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2024年5月18日の乾杯

新しい乾杯。ゴールデンウィークの公演ラッシュ、5月中旬にはこまばアゴラ劇場が閉館、すこし落ち着いてきた今、気がつけば季節は歩みをすすめ初夏の日差しに梅雨の気配も。
そんな毎日のいろいろなことをまたふたりで語り合います。

👨演劇のおじさんと
👩おねえさんです。よろしくお願いします。
👨よろしくお願いします。連休も過ぎて、日常の生活を暫く続けたらもう初夏の 気候になってしまいましたね。。
👩あっという間にそうですね。でもまあ、あれじゃないですか。寒かったり暑かったりはするので気が抜けないなって感じですけど。
👨あとなんかお天気もなんか荒れた日があったりとかね。
👩ああ、そうですね。
👨振り返ると連休中は観劇おじさんにとっては大変でしたけどね。
👩忙しかったですよね、きっと。
👨私を含めて観劇好きはみんな忙しかったですよね。ものすごい量のお芝居がその時期に集まってしまったので。
👩そうだね、みんなこの時期にやるよね?
👨うんまあ、その分良きお芝居に巡り会う機会も多くて。その中でも。あの、「アガリスエンターテイメント」は面白かったですけどね。
👩アガリスクエンターティメント」!

アガリスクエンターテイメント@シアタートップス

👨うん、今やもうあの三越劇場でも芝居を作るという富坂さんの。
👩すごいなーーー。
👨もうなんかメジャーの作り手まであと何センチみたいなとこまで来ましたよね。もしかしたら既に踏み越えているかも知れない。 今回『なかなか失われない30年』というのはシアタートップスでやったんですけど、ほんと良く出来ていた、 その物語の舞台になるのが、この間閉館した、あのシアターミラクルってあったじゃないですか。あの、1階がケバブ屋さんの。
👩ありましたね。
👨同じ新宿のあそこを借景にしてるんですよ。『なかなか失われない30年』ということであのビルの4階の話なのだけれど。あそこの時空が歪んじゃうという設定でね。 電気点検の人が電源を切ったり入れたりするたびに2024年のその場所に1984年、2004年、2014年の世界がが出現していくという
👩へぇぇぇ
👨で、まあそういうシチュエーションはまさに 富坂さんの腕の見せ所だから。
👩はいはい。
👨なんか時空間のパラドックスも上手く差し入れて。それぞれの時代に起こっていることのこれはできてあれはできないみたいな話がうまく絡まっていって。
👩面白そう。
👨1994年当時のその場所は。 貸金の事務所という設定で。200年年はデリヘルの女性の待機場所になっていて。2014年にはもうあの場所はシアターミラクルで、そこの楽屋が出現してね。で、起点になる2024年はそのビルを相続した新しいオーナーがビルを売るために新しいオーナーを待っているという設定なんだけどね。
👩面白いですね。
👨そこに電気設備の定期点検をする人がやってきて、言ったようにって入れるって入れるたびにどんどん時代が増えていくという。
👩なるほど。そういうのをやらせると、富坂さんは天才。
👨ほんとそう、
👩そうですよね。天才ですね。また、なんかね、そういうのって冨坂さんっぽいなぁって。なんかイズムがありますよね。
👨そうそう。だからここ一番でね、なんかあの時空のパラドックスを縦にとってやらせないとかね。なんかあのほら、同じ時代に二つのものがあって、その空間にあるものが時代が違うから空間のそとでは受渡しができない受け渡しができないみたいな話もあって、でもはそれがそのままその空間に放置されて十年経ったものになったら大丈夫なのではないかとかいって。必要なものを使っていない倉庫にそのままにしておいたら、十年後の世界の人間にも使えることに気がついたりとか。
👩あははは。
👨ああいう屁理屈とまではいわないけれど、ちょっとこじつけっぽいものににわかりやすく観る側を巻きこむのがほんと上手いよね、それが観る側の頭を巡らせるし歯ごたえにもなるし。またアガリスクエンターテイメントは界隈のひとたちを含めて俳優たちがしっかりと育ったからね。その人たちを中心に客演も入れて、毎回話は自由に膨らむし、そのお芝居にも抜群の安感感があるしね。
👩うんうん。
👨その中でも古い俳優さんたちは個性を存分に生かしていい味出してるし。
👩はい。
👨そういう劇団だから、やっぱり実力派の俳優さんたちも集まってくるしね。
👩うん、そうですね。
👨またトップスという会場も、彼らがやるには使い勝手がよさそうな大きさでね。もちろんそれよりもずっと大きいところでも、彼らは普通にやったりはしているんだけど。、冨坂さんとか、それこそあの東宝系のところとか、大きなところでもやってるんだけど、でもやっぱりこういろんな細かいことが呼吸映える映えるのは、あのぐらいの大きさなのかもしれないなぁとか思ったりもして。。
👩うんうん。
👨 もう結構ハマってしまって。本当は二回目を観に行きたかったのですよ。
👩ああ、そうですよね。あのわかった状態で見るとまた全然違いますよね、きっと。。
👨そう、違うじゃないですか。でも連休中は予定が立て込んでいて劇場に足を運ぶ時間が全然なくて。それでさぁ、本当に久しぶり自分が観た舞台の配信を買っちゃいましたよ。 でね、自宅でゆったりとリラックスして観て、そうすると、やっぱり全部をちゃんと観ていると思っていても観ていないところってあるんだよね。劇場での抜けがけっこうあった。 ここは見落としていたみたいなところも何カ所かあって。 そういう気づきも振り返ってみるととても面白い。
👩はい。
👨昔東京サンシャインボーイズという劇団があってね、その、三谷幸喜さんのところね。で.そこがみるみる大人気劇団になって、それに寄り添うように三谷さんはもちろん俳優さん達もみんながっつりと実力をつけて、劇団では収まりきれなくなって巣立っていったじゃないですか
👩はいはい。
👨アガリスクエンターティメントも、解散しなくても活動の一部はそんな感じになるのではないかなぁと言う気がするのね。
👩そうなっていくのかなぁ。
👨まあしらんけど、そういうビジョンもみえてきているのではないかなぁと思って。ここまで歩んでスケールと力がついてきているじゃないですか。。
👩目標というか、順調に歩いて行っている気がしますからねぇ。
👨そうそう、昔なんかだと、ほら、小劇場すごろくとか言って、本多劇場がが上がり、なんていうのがあったけど。
👩あぁー、ありましたねぇ。
👨でも、本多劇場くらいじゃあがりではないのよというところまで踏み出しているし。
👩そりゃそうです。 どこまでだって行けるんだから。
👨なんかね。それこそこの切符はどこまででも行ける切符なんだよっていう銀河鉄道の夜の車掌のせりふもありましたしね。
👩実際にいけるかどうかかどうかはまだ分からない厳しい世界でもあるけれど。そうね、
👨あと、その銀河鉄道に乗り損なっちゃった観客も出てるとか色々あるだろうしね。まあ正直冨坂さんの三越劇場はさすがにあのお値段高くて見には行きにくいんだけど。
👩そうですね。
👨ええ、やっぱりあの・・・、5桁の木戸銭になってしまうとね。そうなるとなかなか。
👩入場料が?それってすごいね。でもそれはそれで面白いのだろうとおもうけれど
👨鈴木保奈美さんも出るみたいだからね。そのバリューだけでも何千円かは上がるよねっていう感じがするんだけどね。
👩なるほど。
👨あのちょっと話題は変わるんですけどね。 そのまあ銀河鉄道の話もしたことですし。 サヨナラ公演で『銀河鉄道の夜』がかかったこまばアゴラ劇場のお話も。ついに閉館してしまいましたね。
👩ええ、そうですね。物事には始まりがあれば 終わりもあるからな。
👨それにしてもやっぱり40年は長いし偉大だよね。
👩終わってしまったかと。 うん。

青年団@こまばアゴラ劇場

👨ラストラストソワレっていうか劇場としての最終公演を見ることができたのですけど。最後の演目として『阿房列車』と『思い出せない夢のいくつか』という2演目を同じセットで交互に上演して。『阿房列車』は公演の初日に観てね。その時にも淡々と劇場の時間が流れていくのが印象的で。。
👩はいはい。
👨そしてアゴラ劇場最後の公演になった『思い出せない夢のいくつか』を観たのだけれど。なんかね、もっとこう悲しい思いに劇場が満ちると思っていたら、いつも観客が集うアゴラのごとく普通に時間が流れて。むかしコアにアゴラ通いをしていた観客のあいだではそのルーティンを含めて出勤とか呼んでいたこともあったけれど、観劇の日常が息づいていてね。そういう感じで最後という意識もあまりせずに、なんか淡々と時間が進んで、最後のカーテンコールのダブルで平田オリザさんが出てきてちょっと挨拶をしたっていうだけがいつもとは違う特別で。でもさ、 普通のリズムで開場時からその劇場に入って、開演を待って、そうすると自然に心がお芝居に向い自然に舞台に集中できたし、それが出来るのがこの劇場の値打ちだとも思った。 お芝居が終わって拍手して、ロビーで物販を見て、少しお話もさせて頂いて、そうして三々五々に家路をたどる、さすがにまだ劇場が見えるところで1度2度と振り返ったりはしたけれど、大仰にになることなく自然に閉館した劇場として記憶に刻まれるみたいな感じだった。 それはある意味意外だったのだけれど、でもこまばアゴラ劇場ってそういう矜持が貫かれた場所だったなぁという感じもしてね。
👩うん。
👩たくさんの創意や工夫をぶちこみつつ、愚直に演劇がただずっと生まれ続けた場所だったなって。まあ、振り返ったら観客たちにとってはあそこってその演劇を観ることの学校だったみたいなところでもあったけれど。。
👨ああ、わかるなあ。。
👩アゴラの支援会員って昔は自由に何度でも予約が出来て、それは一部の心無い会員のために予約状態になっているのは一公演に一回というきまりができたりもしたのだけれど、一度観て再度もう一度予約というのはできたわけで。そうすると、都度木戸銭を払って再度の観劇というのは違う、いわば観劇欲への箍が外されたみたいなところがあって
👩うんうん。
👨するとね。演劇には当然面白いものもそうでないものもあって、またそのその観客に合う合わないということもは当然にあるのだけど。 でもね、私なんかにしてもそうなんだけど、この制度に乗っかると、ただ理解できない、わからない、おもしろうないで終わってしまうのではなくて、この舞台の何がわからないのだろうとかこが理解できないのだろう、みたいなことに考えが巡る思う余裕が与えられるのよ。そのような仕組みの中だと、 うんうんだからこの芝居は面白くないけれど心にひっかかるとか、どこが面白いのかわからないけれど心惹かれるものがあるとか自分が舞台に抱いたものを思索する間口が少しずつ広がってくる。もっと嵌り傾いでいくと理解できないからこそのめり込んでいくみたいな感じも生まれてきてね。
👩うんうんうん。
👨あるいはもうわかん、全然わかんなくて悔しい、 だからもう一回観に行きたいみたいなことも起こったりする。
👩あはは、なるほど。
👨そういうのを世間では意地になるとも言いますけれどね。 でもね、なんかお芝居が年間でいくらっていうサブスク風になって。 その中で演じる側がとにかくお芝居をお互いに観たり見せたりしましょうねっていう関係だからこそ、深みに入ったというか、深くまで至った境地というのは絶対にあって。
👩あぁ。
👨そうして舞台を観ることにいろんな新たな風景が出てきたような気がするんだよね、アゴラに通い出してから。考なんていうのか。わからないお芝居に何故わざわざ喰ら観なきゃ観なきゃいけないんだっていうふうに言われちゃうと、私も説得力を持った回答ってないのだけど。
👧でもやるからこそわかることというか、そうして観ているからわかることもあるのだろとおもうし。きっと実際あるから。こまばアゴラ劇場いうのはそういう意味で場であり学校で、今コアに演劇を観ている人のなかにはここでいろんなことを知ったり学んだりした人も多いのではないかと思う。
👨はいはい。そうだね。
👩うん。
👨まあ、それがなくなってしまうということは、正直去年の今頃には想像もしていなかったしね。また、それはこういうことがないと気づかないことでもあるのだけれどね。 青年団の首都圏でのもうひとつの劇場であるアトリエ春風舎は残るのだけれど、そうであっても アゴラ劇場が築いてきた文化は、多分一年とか二年とかして、なんかボディブローのように効いてくるというか、やっぱり時代は変わって今までのように歩んではいかないのだろうなという気はする。
👧育てられていたということが。
👨そう。 もともとほら、こまばアゴラ劇場のホームページを支援会員についての説明を見るとループみたいな絵が描いてあって。 あの観客も育つし演劇も育つみたいなウィンウィンの関係を標榜してたわけじゃない。
👩そうですね。
👨平田オリザさんはあの劇場でそういう理想をブレることなくしっかりと守り育てたのだなと。今にして思うとね、そんな感じはしますけどね。 まあでも、そういうこととは別腹でも、駒場東大前っていう駅に降りることはもうないんだろうなとか思うと寂しかったりもするのだけれどね。
👩わかりませんよ。
👨えぇ、なんで?
👩いや、また何かそこに同じような 場ができるかもかもしれない!
👨ああー、まあね。 もしあのアゴラ劇場買ったのがどこかの劇場グループだったりしたら、そういうことはあり得るよね。箱としてはよい劇場だったとおもうし
👩うん。なんなら、これまでのような劇場として残らなくても。あのあたりのどこかしらでやる人たちはいるかもしれない。 むしろちょっといそうじゃないですか。
👨それは確かにあるかもしれないね。
👩だからそういうことがあればきっとあのあたりにも行くことになりますよ。
👨まあ、閉館近くになって観劇おじさんどおしで話もしたんだけど。こまばアゴラ劇場がなくなったから演劇見るのやめるという人は一人もいなかったしな。
👩そりゃそうだ。
👨でも一方で、なにかが無くなった時にはなにか補完していかないと演劇がじり貧になってしまうからね。まあ今後はアトリエ春風舎の公演がとても立て込むみたいなことはあるのだろうけけれど、それだけで解決できるほどこまばアゴラ劇場の存在は小さくなかったし、 そういうことも考えた。 なんかでも。 こう、そういうのがなくなった時になにかがやっ補完補完していかないと。
👩そうですね、ええ。
👨そういえば、ゴールデンウィーク中に劇団未来の公演があったのだけれど、それがこまばアゴラ劇場の最後の外部団体による公演でね。
👩うんうん。
👨劇団未来のお名前だけは前から知ってたんだけど、公演は初見で。関西の歴史ある劇団のひとつみたいで、要はまあ関西の文学座とか俳優座とかそんな感じの劇団なんですよ。 1964年の東京公演があってそれ以来60年ぶりに東京に来たそうで。
👩はいはい。
👨で、彼らは『パレードを待ちながら』という翻訳劇を上演したのだけれど。
👩うん。

劇団未来@こまばアゴラ劇場

👨カナダ作家の戯曲でね。日本でも既にいくつかの団体によって上演されているのだけれど、彼らはそれをオール関西弁で上演したのね。でね。 その関西弁の力ってやっぱりすごいんですよ。
👩うん?どういうことだろ。
👨あの、一般的に翻訳劇にはやはり翻訳劇の匂いみたいなものがあるじゃないですか。
👩あぁ、そうだね。
👨だけど、ネイティブなド関西弁で でそれを演じてもらえると、その匂いが全部吹っ飛ぶのよ。「何をおっしゃっるのですか?」とかいう台詞から気取りをとるには俳優のテクニックがかなりいるし観る側もそういう体感に慣れなければいけないのだけれど、「なんゆうてんのん」となった瞬間にそういうものが全部ふっとんでしまう。
👩あー、確かに。 それはそうかも。
👨その気取りっていうか構えがぶっとぶと会話劇の距離がスムーズになって距離にも絶妙なニュアンスがついて会話が流れていくわけですよ。 たとえば普通に下町のおばちゃん同士の臨場感をもった台詞の交わりになるから。一つ間違えば飴ちゃんぐらい出てくるかもだから。 それはびっくりするような発明でね。カナダのカルガリーというところでの物語なのだけど。 要はまあカナダの中でも地方都市の方の話なのね。あのなんていうかやっぱり東京ではないんですよ、カナダでもそこは。その地場のあの女の人たちの雰囲気みたいな物もそこはなとなく感じられてね。要は地方都市的なね。
👩ああ、そういうことね。
👩東京じゃなくて。それこそ静岡でも、名古屋でも大阪でも、あの九州でもやっぱり違うじゃないですか、 東京とは。その雰囲気が大阪弁で作られていることでの物語の訪れかたがヤッパリ違うのね。さっきも言ったとおり第二次世界大戦中のカナダの物語なのだけれど、日本との戦争はどうなるのだろうみたいな話も出てくるんだけど。でもね、それがあちらの話ですという意識と並行して、国が云々ではなく戦時の地方都市の日常生活であるという空気がこの舞台の空気にはあるのね。。
👩はいはい。
👨もちろん大阪弁翻訳劇が常に通用する話ではないことは分かっているのだけど
👩うん、それはそうよ。全部は無理よ。
👨でも、それでも、二度観をしたとき、これは発明だなぁって思って観ていた。戯曲もおもしろかったし、俳優もよかったですしね。
👩うんうん。だけど本当はね。別にその関西弁でなくてもなぁ、そうありたいなぁというのはあるのですけれどね。
👨それは俳優の立場からするとってこと?
👩うん。あとまあ、そのさあ、その翻訳された時期や時代とかにもよるしね、その言葉も。日本の言葉だって変わっていくから。
👨うん。。
👩そのあたりもまた難しいという。
👨なるほど。
👩いろんなことが許せば、一回その舞台用に翻訳をする必要すらあるのではという感じもするくらいだからね。
👨ああ、なるほどね。
👩でもまあ、そこまではできないからね。だからあのもともと戯曲の世界っていうのがあって、それをどう取るかみたいな話ってのあるんだよね。
👨だけど多分。 あれを標準語っていうか、普通にやったら普通にやった面白さなんだろうと思うんだけど。 なんかもっと、なんかなんてっていうのがどこかに残る気はする、あの。
👩でもね、それはね、おじさんが関西圏の頭の人だっていう。
👨それはまあ、思ったりもしたけれどね。。
👩これはね、東京の人だとやっぱりその。
👨言わんとしていることはわかる。けどその空気感っていうか、生活感まで感じるのはもしかしたら生まれということだけではない気もする。言葉の特性も関係しているかもしれないとは思うけれどね。
👩うん。かもしれないなとは思う。だから一面ではないよなとも思う。いろんな要素があ るなとも思う。
👨でも、あの語り口はひとつの可能性であるとは思ったんだよね?翻訳劇をより馴染みやすくするための。
👩あぁ、それはそうだね、あのなんだろうね、手っ取り早いなと思う。やっぱり関西弁って他の地域の方言とは違ってさ、もう根付いているからわかるある程度があるから。
👨うん。 まあね、それはあの吉本興業あたりの功績ですよね。
👩わかんないけど。 ああ、でもそうか。大阪の芸人さんはテレビに出た時にも関西弁とかを使うものね。
👨そうそう、関西の芸人さんは関東に来ても関西を曲げないじゃない。東京に出て来る時も。
👩うん。でも。 いい文化を作ってくれましたよね?
👨そのあたりって東北や九州のことばとはまた違うような、そのなんていうの?、伝わり方っていうのはあるじゃないですか。こんなこと言っちゃうと青森のみなさまに申し訳ないのだけど、あの津弁弁って関西弁などよりもっとベースの部分で分からないのですよ。全編津軽弁のお芝拝見拝見したことがあるけれど、その味わいや力はがっつりあるのだけれど、でもかなり大変。 だけど多分大阪弁がわからないって人は少ないと思うんだよね、今の日本には?
👩うん、今はね。
👨まあ、大阪弁でも汚い奴は例外だけれどね。
👩どんな?
👨「おんどれ。なにさらしとんねん」、みたいな。「あなたはなんということをおっしゃっていらっしゃるのですか」みたいな意味なのだけれど、その「さらしとんねん」っていうのがどういうニュアンスなのかは地場の人間じゃないとなかなか伝わらないかもしれない。
👩うん。
👨あと、わかったとしてもやっぱり言葉から受ける印象っていうのは明らかに違っていて。いわゆる標準語ってものと関西弁の温度とかって違うじゃないですか。そういう意味では、なんかその吉本が関西弁を東京に持ち込んで標準語みたいにしたことで、日本語ってよりたくさんの温度や匂いや空気を表現できるようになって、それはとても豊かなことなのではないかなっていう気はするんだよね。
👩功績はでかい。
👨うん。
👩そうですね。
👨ところで、おねえさんは最近なにかご覧になりました。
👩最近はねぇ。 ああ、最近『83歳の優しいスパイ』といういう映画を見。
ました。知り合いに勧めてもらって。めちゃめちゃ面白かったです。
👨それは日本映画ですか?
👩いいえ、どこだったかなぁ。海外なのですけれど。
👨それはロードショウかなにかで観たの?
👩いや、普通にサブスクで観ることができます。
👨へぇ、そうなんだ。これは、いまググったら、チリ映画ですね。
👩あの、これドキュメンタリーというか実話を元にした映画なんですけど。
👨そうなの?
👩とてもそうは思えないというか、そうなんだけどそうじゃないというか、これ観てほしいですね。観ないとわからんし説明もできない。
👨はいはい。サブスクなら気軽に観ることができるな。
👩83歳のおじいちゃんが探偵事務所の募集に応募して、特別養護老人ホームで母が暴力を受けていたりするのではないか調べて欲しいという娘の依頼をスパイとしてその入居者になって調べるという。
👨うん。
👩とにかくこのおじいちゃんがすごい紳士で、めちゃめちゃ面白いんです。ぜひ観てください。これはね、これはね。あのね、私が今ここで感想は言わない。もう是非観てほしいから。
👨あ、なるほど。そう言われるとなおさら観たいですね。
👩観たら、どうだろうねぇ、 いろんなことを考える、なんか優しい映画だった。切なくもあるし。
👨 うん。多分1時間とか2時間とかで見ちゃう映画でしょうしね。
👩確か。えーと90分とか100分ぐらいだったと思います。
👨あぁ、そのくらいなんだ。
👩えぇ、ぜひ観てほしいですね
👨あのゲゲゲの鬼太郎がどうして生まれたかっていう映画のと同じぐらいの時間だもんね。
👩そうそう『ゲゲゲの鬼太郎誕生の謎』も見ましたけどね。私はうーん。 あのなんだろうな、キャラクターとかはとても好きだけど、物語はあんまり。
👨うん。というかなんかあの手の。いや、あの手っていう言い方も失礼だけど、ああいう物語としてはなんかステレオタイプだったような気もするんだよね。 どこかありふれていたというか。
👩別に面白くないって言っているわけでは全然ないです。ただ、期待が大きかったから。なんというか、元々のゲゲゲの鬼太郎の方が好きだなって思っちゃったところはあります。もちろんいろんな人が楽しめる映画だったとは思うけど、ちょっとそこまで嵌らなかったなという感じでしたね。キャラクターがとてもいいのはわかるけれど。
👨私みたいなおじさんでもサブスクとか映画館でアニメを何本か観て、例えば『すずめの戸締まり』などを観るとその物語を組むクオリティが明らかに違う感じがして。 あれはきっと海外の人などでもすごく入り込んで観るのだろうと思わせるなにかがあったからね。
👩ゲゲゲの鬼太郎がどうっていうことではないんですけれどね、決して。
👨そう、だから結私も結局つまらなかったりスイッチを切ってしまうということでは全然なかったし、逆に面白がって見てはいたんだけどね。あと、映画っていうことで言えば、あのゴジラさんの-1.0もすごい面白かったけどね。 これもサブスクで観たけれど。
👩ああ、はい。
👨でも、演劇にしても映画にしても連休の頃などと比べると随分立て込み方も楽になりましたね。映画館に足を運んだりサブスクを観る時間も持てるようになってきたし。
👩はい。また、ちょっとゆとりを持っていろいろとみたいと思うんですけど。そろそろおすすめ行きましょうか?。
👨ちなみにおねえさんの方からなにかおすすめってありますか?。
👩いや、ないです。ぱっとは思いつかない。また、なにかおもいついたらお話しますけれど。
👨わかりました。あの、私の方のおすすめとしては、まず、「劇団きらら」が東京に来ます。
👩あ、聞いたことがあります。
👨熊本の劇団なんですよ。
👩はいはい、なんか前にも話しませんでしたっけ?
👨作品についてはだいぶ前にもお話ししたことがあるような気がする
👩ああ、そうですよね。
👨あと、もうすぐ「モダンスイマーズ」の公演がありますね。
👩へぇ。
👨どちらもまた詳細は書いておきますけれども。
👩お願いします。それはぜひ見に行きたいなというふうに思いますけれどもね。モダンスイマーズの公演はいつからなんですか?
👨ええっとね、6月8日から月末まで。けっこう長くやりますね。まあ、蓬莱さんの世界にはすごく惹かれるものがあって客もはいりますしね。
👩そのころには元気で観に行けますように。普通になっていますように。
👨ちなみにモダンスイマーズは前の芸劇の時もそうだった記憶があるのだけれど、今回も木戸銭を結構押えていてね、一般でも3000円だしU25だと2500円、高校生は1000円だしね。
👩へぇ。
👨そういうところにも惹かれるんですよね。
👨あとね、この間シアターRAKUという団体の公演を観てきたのですよ。流山児祥さんが主宰の劇団なのですけれどね。劇団員の平均年齢が68歳だという。
👩ああ、知ってるわ。はいはい。

シアターRAKU@スペース早稲田

👨私が演劇を見始めた時にはもうすでに当時としてのアングラ演劇をされていらっしゃったかたばかりだろうとおもうのですが。観客の方の年齢もやっぱり上の方が多くて。 でも、彼らってすごく幸せな人たちだなぁとも思うんだよね。だって30年とか40年ずっとそういう演劇を楽しみ続けることができているわけじゃないですか。
👩うん、そうですね。
👨流山児さんがそうやって作品を作り続ける限り観客も楽しみ続けていけるわけだし。
👩うん、そうね。場所はどこだったのですか。
👨スペース早稲田。
👩あぁ、そうか。一度行ったときに凄いところだなと思ったことがあって。
劇場はどこでしたっけ?
👨スペース早稲田ですね。
ああ、そっか。なんか一回行った時、すごいとこだなと思った覚えがあるんだけど、あそこかなぁ。もうだいぶ前すぎてもうなくなってるかもしれないですけど、
👨いや、それは知らないけど、少なくともスペース早稲田は随分むかしからあるみたいよ。
👩あれ、あそこじゃないかもしれないなぁ。
👨いや、劇団RAKUとしても公演はあちらこちらでされていたんですって。でもその流山児事務所の本拠地っていうのはあそこみたいで。 私ね、一度あそこで流山児さんと詩森ろばさんがコラボした公演を観にいったことがあるのですよ。その時にあの場所に踏み入ってその印象がずっと残っていてね。
👩へぇ。
👨で、ちょっと話を戻すのですけれど、演劇を縒り楽しむためには若い頃から見に行く機会があるって結構大事じゃないですか? その果実として劇団RAKUの観客や演劇空間というのはとても偉大だし、その一方でこれから若い人たちがそんな風に演劇に誘い込まれるためにはどうしたらいいかなこともあって。少なくともモダンスイマーズさんなり芸劇のチケット代の設定というのはそういうための試みでもあるような気がするのね。作品への期待も一杯ある舞台だし、加えてこのこともあって、だからぜひ私も推したいなと思っていて。
👩そうですね。
👨はい、ぜひご覧になって頂きたいと思います。
👩是非。
👨まあ、今日はそんなところですかね?
👩はい。
👨ということで、梅雨も近づいては来ますが、今のところは過ごしやすい時期なので。
👩そうですね。一番いい時期ですね。なんかそんなに寒すぎないし、まだそんなに暑くもないし。
👨また、いろいろと楽しみたいですね。
👩はい。また楽しみたいと思います。
👨 ということで、演劇のおじさんと。
👩おねえさんでした。
👨また、次回をおたのしみに。

こまばアゴラ劇場 劇場入り口階段

(ご参考)
・アガリスクエンターティメント『なかなか失われない30年』
2024年4月27日~5月6日@新宿シアタートップス
脚本・演出:冨坂友
出演: 淺越岳人、伊藤圭太、榎並夕起、
鹿島ゆきこ、古谷蓮、前田友里子、
矢吹ジャンプ(ファルスシアター)、(以上アガリスクエンターテイメント)
江益凛、兼行凜、菊池泰生、
北川竜二、斉藤コータ(コメディユニット磯川家)、
雛形羽衣、山下雷舞

・青年団『阿房列車』『思い出せない夢のいくつか』
2024年5月8日~15日@こまばアゴラ劇場
脚本・演出:平田オリザ
出演;
―阿房列車―
中藤奨、たむらみずほ、田崎小春、
―思い出せない夢のいくつかー
兵藤公美、大竹直、南風盛もえ

・劇団未来『パレードを待ちながら』
2024年5月3日~5月5日@こまばアゴラ劇場
脚本:ジョン・マレル
演出:しまよしみち
出演:肉戸恵美、池田佳菜子、前田都貴子、
三原和枝、北条あすか

・『83歳のやさしいスパイ』
原題:El agente topo
監督:マイテ・アルベルディ 
出演:セルヒオ・チャミー、ロムロ。エイトケン他
劇場公開日2021年7月9日
2020年制作 チリ・アメリカ・ドイツ・おらんだ・スペイン合作
上映時間:89分

・シアターRAKU『operettaめんどなさいばん』
脚本:北村想 演出:流山児祥
音楽:高橋牧(時々自動)振付:北村真実
出演:いそちゆき、出田君江、川本かず子
桐原三枝、佐野眞一、杉山智子
高野あっこ、内藤みつえ、永田たみ子
二階堂まり、西川みち子、原きよ
真木瑠理子、溝田勉、村田泉
めぐろあや、米田清美

(今後のおすすめ)
劇団きらら『きなこつみ物語(再演)』
2024年5月31日~6月2日@王子スタジオ1
脚本・演出:池田美樹
出演:森岡光(不思議少年)、磯田渉(不思議少年)、
オニムラルミ、手島一(フリー)、池田美樹

・モダンスイマーズ『雨とベンツと国道と私』
2024年6月8日~30日@東京芸術劇場シアターイースト
脚本・演出:蓬莱竜太
出演:古山憲太郎、津村知与支、小椋毅、
生越千晴、西條義将(以上モダンスイマーズ)、
山中志歩、名村辰、小林さやか


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