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「大きな声だして、シンプル、楽しい、面白いものを」猿博打インタビュー

佐藤佐吉演劇祭実行委員会が、参加団体の魅力を紹介するため稽古中のお忙しい所にインタビューを敢行!第8弾は猿博打の河村凌さん、村上弦さん、板場充樹さんにお話を伺いました!

佐藤佐吉演劇祭2024参加団体インタビュー
ゲスト:河村凌・村上弦・板場充樹(猿博打)
聞き手:内田倭史(佐藤佐吉演劇祭実行委員会)


なんだかんだいい距離感

内田:自己紹介をお願いします!
河村:どうもこんにちは。猿博打です。大学のサークルで出会った、河村、村上、板場の三人で構成された劇団です。僕が一番先輩で村上が一個下、そのもう一個下が板場です。
内田:あ!意外と年齢差があるんですね。
河村:そうなんです。僕は代表をやっています。一番上にいて責任だけを取る立場として君臨しています。
内田:君臨(笑)。
村上:村上弦と申します。弦と書いて「つる」と読みます。猿博打では演出をやっています。脚本も書くんですが、最近は外部の方から脚本を提供していただいて演出をやっています。宣伝美術もやっています。最近はすごいハンドメイドにハマっててちょっとレジンを使って固めたりするのが楽しいです。
内田:色んなものが作れるんですね!
河村:村上の肩書きは多岐にわたる。
村上:でもどれもプロには達しないっていう(笑)。
板場:板場充樹です。ぼくは構成員です。劇団の中ではお財布の管理とか、あとは小物作ったりとか、書記をやったり、庶務みたいな感じです。
河村:二人はちゃんとやることがあるから、しゃべることがたくさんあっていいね。僕は無いんだよな、なにかを別にしてるわけじゃないから。
内田:君臨してるんですもんね(笑)。いまも先輩後輩っていう関係性は変わっていないんですか?
板場:そうですね。それがなんだかんだいい距離感になってるような気がしてます。
村上:私はたぶん、同級生と演劇やっていたらあんまり上手くいってなかった気がします。
内田:へー!
村上年齢差があるからうまくいってるのかなって思う時がありますね。
河村:ふーん。
一同:(笑)。
板場:なんですか(笑)。
河村:僕はもともと後輩付き合いが得意じゃなくて、
村上:確かに。大学の時は先輩と一緒にいるイメージだった。
河村:なので、二人のことを後輩だと思ってない。勝手に引き上げて、縦じゃなくて横だと思ってます(笑)。

『まじめにきまじめ』舞台写真

このペースで行くと1年で0人になるぞ!

内田:猿博打を始めたきっかけは?
村上:私が大学 3 年生の時、このメンバーともう数人を引き連れて、男の子たちだけの劇をやったんですよ。それで卒業後に、楽しかったからまたやりたいと言ってくれて。言ってくれたメンバーはここにはいないんですけど…。
河村:発起人がいたんです。その発起人がやりたいって言った時に僕は大学を卒業して就職していました。ウエディング系の会社で配属先の福岡にいたんですけど、「やりませんか?」って連絡がきて、なんやそのワクワクする話は!って。俺もやりたいとは思ってたんで、何度か東京に戻った時に集まって話し合い、僕も仕事を辞めて東京に戻ることにしたんです。
村上:私も卒業後一度就職をして、その1 年後くらいに旗揚げ公演をしたんですよ。
河村:実は最初は6人だったんです
内田:知らなかった!
板場:5人の男たちを裏から村上が演出をするっていう男劇団でした。
村上:そしたら、旗揚げ公演前に2人辞めて。
河村:その発起人も辞めちゃいました。彼は教育学部だったんですけど「先生になりたいわ。先生になる夢まで見るようになっちゃった」みたいなことを言い出して、
内田:こっちは仕事辞めてるのに(笑)!
河村:そう。でも、夢にまで出るくらいなら、それはもう先生になった方がいい!ってなりました。で、もう一人も、踏ん切りがつかない、みたいなことを言い始めちゃって。
板場:まあ、そいつが抜けたからね。
河村:そう。やめるリズムができてしまった。で、4人で旗揚げ公演をしたんです。
板場:発起人は、猪一番にいなくなって…。
河村:あいつは誰よりも先に…!でも今でも見に来てくれるし、関係は良好なんです。で四人で旗揚げしたんですけど、もう一人がちょっと自信ないってなっちゃって、そのあと辞めて。なので3月に旗揚げして5月に三人になっちゃった。このペースで行くと1年で 0 人になるぞ!って。
板場何回宣材写真撮ればいいんだ?みたいな。
河村:でもそこからは0人になることなく、三人で続けて言います。
河村:その旗揚げ公演をして、この3月で丸 5 年になります。
板場: 三人体制になって最初の年で、もうコロナ禍になって。三人で何かできることはなんだろうねってことで、コロナ禍救済の演劇祭に出てみたりとか、 YouTubeを頑張ってみたりとかしていました。他の団体さんとの交流ができてきたのは、そのさらに翌年とかですね。
村上:2 年前くらいから外部に客演として出始めたんです。 その前まで私たちを知ってる人は多分全然いなかったと思います。お客さんも増えないし、どうやったらいいんだって思ってた時期ですね。
板場:かるがも団地とだけ仲良くしてました(笑)。
河村:かるがも団地も三人じゃないですか? 僕らも三人だし、男女のユニットだし、動物の名前を冠してるし、
内田: ほんとだ!三人になっていて良かったかもですね(笑)。
板場:そうかもしれない(笑)。
河村:そうじゃなかったら、もしかしたら付き合いなかったかもしれない(笑)。そこからずっと仲良くやってるよね。

『まじめにきまじめ』舞台写真

稽古時間は100 時間

内田:創作はどのように行っていますか?
村上:脚本をいただいて、ある程度私が演出を考えてきて、それを元に3人であーだこうだ言いながら付け直していくっていうやり方がスタンダードですね。稽古時間は100 時間とっています。
内田:へー!100時間!
板場:それは河村さんが考えてくれました。
河村:稽古時間ってどれくらいやればいいんだろう?って、いつも悩んでて、考えてみたところ、僕らの場合、90分の作品を作るとして、だいたい 100時間っていうのが見えてきて。稽古時間として多いか少ないかっていうよりは、その限られた100時間の中でどう作っていくかっていうことを考えています。
板場:普段は君臨しているだけですが、こういうクリティカルなことは考えてくれます(笑)。
一同:(笑)。
河村:目に見えてやんなきゃいけないことを二人がやってくれるから、僕は適当なことを考えて、茶々を入れられるというか。
内田:確かに。ひとりでも頭を空けておけるポジションの人がいるといいですよね。
河村:でも毎回、ふたりに負担かけてるなあ…申し訳ないなあ…とは思っていますね。
板場:なんかずるくない!?
河村:何がよ!
板場:急に好感度気にしだして!
一同:(笑)。
河村:いやインタビューだから、いやこういう機会に株を上げておかないと(笑)。

『まじめにきまじめ』舞台写真

感謝だけは忘れないようにしよう

内田:稽古の中で大切にしてることはありますか?
村上:結構ありがとうをちゃんと言いますよね? 
河村:そうだね。ありがとうの気持ちを忘れない。
村上:それで良好な環境を作れているのかなと思ってますね。
場:自分たちの中でもそうだし、今までこれだけのことができてるのは、すごくいろんな人に力を借りて、本当におんぶに抱っこでここまで来たっていうのがあるので。感謝だけは忘れないようにしよう、ってのが多分僕らの口癖になってますね。
河村:ずっと迷惑かけてるもんね。
板場:いい加減恩返しをしたい、とずっと言い続けてますね。稽古場の空気感は多分別に示し合わせてないですけど、多分みんな気にかけてるところだと思います。喧嘩したら解散するって言ってるんで(笑)。
村上:三人で稽古しているので、喧嘩しちゃうとしんどくなるんで。
板場:たまに煮詰まってることはあるんですけど、流れを止めないようにはしていますね。 
村上 1 日 9 時間、三人でずっと居るので。本当に悪い空気にはならないように楽しく稽古できるようにするっていうのが、やっぱ一番かなっていつも思ってます。

『まじめにきまじめ』舞台写真

迷ったら分かりやすいほうを取ろう

内田:創作の中で困った時、どう突破口を開けていますか?
板場:多分 3人の中で俺が一番グーって視野が狭くなっちゃって次に進めない感じがあるんですけど、この人(河村)は、クリティカルな思考を持ってるので、「とりあえずやってみるか」って言ってくれたり、「一旦寝かせよう」って提案してくれたりします。
河村:時間がね、解決してくることもよくあるから。でも、よくそう言ってくれてるけど、別にあれだよ、考えるの面倒くさいなと思ってるだけだよ(笑)
一同:(笑)。
板場:あと共通認識として、迷ったら分かりやすいほうを取ろうみたいなのはありますね。自分たちで、こういう「猿博打」がやりたいっていうなんとなくのイメージがあるので、そのイメージに照らして、面白いか面白くないか?っていう判断をしていますね。
村上:基本的に猿博打では多数決で決めたいって思っていて。私が面白いと思っていることでも、二人が違う方が面白いって言ったら、絶対そっちにしたいなって思います。
板場:それがありますね。村上は演出っていう名前を冠してるんですけど、すごく僕らの意見を取り入れてくれます。
河村:おれはわがままいう時あるけどね。いや俺はこっちがいいと思う!って。
一同:(笑)。

大きな声だして、シンプル、楽しい、面白いものを

内田:今回の「まじめにきまじめ」はどんな作品ですか? 
村上:露と枕の井上瑠菜さんに脚本を書いてもらいました。板場が客演で出てた露と枕の「雨のかんむり」っていう短編公演がすっごく面白くて、井上さんってこんなコメディーも書けるんだ、猿博打にすごくフィットしそう!って思い、昨年の12月にコント公演「ZOOOOOM」で脚本を書いてもらい、今回もお願いしました。
今回の「まじめにきまじめ」は、この星に三人だけが生き残っているっていう設定で、真面目が行き過ぎて逆に暇を持て余した 三人が、どうそこから脱却するか、っていうお話です。この星に三人だけっていうのがテーマなんですけど、いつもの猿博打の稽古場がもうほぼそれなんです。猿博打にピッタリなお話になっています。
板場:今回は会場も大きいので、大きな声だして、シンプル、楽しい、面白いものをお届けできると思います。
内田:河村さんはどうですか?
河村:そうですね。いつも以上に、本当に楽しい作品が出来上がりそうです。はい、あの〜まあ…そうですね…。いやー、でも本当にすごい…楽しい作品が出来上がりそうです…。
板場:何のために頭を空けてるんですか!
一同:(笑)
板場:あと、グッズを作っちゃいました!
村上:新デザインです!
河村:ハーフジップスウェットとナイロンのサコッシュ。水も弾きます!猿博打の服を着て来場すると300円引きになります!
村上:会場が大きいので物販スペースもお店屋さんみたいにしたいなと思っています。あと、お誘い割で2名様以上だとおひとり様2500円になります!よろしくお願いします!
内田:ありがとうございました!

『まじめにきまじめ』舞台写真

グッズにも一つ一つに相当なこだわりを感じます。会場には手作りグッズがゲットできるガチャガチャも用意されています。欲しいっ…!三人だからこその面白さ、猿博打だからこそのワクワクをたくさん味わえそう。エネルギッシュで優しさあふれる三人にぜひ出会って欲しいです!

猿博打
2019年に旗揚げ公演をした板場充樹/河村凌/村上弦の3人の劇団。大学の演劇サークルで出会い、猿博打を結成。
板場は前髪の長さを巧みに使い分け、陰も陽も、なんでもこなせる役者。真面目な性格ゆえ、稽古場の行き帰りは台本を読み歩く。その姿はまるで二宮金次郎。
村上はお洒落なウルフヘアーでクールなキャラを振られることもあるが本当はおふざけ上手。演出も宣伝美術も動画もハンドメイドグッズも色んなことをやれる人。
河村は長い髪を結んだり解いたりしている人。
3人が3人共、看板役者という心持ちで客演としても幅広く活動する。
音響や照明を大きく使い、大袈裟な声量で、猿博打にしかできないポップでアニメのような世界観を作る。
WE ARE SHOUTING FOR YOU.

佐藤佐吉演劇祭2024参加作品
猿博打 特別公演第三弾『まじめにきまじめ』
〇会場:北とぴあ ペガサスホール
〇脚本:井上瑠菜
〇演出:村上弦
〇出演:村上弦、板場充樹、河村凌
〇詳細はこちら
https://sarubakuchi.jimdofree.com/(団体HP)
https://en-geki.com/sakichisai2024/sarubakuchi.html(演劇祭特設サイト)


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