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動機は「下着が好きだ!」だけど信じて欲しい本当の理由とは? 傍聴小景 #115(常習累犯窃盗)

悲しいかな、裁判傍聴をしていると、単なる「ミーハー」だと思われてしまうことがあります。しかし、そう仰りたい気持ちはわからなくはありません。

ただ私は、傍聴を仕事としている以上、被告人も含め関係各位に失礼な態度はとってはならんと思いながら活動を行っています。その活動の内容を周囲がどう評価するかは別にして。

と言いつつも、やはりミーハー的な心境になってしまうこともあるのです。これは隠そうと思っても無理なのです。今日はそんな話。


はじめに ~生活に困っていそうな雰囲気だけど~

罪名 :常習累犯窃盗
被告人:50代の男性
傍聴席:3人(傍聴した5回)

常習累犯窃盗というのは、直近10年で3回以上、窃盗や強盗等の罪名で6ヶ月以上の懲役刑を受けた人(猶予含む)が、またも窃盗行為を行ったときに適用されます。

被告人は生活に苦しそうな雰囲気を感じる、50代のおじさん。アルバイトで単身生活という情報からも、罪名とマッチする感じが強くします。

こういうときにイメージしやすい被害品はやはり食料品でしょう。もしくは金銭が充分でないから買えない何か。この罪名のときはほぼこれです。

そんな中なので、今回の被害品には驚いてしまいました。


事件の概要(起訴状の要約)

被告人は過去10年に3度の窃盗罪による懲役刑の有罪判決を受けているにも関わらず常習として、
① 路上からフックのついた釣竿を用いて、マンションベランダに干されていた女性用下着1枚を窃取した(同じ家で同様の内容もう1件
② 路上からマンションのベランダに手を伸ばし、女性用下着1枚を窃取した
③ ①の事件被害者の家のカギ穴に差さっていたカギ1本を窃取した

フックのついた釣竿!?それで下着を一本釣り!?
この罪状を聞いたとき、最後まで裁判を傍聴する覚悟を決めたのです。

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