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ICFコア・コンピテンシー4:信頼と安全を育む【英語動画まとめ】

こんにちは。英語資料翻訳シリーズ第5弾です。
国内で活躍するコーチ、コーチングをビジネスや生活に生かしたい方に向けて、英語の資料(論文、ブックレビュー、インタビュー、ウェビナーなど)を翻訳 / 要約し、日本語で掲載していきます。

今回も、ICFコア・コンピテンシーの解説動画の翻訳 / 要約をしていきます。今回は、4つ目のコア・コンピテンシー「信頼と安全を育む」です。

全8回の解説動画は、こちらから視聴できます。

ICFコア・コンピテンシーとは、ICFが定めたプロコーチの能力水準の記述のことで、公式サイトによると、以下のように説明されています。

ICFの認定資格(ACC, PCC, MCC)を取得するためには、コア・コンピテンシーと倫理規定についての180分のテストを実施しないといけないほか、プロコーチとして活動する上で考え方の基盤となる、必要不可欠なものです。


目次


動画について

今回は同シリーズの4回目、ヨルダンよりオサマ・アルモサ氏氏(MCC)の解説による"Updated ICF Core Competency 4: Cultivates Trust and Safety(信頼と安全を育む)"です。

コーチングの関係性の礎とも考えられる信頼と安全。ビジネスでも家庭でも、あらゆるところでとても重要になる人間関係の要とも言える概念ですね。ICFコア・コンピテンシーでは、どのように扱われるのでしょうか。

以下、インタビュアーの質問と、アルモサ氏の回答を要約してQA形式でまとめます。
逐語訳ではありませんので、全体をご覧になりたい方は、youtubeの自動生成翻訳で確認してみてください。


概要

Q:このコンピテンシーはどのようなものですか?

旧版では3つ目のコンピテンシーとして、「信頼と安心感(Intimacy)」について書かれていましたが、今回は、安全性(Safety)により焦点が当てられています (*1) 。

クライアントが身を置く雰囲気や人間関係が、セルフイメージに悪影響を与えないこと、そして、判断・評価を排除し、クライアントがセッションの中でありのままの自分でいることにリスクを感じないことを、クライアントが安心して信じられるよう支援することが、コーチング文脈で求められる安全性です。

信頼とは、お互いが何をするにしても、お互いの最善の利益のためにそれをするのだと確信することです。

信頼と安全性というこの2つの要素を組み合わせることで、クライアントが自分の内側に向き合い、ただ内観に没頭するための最高の雰囲気が生まれます。そのような雰囲気を作り出すことで、コーチはクライアントが行動を選択する理由や自分の価値観について表現し、内省し、考えを深める環境を提供する真のパートナーになるのです。 ここにコーチングの持つ力があります。

良い実践

Q:メンターコーチの視点から、良い実践はどのように見えますか?

クライアント自身の文脈の中でクライアントを理解しようとしているかどうか、クライアントの持つ価値観を理解しようとしているかどうか、クライアントの置かれている環境を理解しようとしているかどうかなど、コーチの特定の行動指標を見ることで多くが明らかになります。

また、コーチがいかにクライアントに対する敬意を示しているかにも着目します。クライアントのバックグラウンドや話し方、考え方がどのようなものであっても、クライアントのアイデンティティを尊重するのです。

また、支援と承認も重要な要素です。コーチはクライアントのユニークな才能を尊重します。コーチはクライアント独自の才能、洞察、努力を承認し、尊重することが重要です。

さらに、共感を示すことで私たちが本当にクライアントと彼ら自身の状況に関心を持っていることを示すのです。これらの行動は、コーチが今回のコンピテンシーを習得する上で、大きな要素になるでしょう。

悪い例

Q:典型的な悪い例はどんなものでしょう?

まず基礎の部分ですが、コーチの自己中心性について着目します。スポットライトを浴びているのは誰かということですね。コーチなのか、クライアントなのか。
クライアントをエンパワーするためにコーチの存在が希薄になればなるほど、コーチはこのコンピテンシーについて熟達していると言えるでしょう。

また、評価・判断にも気をつけたいです。コーチが、言語的、非言語的に、自分の考え方や価値観に基づいてクライアントを評価・判断したり分析しようとしてしまう場合があります。これはあまり好ましくないでしょう。

そして、コーチが心理的安全性を作り出すのとは逆の役割を持ってしまう場合があります。たとえばクライアントを説得しようとしたり、クライアントにとって何がベストかを知っているコンサルタントの役割を果たそうとしたり。ほかにも、コーチがする質問が、クライエントをエンパワーするための好奇心から来るのか、それとも意見を通したり、議論をするためのものなのか。こういった振る舞いは、心理的安全性には逆効果になります。

ACC, PCC, MCCにおける違い

Q:ICF資格の各レベルに求められているレベルはどのようなものですか?

ACCは最初の段階なので、コンピテンシーを理解して、ある程度のコンピテンシーに沿った行動ができることが大切です。クライアント側の足りない部分を埋めるコンサルタントやトレーナーとしての役割にならないようにしましょう。

PCCは、より実行にフォーカスします。コンピテンシーのリストすべてにチェックが入り、「すべて満たしています」と言えるようにしましょう。MCCに関しては実行というレベルを超えて、変容に関わる次元になります。
クライアントの最善の利益のために、マインドフルに存在するのであって、感覚に深く集中しようとしたり、そのことに熟達しようとするのではありません。ただ自然に、流れに身を任せ、クライアントの最善の利益のために存在している状態です。

まとめ+感想

心理的安全性と信頼についてのコンピテンシー。改めて自分のコーチングも心理的安全性の醸成には意識的、無意識的に工夫していることがあることを振り返りました。
コア・コンピテンシーの記述文には、"クライアントとの信頼を築くことができるように、自分の不完全さも見せるなどして、開放性と透明性を示している"という項目がありますが、コーチは自分の不完全さや個性を、信頼と安全性を醸すために生かしていくのですね。Positive Intelligenceの講座で何回も言われてすごく好きだった言葉が、"Vulnerability generates trust(弱さが信頼を生む)."という言葉。不完全なものに惹かれ合う性質が人間にはあると思うので、不完全さは重要な要素だなと思いました。みなさんは、自分の柔らかいところを、どのようにコミュニケーションやコーチングに生かしていますか?

もう一つ感想として、もう少し信頼についても深めたいなあと思いました。インタビューの中に、"信頼とは、お互いが何をするにしても、お互いの最善の利益のためにそれをするのだと確信することです"という言葉がありましたが、自分のことも相手のこともこんなふうに思える関係性を保つには、お互いのコミットメントが大切ですね。心理的安全性と信頼とコミットメントは、すごくつながっている気がするな〜。そして、コーチング以外でも、こんなふうに信頼し合える関係で、繋がっていたいですね!

みなさんの感想もぜひ、コメントやツイートで教えてくださいね!

コア・コンピテンシーシリーズは早くも折り返し地点!残り4つについても定期的に要約していきますので、お楽しみに!

*あくまで個人的な活動のため、内容に関してお気づきの点、ご指摘などありましたら、お知らせください🙇‍♂️

*1 :旧版のコア・コンピテンシーでは”Establishing Trust and Intimacy with the Client”と書かれており、今回の改訂で、"Intimacy"が"safety"に置き換わったことがわかります。日本語では「クライアントと共に信頼と安心感を作り上げる」という文言から、「信頼と安全を育む」という表現に変わっています。

💡ICF資格取得(ACC, PCCなど)のための翻訳サービスをやってます
https://ssttstt.notion.site/ICF-f58fb4f864894151a62aaf9ce51fe23d?pvs=4

💡ライフコーチングはこちら
https://www.notion.so/ssttstt/Taku-2ab9883440f843229818f16fa93a40dd


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