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2021年7月12日の乾杯

2021年7月12日の乾杯。ソフトドリンクで。

二人でおなじものを観ることができる機会が重なった前週、鵺的『夜会行』『柳の家の会』。非常事態宣言の中ではありますが、細心の注意を払って観た二つの舞台について、その感想を語り合います。

👨演劇のおじさんと
👩おねえさんです。こんにちは。
👨こんにちは。よろしくお願いします。
👩お願いします。
👨いやぁ、打ちましたよ。二回目のコロナワクチン。
👩おつかれさまです。よかったですね。ちゃんと打てて。
👨うん、でもなんかね、あまりにもあっけなくて。
👩そういうものなのかもしれないですね。でも本当によかった。
👨もうちょっとね、お医者さんなんかの問診なんかでも、事故なんかもまったくないわけではないから、しっかりと訊いてくれるかと思ったら、女医さんの「元気そうですね」の一言だけで後は問診票をざぁっと見てはい終わりみたいな。
👩あははは。
👨顔色も良いし!みたいな。
👩元気そう、じゃいいか、みたいな?
👨そうそう。打っちゃえみたいな感じで。
👩意外だ。意外だなぁ。そんな感じなんだ。
👨そう、特に二回目はねぇ。一回目が大丈夫だったら。
👩ああ、そうか。
👨一回目が大丈夫だったら死なないだろうみたいな。
👩あははは。いいんだ。
👨で、悔しいからちょっと熱でも出てやろうと思ったのだけれど、もう数時間も経つのに微熱も出やしないって、今回。
👩いいことじゃないですか。熱出たら大変ですよ。
👨でも、熱でも出た方が抗体が作れる感があるじゃないですか。
👩そうだけれどさぁ。
👨なんにもないとね、本当に効いているのかっていう。ちょっと不安はありますけれどね。
👩うーん。
👨でも、おかげさまで、これで一週間するともう少しね。いままで二重マスクだったのを一重マスクでいけるかもなぁとかね。
👩うんうん。
👨そのくらいには、生活が良くなるのかなぁっていう感じはしますけれどね。
👩よかったよかった。さてとそんな中ではありますが、暫く私が舞台を観にいけなかったですけれど、今回はそれでも2本ほど舞台を観にいってきたのですよね。
👨そうです、そうです。一本は舞台というかね。
👩古典芸能でしたけれど。順番にお話ししましょうか。
👨はい。ひとつめは「鵺的」という、私はもうずいぶん前から観ている劇団なのですけれどね。高木登さんが主宰をされている。

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👩私も凄く前に1本観たことがあるような気がするのですけれど、でもきちんと覚えていなくて。で、今回は新鮮な気持ちで観たのですが…面白かったですねー。
👨うん、面白かったですよね。
👩タイトルは『夜会行』でしたっけ。夜に会いに行くと書いて夜行会という。えぇと、登場人物は5人で、
👨そう、5人芝居ですね
👩5人の女性の芝居。劇場に入ると、多分女性のお部屋の中なんだろうなぁって。ちょっと広いお部屋のセットがありまして。
👨そうですね。多分あれのほかに寝室などがもう二部屋出捌け口の手前にあって2LDK、55平米とか60平米とかそんな感じでしたね、不動産屋さん的に言えば。
👩そうかもしれないですね。チラシに書いてあったのというか、当日パンフレットに書いてあったのかな?セクシャルマイノリティのごく普通の5人の女性の恋愛模様。というか恋愛や日々のあれこれというか。世の中のあれこれとか、彼女たちの思うこととか。
👨それぞれの想いが交錯する中でのこととかね、あと世の中との関係とかね。
👩セクシャルマイノリティ、便宜上そう呼びますが。やっぱり、なんだろうな、理解ができているかというと分からないから、うん。その、なんか人それぞれじゃないですか。人間のセクシャリティというのは。
👨うん、そうですね。
👩性別を含め、恋愛を含め、様々だから。多分だけれど、一緒な人は一人もいないと思うんですよね。ただわからないんだよな。基本は自分のことしか分からないから…私は言えないなと思うんだけれど。
👨私は割合と・・・。なんだろな、自分自身は女性しか愛せないというか。同性、私的に男性を愛するという感覚はわからないけれど、
👩うん。
👨だけど一方でね、違和感は全然ないんですよね、今回の世界について。というのは、多分、ずいぶん昔にニューヨークに遊びに行ったときに、虹色に彩られた人たちのパレードが五番街であってそれ自体にも度肝をぬかれたんですけれど、その前の日に15年くらいぶりにNYで一緒に仕事をしていたころの女性と会って、まあクリスマスカードのやりとりは続けていて、次の年には行くよって書いたら必ず連絡してくれって言われていて。アメリカ人の女性だったのですが。
👩ええ。
👨その方が女性を旦那様として連れてきて紹介されて、明日は私たちのお祭りなのよみたいな話をして頂いてね。
👩はいはい。
👨少しは驚いたけれどそれをものすごく自然な感じの雰囲気で言われて、で、拙い英語でその旦那様とも親しくお話をして、別にこんなの全然ありじゃんって思ってから、そういうカップルの関係での性別云々っていうのが別に全然気にならなくなって。
👩うん。
👨だから、それは人どおしが互いを信頼して一緒に生活をしているというだけの話じゃないですか、たとえば。なんかそういうのって、当時の彼女たちを見て性別がどうのこうのと関係なく、案外それも普通の感覚なのかもしれないなぁって思ってしまってから、別にというか、なんかそれを問題視したりすることや差別とかいうことがあることの方になんか違和感があったんですね、私。
👩うんうん。
👨で、この舞台を観たときに、そうはいっても、ああやっぱりいろいろ大変なのねというのはあって。抑圧されている部分というのを女優さんがうまく自然にある生活の中に紡ぎ出すような感じがあったし。まあ、あの俳優陣は・・、笠島さんは舞台をそんなにたくさん存じ上げていないのですけれど、他の方々はよく知った俳優さんたちなので、相変わらず女優筋肉もりもりでがんばっているというか、やっぱり描き出すものっていうのがちゃんとしっかりとフォーカスを定めて、この感情やあの感情が作り出せているなぁと思いながら観ていましたけれどね。
👩目の前に人生があった。あのねぇ、難しい…この話はわからないから。自分の何が人を傷つけるのか、あの、分からないところがあるでしょ?なんか自分に対して思うんだけれど、分かった気になるのが一番怖いなと思うの、だって自分が分かっているのは分かったいることだけだもの。その、なんか、話したいの、凄く。だけど分からない状態で言ってしまったら…って。
👨たぶん、あそこに本当にリアルに流れている時間って・・、あれはあくまでも舞台の上といえば舞台の上じゃないですか。あの世界というのは。
👩そうですね。
👨で、本当にもし、あの西荻窪のマンションがあったとすれば、その中に流れている時間というのはもっと内にくぐもって、凹凸が少ない時間のなかでああいう感情だけが流れていくのだろうなぁというのを思ってはいて、
👩うん。
👨だけど、寺十吾さんの演出って言うのは、そこのところのひとつひとつに、なんていうんだろう、その一人一人の刹那ごとの台詞や所作にメリハリをつけていっているのだと思うのね。
👩ふんふん。
👨だから、その起伏みたいなものに、本来はただくぐもっているだけのものがきれいに浮かぶというか、ここはちゃんと見せるみたいなメリハリがあったので、
👩うん。
👨私は逆に、さっきも言ったように、本当だったら別に、特に外にいるもの、客席という外から見ているわけだからある意味外にいるものにとってはただ流れてしまうような時間、でも私がニューヨークで会ったカップルにしてもそうだけれど、私が表層で受け取ったものとは違う彼女たちからゆっくり漏れ出るふたりの時間というのはきっとあるはず。それは今回は舞台に置かれたその家に住んでいたり訪れる人物達の時間についても同じことで、それが舞台での細微なバイアスのかけ方やデフォルメで本来みえないはずのものがくぐもりも含めて上手く照らし出されていたという感覚はあったんですよね。
👩うんうん。
👨窓のところ、カーテンがあって、あれが揺らぐじゃないですか。
👩うん。
👨時間が止まっていないんですよ、あの世界って。
👩そうですね。
👨その、時間が止まっていない世界の中で、それぞれが本来だったらみえないものをちゃんと、ちょっと薄くライトを照らされてその陰影の中に見せられたような。しかも俳優達のそれらを描き出す力というのが、とても良い意味で担保されているというか安定しているから、またそういう人物の感情をその空間に刻むというか差し入れる力のある俳優ばかりだったから、その起伏がちゃんとみえていく。そこに強く惹きつけられてあっという間に終わってしまったという感じで観ていましたけれどね。
👩舞台としての感想、そうですね、私も。うん、とっても、あっという間だった。面白かった。こういう話ができるっていうのが、まずそれもひとつの気づきで、なんかその、今舞台の話なのか、その題材とされていたことの話をするのかっていうのが、多分それで全然、もうそれは繋がっているかもしれないけれど、いろんな意味でちょっと違うのね、
👨違うと思います。私も。
👩うん。だからね、
👨私が今言ったのは、最初は全体というか外側の話をしていて、ただ舞台だとこうだよねということのつもりだったのだけれど。
👩うーん。
👨単純にその舞台としてのテクニックとか、舞台がなにをそこに、その舞台というキャンバスになにをどういう絵筆で描こうとしているかみたいな話をするのであれば、私は最初言ったみたいな感覚を持ったのだけれど。
👩うん。私が多分それをつなげて考えているのだと思う。あの、難しいなぁ。舞台の感想とあれが繋がっちゃったから。すごく面白かったし、観た後に人生に影響を貰える、そういう舞台まあ舞台だった。
👨うん。
👩私も自分が立つときに、本当にちょびっとでいいから、針の先ぐらいのちょびっとでいいから。だれかの人生を少しだけ、ほんの少しだけ変えたいって。影響を与えたいって思っているんですね。
👨まあ、針の先どころではないこともよくあるよね。
👩うんそう、よくある、よくあるけれど。なんかちょっとでいいから変えたいと思っている。今回のはとっても、とっても、面白かった。自分のことをすごく振り返ることができた。無知の知、無知の無知とかそのあたりのことを考えることができました。あと、すごく普通にそこにあるから、言葉の少しの…本当にちょっとしたことに、ああ確かにそうだよなと思うことがいっぱいあって。なんでしょうね、なんていっていいか分からないけれど。
👨うん。
👩私は好きになった人が男性だったことも女性だったこともあって。だから、なんでしょうね。今私がわかることしかわからないけど。人それぞれに違うよなって思いながら生きていきたいですよね。凄く単純で…難しい事なのかもしれないけれど。
👨あとね、一つ思ったのは、なんていうの、たとえば物語によっては歴史の話でこうなりました、こうなりましたということを頭の中でどんどんロジックを組み立てていくように渡されて広がっていくような舞台もあるけれど、これってそうではなくて、頭の中で考えるのと、無意識で、たとえば肌感覚でわかってくるものとの中間くらいでいろんなものがやってくるんですよ。
👩うんうん。
👨それが頭のなかで全部それを組み上がっちゃうと、多分男の私は男を好きになったことがないから、舞台上の人物が女性を好きになるという感覚が分からないって言う話で感想も丸まってしまうのだけれど、ああいう空気でああいう訪れ方をすると、私は女でもないし、性というものについてちゃんとしたアイデンディティがあるにも関わらず、舞台上のそれに対する感情なんかは別のところで入り込んでくるのね、心のなかに。
👩ふんふんふん。
👨うまく言えないのだけれど、その第七官くらいですごくわかるような感覚というのがあの舞台の中にはあるんですよ。
👩うん。
👨で、それはその舞台の力でもあるし、あとやっぱり俳優の人たちが抱いたものが単純に表面にでる以外のところでなにかをこう上手く演じている、というか震わせているという風に感じていて。で、それがこちらにも伝わってくる。
👩うん。
👨あの、最後にさ、同じクレヨンだったか色鉛筆をプレゼントに渡したシーンがあったときの。
👩お誕生日会でプレゼントをみんながもってきて渡す。それが、恋人と今日初めて会った人で被るんですよね。
👨あの感覚って多分台本で読んでもわからないんですよ。きっと。
👩うん。
👨最後に二人がああ、ああいう人なんだねって感じることができるのは、あの舞台のあの空気のなかであの場に居合わせて初めてわかる、そういうその人に対する感情とか想いだったりするじゃないですか。
👩うん。
👨あれはもうけっこうあからさまなんだけれど、それ以外にもいろんなそういうちっちゃな仕掛けっていうのがこちらの意識しないところでぽん、ぽん、と入り込んでいたような気がするのね、観ていて。
👩うんうん。
👨それが、まあ寺十吾さんの演出の旨さでもあるし、俳優さん達の底力でもあるし、もともと作家の高木さんというのも、あんな感じの太っちょおじさんだけれど、にもかかわらず凄く書くことの繊細さというか、あからさまさでキツいところもあるのだけれど、その裏にある繊細さというものを紡げる人だから。
👩うん。
👨それらの総合力にやられたような気もしましたけれど。あれを映像にとか映画にするとまた違ってしまうのだろうという気もするし。うん。
👩そうですね。
👨まあ、余韻は残りましたよね。
👩うん。いろいろ考えることができる良い舞台でしたね。
👨寺十吾さんはいろいろやってくださいますからね。
👩うふふふ、おもしろかった。
👨高木さんとのコンビで前に観た作品では、めっちゃ建て込まれた舞台上の家がホラーハウスのようになっていて、雷鳴とどろいて扉がバタバタいう、今回の繊細さとは真逆のような話でもあったから。
👩えええ
👨あと、凄くエグい血族の因縁の話だとかね。
👩おもしろそう。
👨お好きかもしれないけれど。ふふ。まあね、寺十吾さんはどこに演出の主眼を置くかというか、その戯曲のどこにインパクトを与えるかということを一件ずつ物凄く考えて作っていらっしゃるのだろうなぁというのを感じる。
👩また観たいです。
👨観たいですね。「鵺的」はやっぱり人気がありますよね。
👩今回の公演もすぐ一杯になったと聞きました。
👨えーと、あれは一人一人の女優さんを大好きなおじさま方がたんといらっしゃったりもするので。
👩うふふふ。
👨あのキャスト陣であれば観劇おじさんたちは狂喜乱舞でしょ。
👩そうなんですか。そうかぁ。でもね!それだけで観ているわけではないから、みんな。
👨まあね。もちろん。
👩観劇おじさんと言われる方は。純粋な方が多いと思いますよ。
👨でも、チラシを初めて観た瞬間に私は直感的に、これはもう足が早いなと思いましたものね。
👩さすが。
👨うん、もう、あっという間に売り切れてしまいましたね。で、今って、昔ほどスムーズには公演の情報が伝わらないようなところもまだあるので、地団駄を踏んだ方も何人か知っていますけれど。
👩へぇー。
👨悔しいと。
👩あははは、はは。観たかったと。
👨で、毎日少しずつ当日券が出て、それでなんとか観ることができた人もいて、その歓喜をツイッターに綴られているのを目撃もしましたけれど。
👩あははは。
👨神は見捨てなかったみたいにね。
👩よかったねぇ。
👨そう。演劇の神様はそんなに性悪じゃないんですよって。
👩みてるねぇ。
👨そうそう。でも本当に、高木さんも寺十さんもほんとうに魅力的な作家であり演出家であるので、彼らの舞台をまた観たいですよね。
👩うん、そうですね。
👨はい。

パーシモンホール2

👩そうして、もうひとつが
👨「柳の家の会」ですね。
👩はい。これは落語の会です。
👨古典芸能ですね、うふふ。
👩喬太郎師匠が出ていらっしゃって。喬太郎師匠大好きなので、面白かったです、すごく。
👨喬太郎師匠の噺はあれが初演ではなくて、噂だけは聞いたことがあって、いわば伝説の噺ではあるのですよ。
👩ほうほう。
👨私的には喬太郎師匠的な伝説噺としてはあの噺と、あとコロッケそばの噺というのがあって。
👩あのう、あれですね、「コロッケそば」と今回の「二階ぞめき」でしたっけ。
👨「二階ぞめき」の悪い言葉でいえば焼き直し、良い言葉だと発展系の噺ですよね。「コロッケそば」はそれだけで噺としてやられることもあるみたいなのですけれど。「時そば」の長い枕になったりもしているらしいのですけれど。
👩あの、有名ですよね、喬太郎師匠の「コロッケそば」は。コロッケの形はしております!っていう。かわいらしい。
👨で、わたしもコロッケそばは聴いたことがあるし、スナックランドの噂についてもいろいろ聞いていたのですけれど。
👩はい。
👨で、スナックランドの方は、私はいい歳こいているからその舞台になった池袋のその場所の当時のありようも知っているんですよね。
👩うんうん。
👨だから、前から聴いてみたくて、噺に入った時はあぁこれかっていう悦びに満ち溢れて。正直感動しました。だけどあの『スナックランドぞめき』を花緑師匠の『二階ぞめき』に天丼にしてやるっていう破壊力はすごいよね。
👩はい。最初に前座の方がね
👨うん、いっ休さんが前座噺で『狸札』をやられて。いっ休さんも浮つかず落ち着いていて上手かったですよね。
👩いっ休さん、花緑師匠、
👨花緑師匠はもう、すました顔で古典の『二階ぞめき』。『二階ぞめき』というのは昔上方から持ち込まれた噺だったかもですけれど、
👩うんうん。
👨花緑師匠はその華やかさを失わずに江戸前に綺麗に演じて、洒脱で良い高座だった。で仲入り後の喬太郎師匠も最初の内はしらっと東京二十三区をいじるようなはなしを枕に振り始めたんですよね。
👩えーと、順番からいうと、いっ休さん、花緑師匠、喬太郎師匠、えーと最後が・・・
👨柳亭市馬師匠ですね。
👩の、四人の落語会だったんですよね。で、花緑師匠が古典でしっかりと『二階ぞめき』をやったあとに、喬太郎師匠の出番だったのですけれど。
👨そうそう。
👩会場がね、落語会で馴染みのある、目黒のパーシモンホールでしたっけ。
👨うん。
👩だから、まずは、最寄り駅の東急東横線から。東横線のなになに駅はちょっとお高くとまっているとか、なになに駅はガラが悪いとか、ホール最寄り駅の都立大学とか学芸大学はなんかポヤァっとしていますねみたいなはなしをしてくださって。
👨田園調布は気取っているとかくさしたりしてね。
👩で、東京都内をそれになぞらえてではないけれど、何区はこんな感じ、何区はこんな感じって話していて、で、喬太郎師匠が豊島区に住んでいらっしゃるから、いや豊島区はと。池袋は一応けっこうな繁華街だけどというはなしから、なんとも言えない雰囲気のある街だよねってなり、そこからなつかし池袋みたいなはなしになるんですよね。
👨そうです、そうです。自分が若いころの池袋はというはなしになるんですよね。
👩で、そこから『二階ぞめき』に繋がるんですよね。
👨ものすごく、超大な段取りというかまくらだったよね、振りというか。
👩すごい長いまくらだった。ただ、喬太郎師匠も今日はちょっとどつぼに嵌まっているなみたなことを仰っていて、
👨来るまでは『転宅』をやろうと思ってたみたいなことをしらっとおっしゃってましたよね、うふふ。
👩おっしゃってましたねぇー
👨で、その立て付けは完全な『二階ぞめき』なわけじゃないですか、あれっていうのは。
👩うん。
👨だから終わってから後ろの席のご夫婦が「同じような噺をするなぁって思った」って話してたけれど、おっしゃるとおりだよね、うふふ。
👩まさにそのとおりですよ
👨寄席っていうか落語の会っていうのは同じ噺をするのは本来タブーなんで。
👩でも、喬太郎師匠がおっしゃってましたものね、出番の前に、花緑師匠が『二階ぞめき』をやっているのは知っていて、ちゃんと両師匠にご挨拶をして許可を貰っているっておっしゃっていたので。お心の広い方だなぁと。
👨あとで調べたら、花緑師匠の『二階ぞめき』に重ねてやるのは前科もあるみたいですしね。で、やり終わったら、のたうち回って乱れた高座を前座さんを差し止めてちゃんと自分で直してね、座布団もめくりも自分で返してね
👩で、下手に捌ける前に次の市馬師匠に土下座をして頭を下げてね。
👨あはははは。
👩で、市馬師匠も、座ると「ほんとうにいろいろと思うところとか文句もございますでしょうが」って一言いって本当にすっと噺に入られるという、あればもすごくいぶし銀というか、かっこいいなぁと思って観てました。
👨『らくだ』っていうのは大ネタですからね。
👩うんうんうん。
👨そんなねぇ、ちょっとやそっとのネタではもしかしたら駄目だとおもったのかもしれないですね。あの喬太郎師匠の作った空気に対しては。
👩あは、あははは。そうかもしれないですね、いやぁおもしろかった。
👨あのスナックランドの雰囲気を塗り替えるには,死人を起こしてかんかんのうでも踊らせるしかないんじゃないかという。で、くずやさんがとても繊細に血がかよってまっとうな人物造形でよかった。
👩そうですね。ところで、喬太郎師匠のあの噺の名前はなんていうのだろうとおもったら『スナックランドぞめき』っていうね。
👨そうそう、そのままやないか、ほんまに。あはは。
👩スナックランドというのは、池袋にあった、ほんとに安い、あのーー…
👨場末感満載な、
👩フードコートといっちゃいけないくらいの感じのフードコートみたいなところがあったらしいんですよね。
👨そうそう、だから私はリアルで知っていて。フードコートからおしゃれとか清潔感を抜き去るとあんな感じになるんですよ。
👩それが懐かしいと。あそこの隅にあったお寿司やさんとか、昔は怖くていけなかったしお金もなくていけなかったけれど、いまなら行っちゃうねみたいな。
👨そうそうそう。
👩すごく郷愁をね、感じる。師匠のなつかしさがひしひしとこちら側にも伝わってくる。
👨私も若い頃あそこには出入りしたけれど、さすがにあのお寿司屋さんにいく勇気はなかったですよ。
👩ほぉ、すごいところだ。いやぁ、でも本当におもしろかった。落語、落語会も大変みたいですからね。
👨そうですね。でもまあ、会場によっては一時期客席数半分だったのが戻ったので、そういうところでは採算ということを前ほどは考えずに落語会ができるようになったという話はあるみたいですね。
👩うんうん。
👨まあ、それでもね、今でも半分とかそれなりに減らしてやっているところもけっこうあるみたいなのだけれど。でも、座席がフルでも怖いとは感じなかった。
👩ちゃんとルールを守ってやっていらっしゃいましたし、すごくしっかりと感染症対策はやっていらっしゃったので、もちろん。うん、安心して観ることができました。
👨特に公共の劇場はね、どこもちゃんとしますよ。ほんとに。
👩そうですね。
👨もちろん普通の劇場も緩いわけではなくて、ちゃんとすごく厳しいのだけれど、それにもまして、公共劇場としてのプライドもあるみたいで。
👩うん。
👨ましてや,パーシモンホールでは大ホールの反対側でコロナワクチンの接種もやっていたから。
👩ああ、そうなんだ。知らなかった。
👨あそこで感染者を出したら、それはもう目黒区の沽券に関わると思っているのではと。うふふ。
👩あははは。
👨だってまずいでしょ。片っぽで一生懸命ワクチンの接種をやっているその反対側でクラスターを発生させてしまったら。マッチポンプでやっているみたいなものじゃないですか。
👩それはたしかに。
👨でもほんと、あそこまでこういろんな人が感染予防ということでやっていただいているのはありがたいし。観る方からすると。
👩そうですね。うんうん。
👨感謝しかない。
👩いやぁ、今回は2本の観てきた舞台とね、落語の会のお話をさせていただきましたが。次回はなんの話ができますかねぇ。
👨そうですね。私はその後にも何本か観ていて、やっぱりもうコロナじゃないなぁっていう、まえにもちょっとお話ししましたけれど、なんだろ、コロナを超えて舞台でみんなが自分が話したいことを言えるようになってきたなって思っていて。 
👩うんうん、特に舞台なんかだとそうですね。
👨そうです、そうです。まあまた非常事態宣言になったりはしているけれど、1次や2次のようになんでもダメダメ非常事態宣言とは、こう雰囲気が違うじゃないですか。
👩うんうん。
👨あのころのなんでもいいからとにかくやめろみたいなね。そういうものとはちょっと変わってきているんで。だからなんか新しい、そういう、またお芝居を観てきたものお話をすると。また一緒にじゃなくても同じ物を観てきたら、そのお話もできればよいかなぁとは思っていますけれど。
👩そうですね、新しいなにかこう・・、また。どういうものができるんだろう?私たちもアンテナを張って観ていきたいな、ご紹介できたらなと思います。
👨けっこうあれなんですよ。前にコロナで諦めた公演のリベンジとか再演とかも何本か出てきているみたいだし。 
👩それは頑張って欲しいですね。本当に。
👨一度仕込んだものはちゃんと回収するみたいなね。
👩そうですね、作った物は消えないし、消してほしくない。
👨そうです。さてと、ということでまた次回ということにいたしましょうか。
👩はい。
👨では、演劇のおじさんと
👩おねえさんでした。ありがとうございました。
👨ありがとうございました。みなさま、コロナ対策をしっかりとしてお過ごしくださいませ。

(ご参考)
① 鵺的『夜行会』は
2021年7月1日から7日までサンモールスタジオで上演されました。
作 : 高木登 
演出 :寺十吾(tsumazuki no ishi)
出演: 青山祥子(贅沢貧乏)、奥野亮子(鵺的)、笠島智、
ハマカワフミエ、福永マリカ

② 「柳の家の会」 はめぐろパーシモンホール 大ホールにて。
2021年7月7日 18時30分開演
演目は以下のとおり
春風亭いっ休「狸札」
柳家花緑「二階ぞめき」
 お仲入り
柳家喬太郎「スナックランドぞめき」
柳亭市馬「らくだ」

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