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映画「エゴイスト」高山姉さん役の鈴木亮平さんに鳥肌

友人、高山真(通称・姉さんと私は呼んでいた)が逝去するまで、私は彼の本を読まなかった。

もし感動してしまったら、いつもの辛口トークをぶつけ合えなくなりそうだから

というとてもチープな理由で。
小説を読み、映画を観て、今はとても後悔している。
映画「エゴイスト」公開。主演の鈴木亮平さん、宮沢氷魚さんの熱演。日本のゲイ映画に新たな革命とものすごい評判。姉さんがすれ違いで見ることのできなかったこの景色を、いつものイデミスギノのケーキを食べながらたくさん話したかった。



友達とはなんだろうか
恋人とはなんだろうか

ある日、ふと考えたことがある。
私が捻り出した答えはというと
「都合がいい」
という間柄だ。響きこそよろしくないかもしれないが、お互いに会いたくなる、気持ちを注ぎたくなる。一緒にいて楽だ。それは都合がいい間柄のなにものでもないなと。
それは、友達を知人、恋人を愛人と書き換えればわかりやすいのではないか。
愛人関係と聞けば「都合がいい」という言葉は納得しやすいが、恋人関係と聞けば「都合がいい」という言葉は軽薄に感じるだろう。その違いは「気持ちの深さ」くらいでしかない。
しかし、どんな間柄にも「都合の良し悪し」は存在する。その都合こそ己のエゴであり、そのエゴが交差し、マッチするとそれは「友情」になり、「愛情」にもなるのではないか。

映画「エゴイスト」
観終わった後、作者の高山真がそんなタイトルをつけた気持ちが少しは理解できた気がした。
自分の気持ちが「エゴ」と感じるほどの愛情。
自身に何度も問いかけ、咀嚼を重ねるに重ね、自虐すら感じるほどの彼へに対する愛情。

私は何のために今世に生かされているのか。答えのない疑問に何度も頭の中で考えた結果、
生きるしかない
という、脱力と安堵にも似た妙な気持ちになった時とも、それは似ている。


この映画を観てたら、監督さん、演者さんのこの作品に対する熱意というのが、カット割りや演技から、些細なとこからも溢れんばかりに伝わってきた。
私は作者を知っているので、他の方とは少しだけ観方は変わってしまうのだが、鈴木亮平さんの猛烈な演技。強気な目線や手の動き、ケーキ屋での所作や文言など、生前の姉さんの似てて涙が出るほどゾッとした。

宮沢氷魚さんのあざといほど切ない純真無垢な姿。
何をどうすることもできない阿川佐和子さんの弱々しい目線。
今思い出しても心がギュッと縮み上がってしまう。

愛とはなんなのか

ゲイであってもなくても、この作品には誰もが触れてほしい。
これはクィア映画であってクィア映画ではない。
愛することに、愛する切なさにセクシャリティーの違いなんてまるで関係なく、誰にでも突き刺さる何かを秘めているそんな作品なのだ。


私が生前に作者、高山真さんと接して感じたことをYouTubeで話させてもらってます。
より作品に深く入れたら幸いです。

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