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2022年2月26日の乾杯

2022年2月26日の乾杯、コロナの勢いがまだ衰えない中、ヨーロッパでは戦争が始まって。そんななか、おじさんが触れることができた多くの団体の新しい表現たち。東京にこにこちゃん、お布団 CCS/SC 、シアターコモンズ2022で体験した、『女たちの黙示録』、『妖精の問題』。『吊り狂い』などの作品。エンニュイ、ほりぶん、柳家喬太郎師匠の勉強会、さらには倉田翠×飴屋法水。
今の世界とコロナの時期にもへたれることなくしっかりと力を蓄えたものたち、それらの表現の力について語り合います

👨演劇のおじさんと
👩おねえさんです。こんばんは。
👨こんばんは。
👩今日はなにか飲まれますか?
👨ああ、30秒だけ待って。折角だから、私は先日届いたばかりのシェリー酒を。
👩あけたてだからグラスに注ぐときに良い音がする。
👨お待たせしました。おねえさんは何を飲まれますか?
👩私はビールを飲みまーす。ぷしゅっと。
👨それでは、乾杯!
👩かんぱーい!
👨おいしい。それにつけても、ロシアのウクライナへの侵攻についてばびっくりしましたねぇ。
👩まさかこんなことが起こるとはなんてという…
👨コロナにしてもそうなのだけれど、ここのところ未来の教科書に新たな1ページが加わることが多すぎて。
👩本当に。
👨なんかね、死んだのが100人だとか200人だとかというようなニュースが淡々と飛び込んでくるのは脅威でしかないよね。
👩とんでもないことだよ。
👨事実は演劇より奇なりなんだなぁと。
👩うん…。
👨ウクライナって良いところらしいですよ、
👩へぇ!
👨あそこは穀倉地帯じゃないですか。しかも天然ガスなんかも出て。いろんな資源も抱負じゃないですか。本来はとても豊かな国みたいですよ。まあ、実はチェルノブイリなんかがあったりもするんだけれど。
👩うんうん。
👨私、昔々、ウクライナ人のお友達がいたのね。アメリカに住んでいたときに同じコンドミニアムで友達になって。彼の奥さんが本当に綺麗だったんですよね。
👩ええっ、もう、不純!(笑)
👨いや、そういうことではない!(笑)あのね、とってもおおらかなご夫婦だったんですよ。
👩なるほど。そのお二人のことは前にお聞きしたことあるかも?
👨うん、したかもしれない。
👩おおらかなご夫婦ということで思い出しました、今。
👨彼らが今どんな気持ちでいらっしゃるのかって考えただけでも胸が痛みますけれどね。
👩ああ…そうですね。
👨しかも、そんなことが起こっても、コロナは遠慮なく元気というか思ったほど落ち着かないし。私は3回目のワクチン接種が済んだから、まあ、けっこう普通に出かけたりしていますけれどね。
👩うらやましい。私はこれからですね。
👨あれは、来ましたか?摂種券は。
👩いえ、まだですねぇ。
👨私が住んでいる市はけっこういろんなアレンジが早くて、あっという間に来たんですよ。で、いろんな情報を見て、中和抗体最強と評判のファイザー→ファイザーからのモデルナで打ったら、ちゃんと立派な副反応も頂戴しまして。
👩大丈夫でしたか?お話しを伺ったときにすごく心配をしました。
👨元々体がどんくさいせいか、これまでそんなに発熱などをしたことってなかったのね。
👩はい。
👨それが接種翌日からこそこそと上がり始めて。なんか少し頭痛がするなって熱を測ったら38.5℃で。一番高いときには39.0℃くらいまでいったのかな。
👩それはだいぶ辛いのでは。
👨でもね、39℃あっても、それほど自覚も苦痛もなかったのよ。
👩うーん。
👨多少ふらふらはしてはいるけれど、寒気がするとか震えがくるとかそういう感じではなかったのね。ご飯も普通に食べられたし、賞味期限が切れそうなケーキとかもばくばくたべていたし。で、Eveを飲んで3日目の夜からはすっと熱も下がりだしましたけれどね。
👩うんうん
👨ただ、まあ過去の経験から自分を過信して、接種の翌日でなければ大丈夫だろうとおもって、お芝居を予約していたのですけれど、39℃の熱があるとさすがにそれはちょっと無理で。
👩駄目ですねぇ、それは。
👨いい歳した大人のモラルとして駄目だし、たとえ行ったとしても受付を通過できないしね。
👩入れませんよって言われちゃう。
👨うん、それでもね、午後から急に下がるかなぁとおもって午前中粘って薬ものんでみたのだけれど、その日はやっぱりだめで、泣く泣く。
👩そういう時に無理をなさらないでくださいね
👨うん、そうね。で、さすがに諦めて劇団の方に電話したらもう、極めて事務的に慣れた感じで二つ返事で「かしこまりました」って。でサクサクって別の日に振替の予約もしてもらって。
👩その辺りもう話が早くて助かりますよね。
👨制作の方にとっても、コロナ陽性とか副反応発熱が出ちゃうとそれはもう葵のご紋をみるような感じみたいで、もうこれが出たらしょうがないなって。
👩あははは。まあね
👨うん。まあでも、慣れは必要なのだと思う。しかしねぇ、もしこれで中和抗体が少ないとかいったら怒りますよ、私。
👩うふふふ。
👨あと、オミクロンとかがあってこれだけ患者数が増えても、依然と違って、まだあちらこちらでお芝居などを観ることが出来ているのはありがたいよね。
👩うんうん。
👨まあ、中止になったものも、一部休止になったものもそれなりにあるのだけれど、全体としては、前と違って、順調に公演しているものもあるので。
👩それは本当にいい。本当によかった。なくなってしまったらもうね。
👨うんそう。
👩あの、もうここまで来てしまうと、もしかしたら潰えてしまうような気がするじゃないですか。…もうなくなってしまうような気がするんだよね、舞台というものが。実際は、なくならないというのはよくわかったのだけれどさ。
👨たまたま最近大きい劇場の制作スタッフの方と立ち話をする機会があって、その方が唸るようにおっしゃっていたのが、
👩うん。
👨まあ、2年間はしょうがない。またなんとか頑張ろうと思う。でも3年目になるともう無理だ。予算とかも組めないし処理もできなくなってしまうって。
👩それは…それはそうだよね。うん。
👨そういうことを計画したり執行することが難しくなってくるって。で、そもそもスタッフの方達がへたれてきてしまうっておっしゃってましたね。
👩限界は来るよ。飲食店の方達がもう無理ですって言うのもわかるしさ。どこまでもというのは無理じゃないですか。頑張れるといかいうのをもう超えていてさ。とっくの昔に。
👨今回は飲食業も完全に駄目という感じにはなっていなくてさ、何時までならという制限も昔ほどではなくなっているしさ。
👩うん。
👨なにがなんでもダメという最初のころとは違って最低限殺さぬようにくらいのところまでの配慮というのはされているみたいだし。
👩まあ、そうですね。
👨そうあっても、事情はわかっていても腹はたつんだけれどさ。
👩本当に、ほんとうに。
👨今はそんな感じですよね。でも、そんな中でも、そう、前に美術館のことでも同じような話をしたけれど。演劇でも、2回中止になってそれでも頑張って3回目のチャレンジになると出来がとんでもなく良いという例もあって。
👩ふんふん
👨あの、先日「東京にこにこちゃん」という団体を観てきたんですよ。それがもう、抜群の出来でね。ほんと、練りに練ったのだろうなぁという感じがあって。
👩へぇ。
👨作品のタイトルが『どッきん☆どッきんメモリアルパレード』というなんかうすっぺらい感じで。
👩うふふ、そんな言い方。

東京にこにこちゃんPHOTO UP
東京にこにこちゃん『どッきん☆どッきん☆メモリアルパレード』


👨まあ、薄っぺらいって言ったら語弊があるけれども、少なくとも、青年座とか文学座とかで上演される演劇という感じのタイトルではないじゃないですか。
👩まあね。
👨ゲームの世界がテーマでね。恋愛シミュレーションっていうのかな。そのプレイヤーの男の子がゲームを進めて行くっていう態で、プレイヤーの男の子とゲームの中のインターフェイス役やキャラクターを俳優達が演じていくっていう態なのですけれど、それがねぇ、本当に良く出来ているのよ。
👩へぇ。
👨ゲームのパロディであることも含めて一瞬の笑いも作品全体で組んでいくものや、その中間のもの、いろんな天丼もしっかり作り込まれているし、揮発性のものや物語の尺をがっつり使って描くものもあって。あとさ、見た瞬間に彼女がこの中でヒロインをやるんだなと思われるキャラクターが、すごく雑に扱われたりもするのね。その役は赤猫座ちこさんが演じていたんだけれど。
👩ああ。
👨たとえばゲームをやっていて早く進めたいときにはキャラクターの台詞とかを言葉の途中にでどんどん飛ばしていけちゃうじゃないですか、それをされているところを彼女がとても律儀にコミカルに演じていて、申し訳ないけれどめっちゃ面白いの。なんだろうね、単純な面白さと、ひねりをもった面白さとがうまく混在しているような感じにもなっていて。
👩あはは。
👨観ていると、なんだろ、そういう懐が生まれそうな話ではないはずなのに、ひとつずつのシーンが組み上がっていくと、まるでゲームをやっているように取り込まれるし、演劇として描かれる顛末を楽しんでいる。白い布に映し出される映像の効果も効いていたし、観終わるとちゃんとカタルシスもあって。あとで知ったのだけれど、彼らはコロナ期間中2回上演延期の憂き目にあっているみたいなのね。その間にいろんな表現の工夫も生まれ構成もしっかり組めクオリティもぐいぐい上がったらしくて。ただ、事情がどうであってもこのクオリティというのは間違いなく魅力的で,東京にこにこちゃんについては今後の作品も追いかけてみたいなとおもいましたね。
👩なるほど。
👨あと、構成が作り込まれているという意味では得地弘基さんを中心としたお布団という団体あって、2月末までこまばアゴラ劇場でお布団CCS/SC『夜を治める者《#ナイトドミナント》』を上演しているのだけれど、この作品も昨年11月のワークインプログレスを経てさらに作り込まれていた、

お布団 UP
お布団 CSS/SC 1st Expantion『NIGHT DOMINANTー夜を治めるものー』


👩へぇ
👨一番外側の態はパソコンゲームなんですよ。字幕や「Now Loading」みたいな表示でキャラクターを導き入れるような仕掛けも使ってね。そのパソコンゲームの登場人物というのが、シェークスピアのハムレットから取り入れられているの、ハムレットがいたりオフィーリアがいたりフォーティンブラスがいたりみたいな、そういう役名を背負っているのだけれど、キャラクターの担い方もシェークスピアの世界から来ているのだけれど。でも、彼らはその戯曲上に定められたように動くキャラクターではなく、その設定をまとって心を病んでいる人たちなのね。で、その心を病んでいる状態で物語を作り出していくのだけれど、そこでは更に世界の中に別の人間が背負うものの概念、それはお化けだったり、吸血鬼だったり、人造人間だったり、幽霊だったり、もちろん人間だったりとか、ベースにある役割を与えられていくのですよ。
👩うんうんうん。
👨それで、ステージが進み、物語が構築されていく。TRPGみたいだってどなたかがおっしゃっていたけれど、みんなその役割を担ってその物語を進めていくみたいな感じなのね。そうすると、ゲームとして受け取っているものと、ハムレットとかシェークスピアのキャラクターの視座から観ている物と、その世界の構造ということで受け取り想像していくものと、あとそれらを俯瞰してみえてくるもの、それらがミルフィーユのように何層にも重なって新たな世界が浮かんでくるように感じられる。だからこそ見えてくるような心を病んだ人たちの心風景が浮かんでくる感じがあるのね。
👩へぇ、おもしろいですね。
👨ちなみに、CCS/CS=Crowds continuum shift/ Suicidal character、「病:制御不可能な/望まない/望まれない性質」ということだそうですけれどね。この公演、Aチーム、Bチームという一部ダブルキャストでやっていて。両方観たけれどその心の表現のありようとか印象が俳優ごとにだいぶ違っていて、だから同じフォーマットであるにもかかわらず、A/Bで訪れるものがかなり違っていたりもしてね。
👩ふむふむ
👨私はTRPGに詳しいわけではまったくないけれど、
👩私がよくお話ししているからね、
👨ちらちらと教えてはいただいているのですけれど、
👩うふふ、面白いよと。
👨うん。で、この仕組みだとひとつのフォーマットをいろんな面子で何回もできるというのは、同じような部分があるのかもしれないとも思って。
👩ああ、そうかもですね。
👨今回は共通の出演者がいるA/Bチームだけれど、さらに俳優が違えば、きっと違ったものができるのだろうなぁと思う。
👩それはね、確実にありますよ。それは、そう。違う物になるし、どこまでもいけるみたいな。
👨物語自体が違っているわけではなくても、AとBとで印象がかなりちがうというのは本当におもしろかった。印象が違ったというか心風景のようなものがとても違ったので。
👩ああ、はい。
👨ということは、このフォーマットで、また別の座組で上演したらそこには新しい世界がみえるのだろうなぁという、なんだろう、そういう可能性はとても魅力的だと思ったりもしてね。
👩うんうん。
👨そこまでこういうことを強く感じるお芝居ってこれまであんまり観たことがなかったので、
👩ああ、そうなんですか?意外です。
👨いや、演劇として、ひとつの公演での振れ幅の大きさとしてね。
👩演劇としても、そうなのだとしたら意外だなぁと思って。なんとなく。
👨演劇ってあるひとつのフォーマットに対してどれだけの距離があるかみたいなところがあるじゃないですか。
👩うん、ありますね。
👨だけど、この作品というのは、その距離が定まらないままでのいろんな違いが現れてくるような感覚があって。うまく言えないのだけれどね、ひとつの新しいやり方を観たなっていう気がしたのね。
👩なるほどぉ・・それはよいものを観ましたね。
👨そう。あと、話は変わるけれど、シアターコモンズっていう演劇祭を今やっていてね。市原佐都子さんという岸田國士戯曲賞を取られた作家・演出家の方が、えーと団体名で言うと「Q」が『妖精の問題 デラックス』という作品を上演していて。
👩デラックス?

妖精の問題 UP
市原佐都子(Q)『妖精の問題 デラックス』

👨で、この作品は4~5年前かなぁ、こまばアゴラ劇場でも観たのですが、今回なにがデラックスかというと、3部構成の第一部で落語で観た部分が漫才に変わった。ブスネタの漫才なのですけれどね。
👩なるほど。
👨それから、第二部ではとても貧乏っぽいカップルの家にゴキブリがでて、妻はホウ酸だんごをつくるんだけれど食べなくて旦那がバルサンを5個たいてみたいな話があるのだけれど、それが生演奏でのミュージカル仕立てになっていて。
👩ほう。
👨第三部はちょっと、女性にはちょっと言いにくい言葉なんだけれど、
👩はい。
👨ヨーグルトってあるじゃないですか。
👩ああ、はい。ありますね。
👨で、これはそのまま。舞台で演じられたままだよ。
👩うん。👨それをもとに、マングルトを作るって言う話で。
👩うわぁああ。
👨女性の子宮内には乳酸菌がいるから、そこのところに毎日牛乳を流し込んで、ちょっと暑いのだけけれど我慢して40℃ぐらいの寝床でひとばん過ごせば、翌朝にはマングルトが出来ますと。
👩はい。
👨マングルトの作り方の紹介だったりそれを毎朝食べるととても健康によいみたいな話を、プレゼンテーションのように、あるいはZoomっぽいものを見せたりもして、さらにはその教祖的な女性の話なども紹介してみたいな。👩へぇ。いやぁ。ちょっとうーんってなっちゃう。これは、舞台を観ていても受け入れられない人は受け入れられないじゃないですか。
👨うん。
👩私はちょっといやかもなっていう感じ。
👨うん、だけどまあ、デラックスというだけあって舞台にはびっくりするくらいのパフォーマンスのクオリティがあって。特に第二部ではヌトミックの額田大志さんなんかも参加しての4pcでの生演奏が入って、子供鉅人のキキ花香さんががっつり感満載で演じて聴き応えもたっぷりあったし。観ていてちゃんとデラックスだって思ったし。
👩なるほどね。
👨で、その中で、市原さんは人間が抱く気持ち悪さとか行き場のなさとか違和感みたいなもの、ゴキブリとかにしてもそうだし微生物にしてもそうだけれど、そういう人が根本で感じる違和感ってあるじゃないですか。
👩ありますね。
👨たとえばゴキブリってなんで駄目なんだろう、同じ生物なのにっていう話というところから、微生物に対する違和感、あと、彼女の別の作品にでてくるのだけれど、それは命であってもたとえば人間と牛のあいだにできた子供には違和感があるじゃないですか。
👩ああ、はいはい。ミノタウロス。 
👨うん、そういう話、人間が生理的な部分で感じる相容れなさや受け入れられなさのようなもの、その感覚ってなんなのかということを彼女はちゃんと切り出して演劇的に描き出しているようにも思えて。
👩ふんふん
👨そう考えると乳酸菌のことだって、そういう風にして人間との共生という話もあるわけじゃないですか。
👩まぁーーーー…まあねぇぇ。
👨まあ、そういう話を前はじわっとこじんまりとこまばアゴラ劇場でやったのだけれど、今回はひろいスペースでのショーエンターティメントになっていたから。
👩んふふふ。
👨あのさ、ほんと、演奏のクオリティがすごく高かったのですよ。おまけに天井の提灯にもノリがあるは、ライトも走るは。プレゼンテーションも企業っぽく今様で。そうすると同じ骨組みのものでも、質感が新たに変わって、それで見えてくるものもあったし、面白かったし、感心もしたりもして。
👩ほうほう。
👨そもそも、このシアターコモンズってサブスクじゃないけれど全部を入場したり参加したりできるチケットを買う方式で、折角だからと他の演目を観たり参加したりもしたのだけれど、けっこう変わった演目や作品が多くて。👩ほうほう。
👨でね、キョンチョメっていう団体の『女たちの黙示録』という作品があって、そこは劇場で観るのではなく、申し込む時に作品を郵送するか別の催しをやっている劇場で受け取るかを選ぶことができて、私は劇場だと受け取るのを忘れて帰ってきてしまいそうで郵送にしてもらったのね。
👩はいはい、あの、写真で見せていただいたやつですよね。

キュンチョメ
キョンチョメ『女性たちの黙示録』①


👨そうそう、真っ黒の箱が送られてきて。知り合いの方もツイッターに載せたりされていたけれど。で、これは、記事をアップする頃にはもう会期が終わっていると思うのでネタバレしてしまっても良いと思うのですけれど、中を開けると、リボンを掛けられた袋が入っていて、「女たちの黙示録」という札がかかっている。更にその中にフォーチュンクッキーが入っている。

キュンチョメ袋 UP
キョンチョメ『女性たちの黙示録』②


👩へぇ、どういうこと??
👨札にはサブタイトルのように「これは終わりの物語です。同時にはじまりでもあります」と小さめに書いてあって。
👩うんうん。
👨で、なんで黙示録かよくわからないのだけれど。で、私が下卑な人間だからかもしれないけれど、フォーチュンクッキーの形って女性そのものでエロい印象もあるんですよね。
👩思ったこともなかった!
👨あの、昔会社の新年会かなにかで中華料理を食べに行ったとき、最後にフォーチュンクッキーが出てきて、それを初めて食べたという先輩がしげしげと見て、これってエロいよねって女性自身のようにした形を見せられてから、なんかそれから頭の片隅にエロいイメージが抜けなくて、一瞬あさっての記憶が降りてきてしまったりもしたのですが。でも、それはともかく、黒い箱が送られて、その中に袋が入ってなにかが入っていて、意味深なタグがついていると、十分にいろんなことが頭を巡ったりもするわけで、それだけでもすでに作り手はすごいなと思うのだけれど、そこにはさらに仕掛けがあってね。フォーチュンクッキーの中には入っている物がありますよね。
👩うんうん、そうですね。
👨それが、占いでは無くて電話番号なんですよ。で、そこに電話をすると1~2分の物語を聴けるっていう仕掛け。

cookie割れ UP
キョンチョメ『女性たちの黙示録』③


👩それは、面白いねぇ。
👨その物語も、良く出来ていてね、星新一のショートショートみたいな感じで。まだ、2個聴いていないものは残っているのだけれど、少なくとも聴いた5個というか5話はみんなどこかSF的なね、スパイスの効いた物もシュールなものもあって。これは面白いなぁっておもった。まず、その話にたどりつくまでに。これは表現としての工夫があるし、創意があるなっておもったのですけれどね。物語のひとつずつもよくできていた。
👩わくわくするように提供してくれる感じがいいなって。そういうの好きですから、私も。
👨うん、それでね、もっと言ってしまうと、その電話を掛けるときにすごくドキドキした。
👩うふふ。
👨かけていいのかどうかってところでね。
👩かけていいって言われているけれども、やっぱりね。
👨そもそも、かけろという指示はどこにも書いていなかったしね。まあでも、あからさまに電話番号があったら、やっぱりねぇ。それを無視はできないし。一方で、かけてもし人が出てきてしまったらと思うとそれはそれで大変ともおもうし、そんなことはないとわかっていても緊張するじゃない。
👩あぁ。あはは。
👨もし、そこからは電話の向こうで俳優が生で演じるとかなっていたらドキドキしません?
👩ああ、確かに。でも、生じゃないんだ。
👨うん、録音なのですよ。
👩そうなんだ。
👨でないと、俳優は24時間電話のむこうで待機していなといけないことになるので。
👩……そっか!!(笑)
👨それをやらせるのは俳優さんにとっての超過重労働だろうし。
👩うん、たしかに。
👨でも、ほんとこのたくらみは見事だなぁとおもった。
👩うん。
👨あとね、このフェスティバルの演目には人形劇みたいなものもあって。
👩ふんふん。
👨それって、人間の男と女と猫の首だけが上から吊られているんですよ。タイトルは『吊り狂い』作家名はモニラ・アルカディリ&ラエド・ヤシン。あと写真はアップしたときに貼り付けますよ。撮ってもいいっていうことだったので。

吊り狂いUP
モニラ・アルカディリ&ラエド・ヤシン『吊り狂い』


👩うん。
👨それが30分ループで動いての英語上演で、日本語のプロンプトもついていて。会場がSHIBAURA HOUSEっていって、昔風琴工房が『Proof-証明』というお芝居を上演したところで。
👩ああっ、はいはい。
👨すごく見晴らしのよいところでね。
👩うん。
👨私が行ったのは17時半くらいだったかな。ちょうど夕方から夜に風景が変わる時間の頃でね。窓の外の風景が変わっていく中で、宇宙の話とかね、
👩うん、いいねぇ。
👨ふたりと一匹の首が上がったり下がったり前後左右に移動したり方向を変えながらね。それはなかなかに不思議な時間でした。
👩見たかったそれ!!面白そう。
👨なんか今回フェスティバルで観た3つの作品ってね、普通の演劇としての要素もそれぞれにあるんですよ。それがブスやゴキブリやマングルトの話であっても、導かれての電話の先での話でも、首だけで語られる話にしてもね。ただ、どの作品も、その見せ方が観る側の予想に反する形で半歩なり一歩なり踏み出しているのね。
👩うん。
👨それがすごくおもしろくて。特にコロナ渦の中でのそういうものってとても刺激があって。
👩うん、確かに。それにしてもいいものを観てますねぇ、おじさんは。
👨うん、幸いにも。で、羨ましがられたからもっと言ってしまうと、今日のお昼に観てきた舞台もおもしろかったですよ。「エンニュイ」という団体だけれど。
👩エンニュイ?
👨うん、「エンニュイ」。なんか芸人さんもされているクレオバトラというユニットの片割れの方が主宰をしている劇団なのですけれどね。
👩ああ、はいはい。観たことある。あります。
👨あの、初めての場所だったので、ちょっと早めについて会場の近くにいたら、開場時間の前から既に物語の世界が始まっているんですよ。看板を出すところから。

居酒屋本心 UP
エンニュイ『無表情な日常、感情的な毎秒』 STUDIO MATATU開場前  


👩へぇ。
👨居酒屋の話でね。店長が死んじゃって、そのお葬式に行ってきた従業員や元従業員と、お葬式に行かずに働いている従業員の話なのだけれど、それがもう完全な現代口語演劇、それはもう見事な平田オリザさん的なメソッドで。
👩へぇ。すごいねぇ。
👨で、その回はアフタートークがあって、劇作家というか演出家でもある犬飼勝哉さんがゲストだったんですね。で、客席からの質問にその平田オリザさんのメソッドの話があったのだけれど、主宰の長長谷川優貴さんがさらっと「平田オリザさんの作品は観たことがないのですけれど」とおっしゃって、犬飼勝哉さんも出演者の方も絶句していらっしゃったという。
👩あはは。でもまあ、もともと畑が違う人だから。
👨でもさぁ、自然に追い求めてそういう舞台の作り方に至る才能ってすごいなぁとも思って。お話しをきいていると、その空気を作るために、なにかを参考にすることもなく、彼なりの作劇をするなかで平田メソッド的なものに自然に行き着いたみたいだし。脚本も巧みでね。登場する5人が何者であるかということにしたって、ちょっと漫才に似ている部分があって、最初に出演者紹介があって、どういうキャラクターが物語に出てくるかを認識させて、その段階では人物の関係性がわからないものが、とても自然な台詞のやりとりの中で、たちまち自然にぱらぱらって伝わってくるの。気がつけば観る側が無意識にそれぞれの関係をしっかりと理解しているの。
👩へぇ。
👨しかも、飲み会での酔っ払っている態ってあるじゃないですか。喧嘩みたいに盛り上がったり静かになったりとかの空気の移り変わりの作り方が抜群に上手いのですよ。
👩うん。
👨その中で、今を生きている居酒屋のバイトや元バイトの人たちに流れる時間や彼らの思うことが、青年団のお芝居とはまた一味違った細かさや浸透圧をもって伝わってきて。
👩へぇ。
👨あの、青年団の舞台の空気というのは観るたびに本当によく作り込まれていて、それは戯曲がしっかりと足がかりになっているじゃないですか。
👩うんうん。
👨それが、エンニュイの舞台ではもっと俳優自身から自然に湧き上がって、現代口語演劇の風合いになって舞台を満たしていくような感じ。それにも私も驚いた。いやぁ面白かったです。
👩なるほど。
👨あっ、そうそう、ちょっとドミノを倒すように話を続けてしまうのだけれど、私、数日前に紀伊國屋ホールでほりぶんを観たのですよ。
👩ああ、はいはい。

ほりぶん UP
ほりぶん『かたとき』


👨で、今回ほりぶんの『かたとき』には又吉直樹さんがご出演で。彼は警察官の役で、終盤20分くらい「餅は餅屋」ということわざを説明しても女性達に理解して貰えず延々責められ罵声を浴びせ続けられるという役回りなんだけれど。
👩ええっ、うふふ。へぇ。
👨「ほりぶん」のお芝居っていつもそうじゃないですか。
👩「ほりぶん」のお芝居って見たことがないんですよね。
👨「ほりぶん」というかナカゴー主宰でもある横田順也の作るお芝居ってそういう感じなので。一尾の鰻を、女性達がひたすら奪い合い続けるだけで、観る側がぜいぜいするような温度が舞台に生まれるとかね。
👩ほぇぇぇ
👨そこで登場人物がもれなく意地になって異様に熱が上がって行くみたいな仕掛けをつくるのって天才的じゃないですか、彼は。愕然としつつ観客もまきこまれてしまうみたいな。
👩うんうん。
👨で、この舞台がすごいのは、最初に出演者が舞台の前にずらっとならんでご挨拶をするのですけれど、その中でみんな自分の舞台の中での役割を言っちゃうんですよ。それはもうエンニュイどころではない冒頭のネタバレでね。で、そのなかで又吉さんは「後半20分諺を説明してもわかって貰えない役をやります」って言って、本当に後半20分説明をしてわかってもらえない役をやるんですけれど。
👩うふふふ。それはおもしろいね。
👨で、女性たちの責め方や野次り方がものすごくて。でもその恐ろしいカオスの中には緩急とかもちゃんとあって、一旦収まりかけたと思ったらまた揺り戻しなんかもあって。で、散々笑って、腹筋まで痛くなってその日は帰ってきたのですけれど、「エンニュイ」という劇団名をつけたのはその又吉さんなのですって。
👩はぇぇぇぇーーー、そうなんだ。
👨ええ、そうなんですって。それはホームページで知ったのですけれど。なんかね、それを発見したときに私は演劇の神様が仕掛けたご縁をたどってお芝居をみているような気がして。
👩うふふ。
👨コロナのなかではあるのだけれど、別にブースターショットを打ったから強気になっているわけでもないのだけれど、そんな風にして、最近は芋づる感すらあるほどによいものに巡り会えておりまして。
👩うんうん。いやぁ私は全然はねぇ。まず外にあんまり出られていないから。
👨うん。
👩ただまあ、いろんなものに触れてはいるのですけれどね。まだ説明しづらいというかね、まだお話しできないというかね。ほら、内緒のことがあるじゃないですか。
👨ああ、
👩だからね、それにかかっているからね。
👨うん。
👩でも、うらやましいなぁ、舞台を観たくなるなぁ。インプットですからね。
👨そう。それとね、コロナの中では、今までの貯金をずっと使いながら作られた作品を観ているのかなぁって思ったのですよ、私。でも、そんなことは全然ない。
👩ほう
👨それはもう、何でも一緒。先日柳家喬太郎師匠のみたか勉強会に足を運んだのですけれど

喬太郎 UP
柳家喬太郎 みたか勉強会


👩はいはい。
👨で、喬太郎師匠は前半に『短命』をやったのですよ。
👩ふん、ふんふん。
👨まあ、『短命』に入る前のまくらが相変わらず本編の倍くらいあって。
👩あはは、喬太郎師匠は、いつだってまくらがすごく長い。枕が本編みたいなところがあるよね。
👨で、その喬太郎師匠自らが、「あれ、俺、今日は調子がいいんじゃない」っていう位に乗っていて。
👩あら、喬太郎師匠がそんなことを言うなんて。まくらで。
👨ほら、「短命」って大店のお嬢さんが美しすぎて、養子に入ったお婿さんが頑張ってしまって次々に死んでいくっていう噺じゃない。
👩はいはい。
👨で、そこに行くまでの枕での仕込みが、エロい物を男は好きだって言うはなしで、誰々師匠がAVが好きだみたいなことから、あの小三治師匠にだってそういうところはあったみたいなね。
👩うふふふ。
👨そうやって随分盛り上がってからの噺だったのでいつもにも増しておもしろかった。それはもういままでにない『短命』だったし、「俺は長命だ」っていうサゲの部分も師匠の工夫で考えオチに変わっていたし。
👩コロナで抑えられたら、なんかさ、その分すごくやりたくてしょうがないんだろうな、みんな。表現したくてしょうがないが爆発している感じがします。
👨ええ、ほんとそんな感じですよね。
👩うん。
👨あと、なんかやっぱり、コロナの中でもまったくフリーズしていたわけではないのねというのはいろいろに痛感した。
👩うんうん。とまっていたわけではないよっていうか。
👨この間の美術展の話にしてもそうだけれど、ただ停まって息をひそめていたわけではなくて、そのあいだでも、逆にそういう環境にあることをバネにさえして、いろいろなことが歩みはじめているのかもしれないとも思っていて。たとえば、最初に話した東京にこにこちゃんなどはコロナで2回潰れたんですってね、公演が。
👩ああ、そうなんだ。
👨うん、で、もう満を持して命をかけてやったみたいで。
👩はい。
👨結果としてその完成度は圧倒的にまで研がれて。作り込みのしっかり具合というのは、私が去年見た舞台を含めても5本の指にはいるくらいでしたからね。
👩へぇ、すごい。
👨もちろんそれは単に時間があったから作り込めたということだけではなくて、それは主宰の萩田頌豊与さんのセンスもあるし、それをわかって献身的に演じた俳優達の力というのも当然にあるとは思うのだけれど。
👩うんうん。面白いものを作れる人が暫く強制的に休まざるを得ない状況になるといと作品が練れてしまっておもしろいのでしょうね。
👨うん。そうそう。
👩もう我慢できないぞみたいなものをとても感じるというか。
👨エンニュイの方も12回の連続公演のひとつとしての公演だったらしいのだけれど、その中でもしっかりとしたストーリーを持って作った作品は今回が初めてっておっしゃっていて。
👩そんなことはなかったけれどね。
👨だんだん物語を膨らませていくような感じで作っていったんですって。最初のころの公演は尖った短編だったらしいのだけれど。だけど、それはコロナ渦のなかであってもちゃんと育ててきているからですよね。それでなくてもコロナということの中では、見ている方にとってはそういうところは見えないから、突然見事に花咲いたものに出会ってびっくりみたいな感覚になるのだけれど、アーティストの、その表現する方のスピリットって、死んでいたわけではなかったのだなということを、あちらこちらを見るにつけ改めて感じるのね。
👩ああ。
👨それは、たとえば市原佐都子さんにしてもそうだし。『妖精の問題 デラックス』も数年前から作り始めて、コロナ渦でもあちらこちらで研いで今回の作品に至ったみたいだし。あとね、飴屋法水さんとダンサーの倉田翠さんが、北千住BUoYでコラボレーション公演をされていて、タイトルは『三重県足立区甲府住吉メゾン・ド・メルシー徒歩0分、入浴中』、このユニットでは『三重県新宿区東九条ユーチューブ温泉口駅 徒歩5分』という映像映像作品もSTAGE BEYOND BORDERSで上がっていて 無料で観ることができてお勧めなのだけれど。映像作品は30分くらいなのだけれどね。その、両方とも家とか家族とかの作品でね、

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『三重県足立区甲府住吉メゾン・ド・メルシー徒歩0分、入浴中』

ふたりがそれぞれに背負うそういうものへの感覚がパフォーマンスの積み重ねのなかにロジックを超越した生身の感覚として観る側の内側に入ってくる。ああ、こういう感じなのねというものが自分の内側への共振であったり、時に違和感として残るのね。でね、今のコロナのなかでも、ふたりの作業のなかで観る側にそういうものを渡す力のあるものが組まれていくということに、その間、停まってはいなかったのねということを改めて思いましたね。
👩それは、実際におじさんが観てね、感じていることだから。なんか私は今、けっこうこう、ネットの世界というかオンラインの世界のことをすごく考えているけれど、舞台だったりとかも、その、なんていうのかな、現実とオンラインでの融合みたいなところ、その関わらせ方の新しい息吹じゃないけれど。その、これまでもあったのだろうけれどね、でももっともっとこう観やすくなった、ハードルが下がった、敷居が下がったというのはあるのだろうなぁというのをすごく思う。その、観たい人というかそういうのを好んでみる人しか観ることができなかったのが、もっと身近に、もっと観やすくってなっているのだろうというのを、今すごく感じている。
👨うん。そうね。でも、生の良さはやっぱりあってね。まあこれまで日本一チケットがとりやすいというのを売りにしていたけれど今回の公演でもうそのキャッチフレーズは使えないだろうなという「東京にこにこちゃん」だってシアター711だし、「エンニュイ」に至っては、前売りがソールドアウトになったので見切れ席的なものまで追加してもキャパ20のスペースだし。喬太郎師匠は瞬きひとつの間でとれるか取れないかのチケット争奪戦だっただから、振り返ってみるとものそういうものを生でみるすごい贅沢をさせて頂いている気分ですよ。
👩うふふ、良かったですね。
👨「エンニュイ」に関しては、ここのところなんかいろんなところで拝見してそのたびに目を惹く良いお芝居をされている俳優の方がご出演でね、気になっているのもあって足を運んでみたんですけれど。そういうことが歩けば当たる棒になってすごく良いものに巡り合うのも嬉しいし。
👩はいはい。
👨波多野 伶奈さんという俳優の方で。多分まだお若いのだろうとおもうのだけれど。
👩うん。
👨たまたま巡りというかいろんな役を拝見していたのでね、今回のお芝居も拝見して、多分今後拝見するたびに更に楽しみになるのでしょうけれど・・。もちろん、ただそれを観るだけのお芝居ではなかったですけれどね。でも、良い俳優さんを知ることは楽しいし、それでお芝居を観る楽しみも広がるし。
👩うーん、いい収穫をしましたね。
👨うふふふ、いやぁ実りの春ですよ。まだ春とも言えないけれど。
👩今までね、今までは冬の時期というか無理矢理に冬の時期を味わされているわけだから。
👨ほら、麦とかでも踏まれるとちゃんと育つみたいな話ってあるじゃないですか。
👩うふふふ。強くなるやつだ。
👨そうそう。最初はねぇ、だって、去年の夏あたりまでは舞台ができるとか観ることが出来るということ自体が喜びだったじゃないですか。そこからいろいろふみふみされてここまでいろんなものが育ってくるなんて、素晴らしいって思います。
👩よくぞ耐えてくれたと、よくぞいてくれたと、そこに。
👨そうそう。
👩ほんとにね。本当にね。ほんと大変だったと思うよ。なにをさせてくれているんだと。なんなのだと。舞台をさせてくれっていう時期を耐え忍んでね。舞台をやめていく人が多い中でもくさらずにね。
👨やっぱりあれだね、表現する情熱というのは貴いし、それって人がやすやすと捨て去ることのできないだけの魅力があるのだろうし、それを受け取る側でも捨てるなんて言われてもあきらめきれないし、そういうパワーがある限り世の中も捨てたものではないのかなぁという気がして。
👩捨てたものじゃないと思えるだけの舞台を観ることができてよかったですね。
👨はい、ありがとうございます。
👩そういうものを作ってくれている人がいるということも救いだしね。
👨まあ、だからね、来月もきっと良き舞台があるし。そういえば、2月の歌舞伎座も観たけれど尾上菊之助さんもよかったし。今、朝ドラに御出演じゃないですか、彼は。
👩ええ、そうなんですか。うふふふ。
👨うん、朝ドラでモモケンという映画のスターをやってらっしゃるわけですよ。前日の夜にお子様と一緒にご出演の鼠小僧治郎吉を観て、翌朝にそれをみると、なんか世界はいろいろにつながっているのだなぁって。そんな感じの2週間でございました。
👩なんて充実しているんだ、うらやましい。
👨でも、おねえさんも、春になったらいろんなことができそうなのでしょ?
👩うん、そうですね。うん。
👨乞うご期待ということで。
👩春までのがまん。我慢。
👨おねえさんも、いままでの貯めてきたものってあるのだろうし。
👩うん、うん。
👨それが、次の乾杯の時には少しでも聴けるといいなと思っていますけれど。
👩なんとかね、頑張りたいと思います。もう本当にね、早く、早くとはおもっているので、もう何とかさせてくれぇとは思っているので。
👨期待していますので。
👩はい、待っていてください。
👨三回目のコロナワクチンも早く打つことができますように。
👩はい、本当に、
👨戦争も終わって、病気もなくなったら、多分それらが過ぎていったら、その後の幸せってよりたくさんに感じられるだろうし。
👩そうですね。
👨ということで、今夜はそろそろお開きにしましょうか。ちょうどグラスもしっかりと空いたことだし。
👩ああそうなんですか。うーん、私はまだもうちょっとあるなぁ。
👨ごめんなさいね、なんかわたしばっかりぐびぐび飲んでひとりでしゃべってしまって。
👩いやいや、いいんですよ。全然いいんですよ。うふふふ。
👨ということで、また次回もお楽しみに。演劇のおじさんと
👩おねえさんでした。おやすみなさい。
👨おやすみなさい。

エンニュイ2
エンニュイ『無表情な日常、感情的な毎秒』

ご参考)
・東京にこにこちゃん『「どッきん☆どッきん☆メモリアルパレード」』
2022年2月16日~20日@シアター711
脚本・演出 : 萩田頌豊与
出演 :青柳美希、赤猫座ちこ(牡丹茶房/動物自殺倶楽部)、
    踊り子あり(はえぎわ)、
    尾形悟(マグネットホテル/東京にこにこちゃん)、
    釜口恵太、澁川智代(右マパターン)、鳥島明(はえぎわ)、
    てっぺい右利き、四柳智惟、新山志保(盛夏火)、
    矢野杏子、宝保里実(コンプソンズ)、
    hocoten(劇団「地蔵中毒」)、向井稜太郎(ナレーション)

・お布団 CCS/SC 1st Expansion
『夜を治める者《ナイトドミナント》』
2022年2月11日~27日@こまばアゴラ劇場
作・演出 : 得地弘基
出演 : A=宇都有里紗、大関愛、海津忠、高橋ルネ、
     永瀬安美、新田佑梨
     B=緒沢麻友、大関愛、黒木龍世、高橋ルネ、
     橋本清、新田佑梨

・シアターコモンズ 2022
 ―キュンチョメ「女たちの黙示録」
  ホンマエリ ナブチ

―市原佐都子(Q)『妖精の問題 デラックス』
2022年2月20日~23日@リーブラホール
作・演出|市原佐都子
出演 :[第一部]朝倉千恵子、筒井茄奈
     [第二部]大石英史、キキ花香
              [第三部]廣川真菜美、富名腰拓哉、緑ファンタ
音楽 : 額田大志(東京塩麹/ヌトミック)
演奏 : 秋元修、石垣陽菜、高橋佑成、額田大志
 
-「吊り狂い」
2022年2月21日~24日@SHIBAURA HOUSE
コンセプト、演出、脚本|モニラ・アルカディリ、ラエド・ヤシン
ロボットシステム開発|菅野創、ピート・シュミット
音楽|ラエド・ヤシン
ヘッドペインティング|サイード・バアルバキ

・エンニュイ『無表情な日常、感情的な毎秒』2月公演
2022年2月25日〜27日 @STUDIO MATATU
原作・構成 :  長谷川優貴
クリエイションメンバー :
     市川フー オツハタ(ノーミーツ)
     小林駿 二田絢乃 波多野伶奈

・ほりぶん『かたとき』
 2022年2月24日~27日@紀伊國屋ホール
 作・演出 :  鎌田 順也 (ナカゴー)
 出演 :川上 友里 上田 遥 川﨑 麻里子 
     木乃江 祐希 川口 雅子 藤本 美也子 
     新井 雛子 猫背 椿 又吉 直樹 
     きたろう 野上 篤史

・柳家喬太郎みたか勉強会
 2022年2月22日 18:00開演
 演目 : 『たらちね』柳亭左ん坊、『短命』柳家喬太郎
~仲入り~
『ベランダ』柳家やなぎ、『双蝶々 定吉殺し』柳家喬太郎

・倉田翠×飴屋法水
『三重県足立区甲府住吉メゾン・ド・メルシー徒歩0分、入浴中』
 2022年2月23日~27日@北千住BUoY
演出: 倉田翠 飴屋法水
出演: 倉田翠 、 飴屋法水、くるみ、岩瀬圭司

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