見出し画像

最近の酪農の事情

コオロギ食べるくらいなら牛乳の廃棄と酪農家をなんとかしろ。
という昨今の風潮。
酪農家に嫁いだ嫁としては、確かに酪農家を支えてほしいし、個人的にコオロギは食べたくない。

だがこれはあくまで『その人が何を食べるか』という個人の尊重の話であって、もしかしたら世の中には「牛乳飲むくらいだったらコオロギとゴキブリでも食べるわ!」というくらい牛乳が嫌いな人だっているだろう。

そして、昆虫食というものが確かに未来に繋がる食料問題を解決する一手だということもわかる。
昆虫食と酪農家を比べれば、繁殖の楽さ、金銭の負担、土地、糞尿問題から二酸化炭素問題まで圧倒的にコオロギの方が勝っている。
抱える問題が山積みな日本にとって、手軽で問題の少ない昆虫食に移行したい気持ちはよーくわかる。

ここまでは、建前と第三者の目線。

個人的には、牛を減らせ、牛乳を捨てろ。
と言うのであれば
お前らもう二度とケーキ食えなくなっていいんか。
パンケーキも、シチューも。
食べられなくなっていいんだな?
という気持ち。
外国から生製品は輸入できないので、加工品しか回ってこない。
と、なるとキッチンで出来たてのパンケーキ!とか。
ケーキだって生クリームが無いので既製品のホイップクリームしか届かない。
乳製品、ではなく牛乳が無くなるとはどういう事なのか考えて見てほしい。

そしてそこの牛乳が嫌いなあなたも。
嫌いでいいから無関係面はしないでほしい。
「私は牛乳飲まないからなくなってもいい」とか
「牛乳不味くて飲めないからなくていい」とか
「そもそもケーキ食べないからなくてもいい」とか
確かにあなた個人としては無くなってもいいのかもしれないが、牛乳が無くなるということはつまりケーキ屋もほとんど廃業する。
世のスーパーには加工乳しか出回らない。
私は正直、それはちょっと嫌だなと思う。

ただ、こんなに声を大にして騒がなくてもいいんじゃないかな?とも思う。
なぜなら生産調整も廃棄も、別に今に始まったことではなくコオロギ文化ができる前から行われていたので、こちらとしてはもう『当たり前』の域に達しているからである。
不満はあるが解決してくれないので、仕方ないなと諦めて捨てていたのが、今になって取り上げられ、みんな支えてくれる。
ありがとう。
ありがたいし、その想いの一つ一つが酪農家の支えになる。

しかし、廃業した酪農家も既に何軒も存在する。
それについては過去の記事に書いてあるので読んでほしいが、つまりもう酪農家の危機は今回のコオロギ騒動より前から始まっていたんだ。

今、みんなが声を大にして支えてくれているが、これがいつまで続いてくれるのか。そして、政府がその声を聞いて酪農家に施しをくれるのか。
牛を売ったら一頭あたり20万配布と政府が発してくれているが、それはあくまでその場しのぎの金銭であって、長い目で見れば牛一頭と20万は天秤にかからないくらいの価値がある。
旦那が言うに、今回の政策に乗ることができるのは酪農家を辞める人達。
全ての牛を売ってしまって、牛舎も売ってしまえばある程度の金になるので辞めようと思っていた人にはラッキー!といった具合だろう。
その話を「なるほど〜」と聞いていた私は、その後旦那の口から

「要は辞めろって言ってんだよ、政府は」

と言われてハッとした。
そんな酷い話があるもんか。
深く考えすぎだとは思うが、確かに辞めた方が得策な政策を出して辞めるように仕向けるなんて、日本政府は頭のキレる人がいるもんだ。
旦那はその手には乗らない。と言っているが果たしてそれもいつまで続くのか。
辞めずに生涯酪農を続けられるならそうしたい、だがそれも理想像であって、「あの時辞めとけば良かった!」なんて後悔もしたくない。


長く書きすぎてしまったが、みんな牛乳を飲んでくれ。
飲みすぎるとお腹下すので、まぁまぁ体調を崩さない程度に飲んでくれ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?