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2022年10月9日の乾杯

2022年10月9日の乾杯。今回はおじさんが9月の末から10月初めに観た何本かのお芝居について。行きつ戻りつしながら少しずつ歩みを進めていく季節の中で、良きお芝居の上演が増えていく実感について語り合います。

👨演劇のおじさんと
👩おねえさんです。
👨こんばんは、よろしくお願いいたします。
👩よろしくお願いいたします。先日はあれでしたね、久々に同じ舞台を観て。
👨いろいろお話ができるというのはやっぱり良いですよね、同じ舞台を観て。
👩うん、そうですね
👨今回のように同じ回のステージではなくとも、同じ演目を観ているといろいろと細かいところまでお話しできることも増える気がする。
👩そうですね。
👨お話ができてとても楽しかったです。
👩うん、有意義でした。
👨ええ。しかし、ここのところなんか急に寒くなったり、風が吹いたりで大変ですよね。
👩うふふふ。なんか体が慣れてないですよね。
👨私は衣替え的なことをなにもしていなかったので。
👩はいはい。
👨セーターというか薄手のカーディガンを一枚だけ引っ張り出してきて。
👩大丈夫ですか?寒くないですか?
👨いやぁ、夜なんか薄手のカーディガン一枚でも寒かった。
👩あはは、そうですよねぇ。寒いと思う。
👨あの、なんていうの、電車の中とか屋内は全然平気なのですけれど、外に出た瞬間に死ぬかと思いました。
👩それはそうですよ。もうね、本当に体調を崩させようとしているのではないかというこの揺さぶられ方で、
👨体がもたないですよね。
👩そう。
👨ほんとゆさゆさと揺すぶられる気候の変わり方ですよね。
👩もう、やめてやめてみたいな。
👨あはは。確かに。でも、そんな中でもお芝居はあちこちで順調に上演されていまして。
👩はいはい。
👨そういえば、この間すみだパークシアターで果報プロデュースの『あゆみ』を観てきました。
👩おお。
👨『あゆみ』はご存知ですか?
👩はい、知ってます。でも、観たことはないよなぁ。


すみだパークシアター倉


👨私は柴さんのあの作品ってものすごく昔から知っていて。
👩はい。
👨最初に観たのはずいぶん昔にシアタートラムでtoiという団体が上演した『四色の色鉛筆があれば』という短篇集の中で。そこで柴さんが4作品の作・演出をされていて。その中のひとつが『あゆみ』だったのですよ。その公演ってトラムで今も続くネクストジェネレーションのVol,1だったのですけれどね。
👩うん。
👨その時の『あゆみ』は3人の俳優で上演していましたけれど。今回はそれを倍以上の人数をかけていて、また当時と比較すると大きく膨らんで格段に進化もしていて。でもその根本は変らなくて、あの作品は普遍的なものを内包した表現のフォーマットなのだなぁと思いながら観ていまし。
👩うんうん。
👨元々、柴さんって、『わが星』なんかにしてもそうだけれど、一生とか時間への俯瞰をしたたかに描ける人じゃないですか。
👩ああ、ですね。
👨『わが星』なんて、それこそ地球の一生だからね、ぶっちゃけた話が。
👩うふふふ。ああ、あれはおもしろかった。
👨今回の『あゆみ』も生まれて、成長して、母親になってさらに命を継いでいくみたいな話なのだけれど。
👩ふんふん。
👨で、今ググったら、私が最初に観たのは2009年なのですよ。
👩ほう。
👨だからもう、13年前。いま、その「四色の色鉛筆があれば」のクレジットを見ると、今や中堅で活躍されている俳優がたんといらっしゃって。
👩へぇ。
👨佐藤みゆきさんとか、ハイバイの永井若葉さんとか中林舞さんとか。あと中野茂樹+フランケンズの斎藤淳子さんや岡田あがささん、武谷公雄さんや青年団の山本雅幸さん、岡田あがささんなども4つの短編のどれかにご出演だった。今やもう役者筋もりもりの方たちだけれど。
👩うんうん。
👨その中で『あゆみ』は内山ちひろさん、黒川深雪さん、中島佳子さんの3人が演じていてね。それが今回は今舞台を観ていても力があるなぁとおもっている俳優が7人とその世界を途中から受け取る1人の8人に増えて。キャラメルボックス所属の山本沙羅さんがプロデュース兼出演だったのですけれど。やっぱりいろんな意味で凄く進化しているんですよ。
👩うん。
👨まあ、人数的にも8人になったということで描けるものも当然に広がっているし、そもそも『あゆみ』という作品にはさっきも言ったように描き出されていく普遍があるのだけれど、今回観ていてその普遍を形作る一瞬ずつを描く俳優の力もしっかり伝わってくる作品だなぁともおもったのね。
👩うん、
👨青年団の井上みなみさん、あちらこちらへ客演されているのを拝見している小口ふみかさんや田久保柚香さん、橘花梨さん、に加えて多分初見だけれど稲田ひかるさん、あとキャラメルボックスの稲盛美咲さんと途中で彼女たちの紡いだもの前田綾さん、そして山本沙羅さんと人数が増えてもメンバーそれぞれの力がそれぞれに作品を支える感じがとても束ねられて、なおかつビビッドに感じられて。
👩はい。
👨まあ、『あゆみ』を観る機会は「四色の色鉛筆があれば」のあとにも何回かあって、これから演じる力をつけていくみたいなキャストの方での上演も観ていて、それはそれで俳優の個性が抽出されてておもしろかったのだけれど、今回は演じるためのエンジンというか基礎は十分すぎるほどあって、その先で『あゆみ』を出演者が更に組み上げていくみたいな舞台だったから、これまでとはまた違う新たな見応えもあって。女性が生まれて、育って、結婚して云々みたいな流れってあるじゃないですか。
👩ああ、はいはい。
👨男が観ても、それが概念に丸まることなく、ひとりずつの俳優の紡ぐ女性の一瞬の感覚の積み重ねとして訪れるんですよね。たとえおなじフォーマットでしていたとしても、そこに表現をする意志とそれを裏打ちする力があれば、今までに感じたことのないものが、なんていうんですか、あゆみメソッド、方向を定めて歩いていく中で、その時間が観る側に渡されていくみたいな規則で演じられる中で、あるいはその時間を舞台に維持できるからこその舞台上の表現の広げ方の先に、女性が生きる質感が生まれてくるんだなぁと思いながら観ていて。
👩はい。
👨私が観た回は、まだ公演の最初のころで客席の風通しがけっこうよくて、これは大変だなぁとか思ったりもしたのだけれど、後半は客席も詰まっていったみたいで。
👩おお。
👨私はいっぱいになったところでは観ていないのですけれど。
👩ええぇ、それはなんてことなの。その回っていうのは悔しいですよね。客席にお客さまがいるからこそというのは本当にそうじゃないですか。
👨うん。
👩演劇はみんなで作るものなのですよね。やっぱり。
👨そうそう。
👩お芝居は客席が満席だといいよね、やっぱり。
👨座席がね、舞台を挟んで対面だったんですよね。で、向こう側もなんか客席がそれなりに空いていて。で、発売のときにこれと思ってすぐ予約したから最前列の席だったのだけれど、開演前にふっと後ろをみたら後方列も対面側とおなじような感じで。劇場の空間には観客が作る密度ってあるとおもうんですよね。あの、俳優たちの演じる舞台に対してあの空間の圧というのは客席として申し訳ない。
👩うんうん。
👨別に私が悪いわけではないのだけれど、演劇の神様に対してなんか申し訳ないような気持になって。
👩そうねぇ、そういうのってあるよね。
👨だって、あれだけのものは、劇場全体の熱量とともにみんなで観たいよねみたいな。
👩まあね。
👨まあ、この公演は去年やろうとして一度中止になってそのリベンジだったのだけれど。
👩そうなのですか。
👨去年も観ようと思ってだめだったというのもあって。今年はそのリベンジは果たしたのだけれどね。そうそう、今回の公演ではアンダースタディが設定されていた。
👩うんうん、すばらしいよね。大事だよね。
👨まあ、だれかになにかあっても大丈夫なようにって。ただ、ブロードウェイでもそうらしいのだけれど、アンダースタディって大変みたいなんですよ。舞台全体の動きを理解し、複数の役の細かいところまでを覚えて演じる力がないといけないから。
👩うん、そうなんですよね。力がないとできない、本当に。
👨今回は中野亜美さんが勤められていて。ちゃんとクレジットにも入っていましたけれど。
👩うんうん。
👨彼女のようにそういうことが出来る俳優をちゃんと見つけられるというのはなかなか難しいのだろうなぁともおもって。
👩はい。
👨そういうことも含めて、今回の『あゆみ』は本当によい舞台だったと思います。
👩うん。
👨あとね、話は変るけれど、TOKYO PLAYERS COLLECTIONという上野友之さんの団体がね。
👩はい、いらっしゃいますね。
👨アマヤドリに榊菜津美さんという女優がいらっしゃるのですけれど、彼女と組んでプロデュース公演を何度かやられていて。具体的には『IN HER TWENTIES』とか『IN HER THIRTIES』とかを上演していたのだけれど・
👩はいはい。
👨その榊さんってアナログスイッチの秋本雄基さんとご結婚をされていて。
👩へぇ、知らなかったです。
👨私も最近知ったのですけれど、せっかく俳優どおしの夫婦なのだから、そこでなにかをやりたいという話になったらしくて。
👩はいはい。
👨で、TOKYO PLAYERS COLLECTION「夫婦の営み Vol.1」の名義で『蓼喰ふ虫』を上演されまして。



👩ふーん。
👨で、観てさ、俳優の夫婦っていうのは凄いのねというか・・。
👩うふふ。
👨面白かったのは、夫婦になるような俳優だから同じような演じ方でお芝居をするのかというとこれがもう全然違うのね。
👩うふふふ。
👨やっぱりね、秋本さんはアナログスイッチの語り口でキャラクターをつくっていくんですよ。
👩うん。
👨で、榊さんはアマヤドリのメソッドで気持ちを組んでいくのね。
👩いや、それはそうですよ。人はそんなに簡単に変わらないから。やってきたものは変わらない。
👨ただ、それがひとつの舞台の中に並び立つというか、成り立つのはすごいなぁっておもって。
👩ああ、なるほどね。
👨元々は谷崎潤一郎の小説で、まあ、酷い話っていうか、奥さんと旦那さんの間が上手く通じ合っていなくって、半ば旦那の公認で奥さんが別の男と付き合ってもいいよってなっているという夫婦の話なのですけれどね。
👩ふーん。
👨その中で秋本さんはアナログスイッチでもそうであるように全体の空気を醸すお芝居の懐があって、榊さんはアマヤドリの舞台の如くキャラクターをがっつり作り削ぎだしていくようなお芝居をされていて、そうすると交わらないというのはある意味物語とぴったりでそれはそれで説得力はあって。演出の上野さんもそのあたりのことを無理に縒り合わせようとせずうまく舞台に掬い上げててもいてね、結果として普通に語られたのではどこか平板になってしまうであろう『蓼喰う虫』の物語に夫婦の関係性の深みが生まれていた。
👩うん。
👨周りを固める俳優も上手い方がそろっていて。私久しぶりにアマヤドリにいらっしゃった松下仁さんの
👩ああ、はいはい。
👨彼のお芝居を観ることができたり。あとしあわせ学級崩壊に大田彩寧さんという女優がいらっしゃるのですけれどね、
👩はい。
👨彼女がちょっと昔風というか、品もあればいけずも効くみたいな綺麗な京都の女性言葉を操っていらっしゃって。花街ことばっていうのかなぁ。京都の知り合いでもなかなかああはしゃべられへんみたいな。
👩へぇ、それは凄いですね。
👨ぎぃ子さんという俳優さんが関西弁ネイティブで彼女が言語アドバイスをされたというクレジットがはいっていたけれど。京都のそういう言葉っていうのは柔らかさに包まれたえげつない破壊力というのもあってね、それは古くからのお商売の方とか、芸妓さんとかが使われるような言葉なのだけれど、彼女のそれは私のような関西弁ネイティブの人間にも99%違和感がなかった。で、それがまた舞台に新たなウィットや深さを与えていたりもしてね。
👩うんうん。
👨そういう俳優の方たちの資質や力を演出家がうまく引き出して使うと、秀逸な舞台ができあがるのだなぁって。当たり前のことかもしれないけれど、
👩うふふふ。はいはい。
👨そんなことを改めて実感しましたけれどね。
👩うんうん。
👨観終わって、谷崎潤一郎さんの世界ってなにがなんでもというほどは好きではないのですけれど。
👩ああ、そうなんですか。私は谷崎さん大好き。
👨嫌いというわけでもないのだけれど、好きな作品とそうでもない作品があって。
👩まあ、それはあるよね。
👨『蓼喰う虫』 については観ているうちに読んだ記憶が蘇ってきたのですけれど
👩ああ。
👨それが『蓼喰う虫』という題名だという認識もほとんどなくて、なんとなく物語の設定を思い出して。
👩ああ、はいはい。
👨だけど、これは人間というか男女のいろんなものが埋め込まれている作品だなぁって、それは小説を読んだということより、今回の舞台を観て、いろんなことが引き出されてきてから実感して。
👩ああ。
👨そのあと少しずつ思い出してきたのだけれど、身銭を切って買った本ではなくて、まだ学生の頃休講があって暇つぶしに図書館で読んだ気がするんだよね。だから流し読んでしまったのかもしれないなぁなんてお思ったりもしたけど。で、観終わって多分自分では持ってないと思ったので青空文庫で読み返したりもしたのだけれど。まあ、この作品に目をつけたというのが、榊さんが目をつけたのか上野さんが目をつけたのかも知らないし、他の団体などでも舞台化はしている作品ではあるみたいなのだけれど、あれを夫婦でやってみようと発想したっていうのは凄いなぁって思って。
👩うん、確かに。
👨榊さんや上野さんにもちゃんとそういう表現ができるという読みがあったのだろうし、そういう発想ができたり作品を作り込めるというのはセンスだとも思うしね。
👩うんうん。
👨それも大きいところでやるのではなくオフオフシアターだったし、俳優としての力は間違いのない方たちの舞台だったから、密度の濃い、でもなんか澱んではいなくて抜けのよいお芝居になっていて、凄くおもしろかったですけどね。
👩なんかよい舞台を観ましたね、いいなぁ。
👨あの、上野さんのお芝居って好きなんですよ、私。ああいう男女の関係とか、その間を浸すような空気とか、いろんな距離感とか。あの、須貝英さんなどもそうだけれど、言葉では表現し得ない空気感を持った人間関係を描き出しているお芝居って私は好きなので。
👩うんうん。
👨なおかつ、榊さんの上野さんと組んでのプロデュースというのは今までもずっとおもしろかったので、今回もほんと楽しみに観に行きましたけれどね。
👩うふふふ。
👨あとね、三鷹のNext-Selectionの2作も完食した。9月あたまのやみ・あがりシアターもとても良く作り込まれた舞台だったけれど、今月のあたまにみた「ほりぶん」もほんとおもしろかった。
👩へぇ。


👨ほりぶんは最初に俳優が舞台に一列になっての「xx役をやります○○です。こんな役をやります」という挨拶をするのだけれど、
👩はいはい。
👨今回は加えて開演前の稽古と称する時間があって、それぞれのシーンの一部を自主稽古の態で舞台でやって見せて、それから本番が始まるのですよね。
👩うんうん。
👨それって、ほら、ドラマの冒頭や映画のプロモーションビデオなんかでもそうなのだけれど、見せ場のシーンが差し込まれてそれから本編をみせるという手法があるじゃないですか。
👩はいはい。
👨それを舞台でやっていただいたのですよ。
👩うふふ。
👨もちろん面白いやり方だなぁと得心もしたけれど、そもそも演劇でのそういう体験って慣れていないから、稽古のシーンが出てくるたびに来たっ!と思うし、下手すると指を鳴らしたりしたくなったりもするのですよね。
👩うふ。
👨既視感がおりてくるたびにああ、ここかみたいな。なんだろ、なにかがすぽっと嵌まったような感じすらするわけですよ。自分にすり込まれた記憶と目の前の舞台が重なるたびにそこにはちょっと癖になりそうな快感があって、これはちょっと麻薬的な新しい手法かなって思ったりもして。
👩うん。
👨主宰の鎌田さんがまた新しい鉱脈を発見したのね、みたいな。
👩ああ、うふふふ。
👨本編は団地のおばさま方のお話なのですけれど。
👩はいはい。
👨で、それはもうさんざんに笑ったのですけれどね、
👩それはよかったですね。
👨さんざんに笑ったのだけれど、その後で少しずつ寂れていく街の哀愁とか、でもその中で生きていこうっていう想いみたいなものが、それこそチェーホフの「三人姉妹」の最後みたいに、楽隊はいってしまうけれど私たちは生きていきましょうって思うのと共通するような感覚で素敵に残るのよ。
👩ふうん。
👨ほんと、おもしろかったよ。それとね・・・、あと最近観た舞台の中で今回もう一団体とりあげるとすれば、「劇団身体ゲンゴロウ」かなぁ。
👩 へぇ、初めましてですね。

👨私も初めましてだったのですけれど。なんか主宰の方が東京藝大の学生の方みたいで。たしかアフタートークで4年生っておっしゃられていたかな。違っていたらごめんなさいなのですけれど。『桜か雪の散るか降る』という作品を今回上演されたのだけれど、これが想定外なほどに傑作でね。平安末期の奥州平泉がメインとなる話で、源義経を匿おうとするのだけれど、義経は途中で死んでしまって、でも源氏に抗う旗頭が必要なので実は一の谷の合戦で死にそびれていた平敦盛を引張ってくるみたいな設定なのね。そこに野心豊かな男が平泡盛を名乗って絡んできたり。
👩ふーん。
👨でね、平敦盛たちを平泉につれていくのに舟や牛車にのせたりするのだけれど、、それが小道具の使い方と身体で表現されるわけですよ。で、創意も豊か俳優達の身体が若いからそのシーン達がめちゃくちゃ切れているの。
👩うふふふ、はいはい。
👨もう、もたつきなしに舞台に世界が動き始めるし。美しいしね。大きな幕が後方に吊られていて、そこからの出捌けでシーンが作られていくのだけれど、それが舞台中盤に開かれて中から中尊寺が出現するっていう外連があって。また、お寺の稚児達が川から砂金を集めて金箔にしてお寺に貼り戦で散った霊を慰めるという日々なんかも描かれるのだけれど、気がつけばそれの稚児たちの戦前の軍事教練のルーティンにすり替わっていったりもするのね。それがすり替わっていく必然に違和感を感じさせないのがすごくて、それは一つの国が平和を願う心から戦争へと駆り立てられていくことへの普遍でもあって、なんかNODAMAPというか昔の夢の遊眠社のお芝居を観ているみたいで。夢の遊眠社のお芝居って最初の世界に描かれているものが最後には全く違うテーマに変っているじゃないですか。本当に描こうとしているものは最後に見えてくるみたいな。それを観ている方はああっみたいに呆気にとられて、そのあと感動が何倍になってやってくるみたいな感じがあったのだけれど。
👩ああ、はい。
👨なんかその再来を観ているようで。
👩うふふふ。
👨それが、彼らの独創的な表現に裏打ちされてできるというのは、みていてワクワクすらした。
👩うん。
👨ただ、決して夢の遊眠社風の演劇の先祖返りということではないとは思うのですよ。
👩はい。
👨彼らがいつもこう言う風に歴史を描き出すようなお芝居をやっているのかどうかは今回が初見なのでわからないけれど、だけど、そういう発想の斬新さみたいなものはいろんなことに使えるのだろうなと思うのね。彼らの中にあるそういう描き方の膨らませ方や仕掛けの作り方からすれば。
👩うん。
👨それをするための表現のいろんなやりかた、それは物語はもちろん衣装の作り方にしてもそうだったし、稚児を差し入れて社会の変容を見せるというアイデアもまたしかりだし、最後主人公がどうなるかということでも歴史の2面性というかふたつの形を表していたように思えたし。彼らは舞台の中でいろんなことを追いかけ描き出していたようにも思えるのね。
👩うんうん。
👨その力がどのように生かされていくのか、ここは続けて観てみようかと思っている。最初劇団名を聴いたときにはどうしようかと思ったのですけれどね。
👩うふふふ。はいはい。
👨身体はいいよ、ゲンゴロウってなによみたいな。まあ、プロフィールなどを読んでも最初は学生たちの劇団かなぁとおもっていたのだけれど、なんかそれより上の世代も主宰についてきているような感じもあって。
👩ほう、なるほど。
👨それでもまあ、それでも若い俳優たちやスタッフなのだけれど、彼の力を認めて彼と一緒にやろうと思っている人が増えてきているのだろうと思うし。
👩うん、それはそうですね、
👨そうやって、力がさらについてくればいろんなことをもっとできるのではないかなぁとかおもったりもするんですよ。良い出会いだったと思います。
👩はい。
👨まあ、そんなこんなで10月にはいってから、『あゆみ』はもう少し前だったのだけれど、いろんなものを観るようになってきて。また、コロナも収束とまではいかなくても一時ほどのすさまじさではなくなってきて。
👩うん、そうですね、いや本当に。
👨おかげさまで、楽しみが増えてきましたよ。
👩うふふふ。
👨また、10月もいろんなお芝居があるし。ヌトミックは野外劇などもやるみたいだしね。
👩へぇ。
👨雨が降らないように思いながら予約をしたり。必要に応じててるてる坊主も準備しようかなぁと。あと11月にはserial numberがあるじゃないですか。
👩ああ、そうですね。楽しみですね。
👨serial numberもまたいくつかの路線がしっかりと生まれているみたいで。今回はシアタートラムですね。serial numberってどこでやっても魅力的な舞台ではあるのだけれど、トラムくらいの大きさがあるところでのお芝居だと、また一段と独特な魅力が生まれる気がするんですよね。
👩うん、確かに。
👨また、劇場のロビーで詩森さんのどや顔をみることができるのかとおもうと楽しみで。
👩うふふふ。
👨ロビーの隅にいらっしゃる詩森さんのお姿をチラ見して、その先で観た世界のクオリティをあらためて実感しながら劇場をあとにするのってけっこう幸せですしね。 。
👩うふ。
👨と色々お話ししましたが、おねえさんのほうはいかがですか?なにか面白いものとかありましたか。
👩えぇ、まあまあTRPGとかをいろいろやったりとか、久しぶりに舞台も観ることができましたし。今日は私、おじさんのそういう面白い舞台をみたんだという話をききたくて来ていたから、私の方からは全然。すごく楽しかったですよ。
👨まあ、お芝居に関して言えば一時のような閉塞感みたいなものはなくなってきているかもしれないし。
👩うんうん。
👨そうすると、ゲンゴロウさんに出会えたみたいに、ここのところなかなか目に触れることのなかった新しいいろんなものに気づくことができる環境というか機会も増えてきたのかも知れないし。
👩うん。
👨また、新たに観たいろいろなものについてお話ができればと思いますけれど。
👩はい、是非にですね。
👨おねえさんも機会があればまた是非劇場にも足を運んでくださいね。
👩はい
👨ということで、今夜はこのくらいにしましょうか。
👩そうですね。
👨はい。では、演劇のおじさんと
👩おねえさんでした。
👨次回をお楽しみに。


(ご参考)
・果報プロデュース『あゆみ』
2022年9月28日~10月2日@すみだパークシアタ倉
プロデューサー:山本沙羅
脚本・演出:柴幸男
出演:石森美咲(演劇集団キャラメルボックス)、稲田ひかる、
井上みなみ(青年団)、小口ふみか、田久保柚香、
橘花梨、山本沙羅(演劇集団キャラメルボックス)、
前田綾(演劇集団キャラメルボックス)
(アンダースタディ:中野亜美)

・TOKYO PLAYERS COLLECTION『蓼喰ふ虫』
2022年9月22日~26日@OFFOFFシアター
原作:谷崎潤一郎「蓼喰ふ虫」
脚色・演出:上野友之(劇団競泳水着)
出演:榊菜津美(アマヤドリ)、秋本雄基(アナログスイッチ)、
松下仁、大田彩寧(しあわせ学級崩壊)、鈴木あかり(第27班)、
上野陽立(Prelude)、ばばゆりな、田中嘉治郎(リボルブ方式)

・ほりぶん『一度しか』
2022年9月22日~10月10日
@三鷹芸術文化センター星のホール
脚本・演出:鎌田順也
出演: 川上友里、墨井鯨子、上田遥、
木乃江祐希、藤本美也子、櫻井成美

・劇団身体ゲンゴロウ『桜か雪の散るか降る』
2022年9月28日~10月2日@王子小劇場
脚本・演出:菅井啓汰
出演:小野寺成月、隈坂健太、小林かのん、
四家祐志、多賀名啓太、瀧ヶ平莉佳、
武田朋也、野村穂貴、初鹿野海雄、
浜崎祥多、柳町明里、山﨑紗羅、
怜我、

(今後のお勧め)
・ヌトミック『SUPERHUMAN 2022』
2022年10月21日~23日
@都立芝公園 集会広場(23号地)
脚本・演出:額田大志
出演:Aokid、佐藤滋(青年団)、東郷清丸、
長沼航(散策者)*、原田つむぎ(東京デスロック)*、
深澤しほ*、額田大志*(*=ヌトミック)

・serial number『Bug』
2022年11月4日~13日@シアタートラム
脚本・演出:詩森ろば
出演: 神野三鈴、安西慎太郎、加藤虎ノ介、
内田慈、脇田康弘(俳優座)

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