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優れた農家も、ワイルドである/スギちゃんの群馬りんご旅・うめ旅

自分の仕事の種類としては珍しく、有名な方にレポーターになってもらい群馬の名産を巡る映像を、2年に渡り制作した。群馬県の農畜産物プロモーションの一環で、情報発信をTOKYO FMが担う。群馬での撮影ということでTOKYO FMの大畠順子さんに声かけしていいただき、僕が演出・編集を行い、撮影と録音は普段は映画制作をしている角洋介くん、渡邉玲さんに声かけをした。

昨年は、インフルエンサーである高山都さんをレポーターに、群馬の特産である「やよいひめ(いちご)」「ギンヒカリ(ニジマス)」「上州地鶏」の生産者を訪ね、それが提供されている白井屋ホテルやダイニングgurumiも取材させていただいた。千代田町の斉藤いちご園は2014年の大雪でビニールハウスが全損。現在はバリバリ再建し、良いものを作り儲かる農業を目指している姿が格好良かった。赤城山麓でギンヒカリを養殖する齊藤養魚場は父と娘が協力し合い冷たい水の中で仕事をする様子を撮影させていただいた(インスタでの発信もされており素晴らしい)。榛東村のアクザワファームが育てる上州地鶏は、ダイニングgurumiの鈴木シェフの手により滋味深いカレーに変身した。

その動画は10万回再生を記録。県や関係者さんの評判も良いとのことで、今回もまた同種の仕事を獲れた時は、TOKYO FMの皆さんと共に喜んだ。そして今回のリポーターは・・スギちゃんである。ワイルドだろぅ。

キャスティングが決まった後、スギちゃんにいかに動いてもらい生産者とざっくりどんな話をするのかを考えるのは僕の仕事である。お笑いショーの映像なども見返し、一番気になったのは現在もBSで放送されている「迷宮グルメ異郷の駅前食堂」であった。これはスギちゃんがテレビでおなじみのデニムを脱ぎ、オールバックもやめて素の状態で海外をアポなし旅するというドキュメンタリー番組であり、言葉も通じない中でのぶっつけ本番のコミュニケーションをとる彼の姿に高い人間力を感じた。ので、撮影前も撮影中もほとんど心配をすることはなかった。(我ながら、寒い2月末に氷の入った大ジョッキで梅ジュースを飲ませる仕掛けは鬼だったけど)

りんごは、県内各地をドローンなどで抑えつつ、沼田市の真田りんご園がメイン撮影地となった。家族やお嫁さんも一丸となって群馬特産品種の紅鶴などを生産している木内雷斗さん。彼はもとからユーモアのある方で、映像にも残っているスギちゃんと彼との掛け合いが、個人的には一番笑えるシーンである。また、りんご生産者の奥さんや娘さんから成る「りんご女学校」の皆さんもめっちゃパワフルで、そのようなコミュニティありきで生産ができる土地というのは強いと思った。

うめは、僕は県民ながらきちんとした時期に群馬3大梅林のいずれも訪れたこともなかったのだが、下見に回った際にまず寒紅梅の香りの良さにノックアウトされてしまった。ピークシーズンの梅林も素晴らしい。撮影は主に秋間梅林で行ったのだが、生産者の皆さんで観光協会を作り、そこが一つの村であるような連帯感で生産や観光に頑張られていたのが印象的だった。また、元タカラジェンヌという一面に目がいきやすい元祖カリカリ梅の遠山昌子社長は、そういう前職なしでも経営者として優秀な方だなと思った(撮影後にカリカリ梅もたくさんいただきありがとうございました)。

群馬県に限らず、伝えたい情報はたくさんある。その情報は確かであればあるほど、真面目なままでは伝わりにくい。であれば、映える映像で見せる方法もあるだろうが・・僕はやはりそれ向きではなく、けれどこのスギちゃんとの仕事を通して「ユーモア」の大切さを思った。そして何よりこれは、生産者の方たちのエネルギーを感じる仕事であった。それは農作物や動物など生きているものと日々対峙している強さなのか、経済と紐づける必要がある努力からくる強さなのかはわからないけど。

優れた農家もまた、ワイルドである。

『スギちゃんの群馬りんご旅』
https://youtu.be/1zrk6ZEQB2s

『スギちゃんの群馬うめ旅』
https://youtu.be/BWQAL__ZFGs

『群馬の本物 伝われ、世界へ。』
https://youtu.be/ndJ8s_Bw91g

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