニケーションがとれることも思春期の子どもとより良い親子関係をもつ秘訣のように感じました。


「どんなにその日親子喧嘩をしても、毎晩欠かさずしていることがあって、毎晩『今日も一日ありがとう』は伝えていますね。」と教えてくださいました。
今までお互い本気で言い合いするというくらい、親子で向き合ってきたといいます。本気で言い合うことができるからこそ、思春期の今も包み隠さずに話せるような関係性ができているのかもしれません。


寝ている時に「ありがとう」を伝えたい気持ちには沢山の愛がつまっているように感じました。
「喧嘩してそのまま登校していく息子の後ろ姿を見て、後悔したこともあります。事故にあってそのまま会えないんじゃないかとか思ったり、でも息子が選択したから仕方ないかと思ったり、そんなふうに色々と考えながら帰宅するのを待ったこともあります。
小さい時もっと一緒にいたかったなあという想いはありますけど、今対等な関係であれることは良いと思いますよね」と香川県から北海道の十勝に来られて、初めての子育てをする中で、様々な葛藤や経験を通して親子で成長して今があることを伺うことが出来ました。


そして、今回の取材をきっかけに、妊娠期から生後数か月まで綴ったノートが見つかったそうで、見せてくださいました。二冊のノートには妊娠が判明してからの日々の経過や、陣痛が起こった時間の記録、息子さんが生まれてからの日々の成長などが細やかに書かれていました。一人の女性が妊娠して出産し、色んな葛藤の中で初めての子育てをしてきた重みのあるノート。いつか息子さんにこんな風にあなたを育てましたよと見せるのかもしれませ
ん。


最後に10年後子育てを振り返った時、どんな子育てだったと思いますか?と聞いてみました。
「今の時点で母親だからこうしなきゃいけないという気負いは無くなっているから、この先はあまり変わらない気がします。今までの後悔はあるけれども、今が楽しいので10年後もきっと楽しい気がする」そんな風に話してくださいました。


あの時もっとこうすれば良かったという想いはあれど、その想いがあるからこそ、今を大切にして子育てしているのだと思いました。
ピラティスの講師である早苗さんが身体も心もしなやかに自然体で良い親子関係を築いているように感じました。
貴重なお話を聴かせてくださった早苗さん、ありがとうございました。

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※写真は早苗さんからお借りしました。


内杉早苗さん プロフィール
香川県出身 ダンスインストラクター ピラティス講師
長男、ご主人の三人家族

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